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随分未熟だったみたい02

  「仕事は休まないでよ」  既に太陽は真上に来ていた。  類沢はシエラのホストを解散させて、七人と向き合った。  スフィンクスの松園親子。  シャドウの空牙に吟。  キャッスルの雛谷と如月。 「今日はありがとう」 「気になさらないでください。街の風紀を乱す輩は共通の敵ですから」 「またいつでも呼べ」 「何の為の組織だと思っとる」 「暴れさせてくれるならすぐ駆けつけるからね~」  ふっと頬が緩む。  篠田が咳払いをした。 「今回はともかくだ、ルールは心得ておけよ。ホストは……」 「暴力、薬は自ら手を出すな」  言葉を引き継いだ類沢を睨む。 「店の看板という自覚を持て」 「まあまあまあ。最良の選択だったではありませんか。瑞希氏も救出出来たことですし」  我円はつり上がった眼で類沢の車を見つめる。  そこにいる瑞希を見るように。 「類沢の体はともかく瑞希ちゃんは大丈夫なのかよ」 「空牙、その瑞希ちゃんは辞めてくれないかな……」  関係ない雛谷が噴き出した。  最後に残った篠田が煙草を取り出す。  ライターを手で覆い、火を点ける。 「あー、鳥肌が治まらねぇな」  白い息を吐きながら言う。 「ナニが」  類沢も煙草をくわえ、篠田のものに先端を上手くくっつけて火を貰う。 「お前が死ぬんじゃないかって」  遠くでバイクの音がする。  多分、シャドウの二人が競っているんだろう。 「僕もよぎったよ」  青空が広がっている。  雲一つない空に煙草の煙が絵の具のように漂う。 「こんな風に死んじゃうんだ……って」 「何を思った?」  車にもたれながら二人は空を見上げた。  暖かい陽射しがさっきまでの現実を霞ませてしまう。 「そうだね……昔を思い出した」 「二年前か」 「もっと前」  パチンと煙草を弾かせる。  地面に転がった灰は、コンクリートの上、まるで白のように存在を主張した。 「ホストになる前か」  類沢は無言で二本目に火をかざした。 「ホストにならなかったら、何になってたと思う?」 「僕が?」 「そうだ」  面白いこと訊くね、そう軽く笑う。 「想像つかない。進路なんて考える場所も無かったし。でも、そうだなぁ……」  少しの間。 「こうしてのんびり煙草吸えるならなんでもいいかな」 「単純だな」 「単純だよ、そんなもん」

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