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認めたくないこと22
髪が濡れたままでリビングに出ると、拓が机に突っ伏して寝ていた。
タオルで雑に頭を擦りながら近づく。
腕の間から見える顔は絵文字で描いた寝顔みたいだった。
「アホ面」
向かい座って頬杖を突く。
寝てなかったんだろうな。
たぶん、学校まで来て俺を背負って帰ったんだろ。
大分距離あるだろ。
大変だっただろ。
どうしていいかわかんなかっただろ。
俺だってそうだったんだから。
てめえなんか頭真っ白だったんじゃねえの。
片腕を曲げてそこに顔を乗せる。
机にもたれかかって。
「拓」
小さく身じろぐ。
けど、起きないだろう。
寝かせてやろう。
そして、起きた後からは俺もその嘘に乗ってやるよ。
昨夜は何もなかった。
てめえとただ一緒に泊まった。
それが一番いいんだろ。
だから……
頭を抱える。
だから、てめえが起きるまで。
短い間でいいからさ。
声も上げないから。
あの修学旅行でキスされたときに先にやっときゃよかったなんて口にしないから。
俺は拓との関係を崩したくはないから。
離れるのも嫌だから。
だから。
今だけ泣かせてくれ。
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