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ファフロツキーズ

行為の後、ハルは男3人をボコボコにしてホテルを出た。 「…チッ、雨かよ… 」 外は土砂降りだった。 ハルは着ていたパーカーのフードを被った。 もう走って傘を買いに行く気力もなく、土砂降りの中をポケットに手を突っ込んでゆっくりと歩いた。 車で送ると言っていた男をボコったので帰りの手段もなく、深夜の騒がしい街をあてもなく。 「…貰った金でどっか泊まるか…」 と小さく呟きつつも、ハルは息遣いが荒く、軽い目眩を感じた。 どうしたんだ。 なんか熱っぽい感じがする。 額に手のひらを当てると熱さを感じた。 「…マジかよ…」と、またハルは小さく呟いた。 雨に濡れて寒気を感じ、雨避けになりそうな路地に入り、しゃがみ込んだ。 なんだか全てがどうでもいいと思った。 空から雨以外の何かが降ってくるような想定外の出来事が突然起きて、全部おかしくなってしまえばいい。そんな気持ちだった。 一匹の子猫を見つけた。 親とはぐれたのか、小さな身体を震わせて「ニャーニャー」と鳴いていた。 なんだか放っておけなくて抱き上げて言った。 「泣くなよ…僕も独りなんだ…」 言葉にしたら涙が溢れそうになって、上を向いた。 自分はこのままずっと独りなんだと思った。 すると目の前に傘が突然現れた。 「…ハル…か?」 次に声が聞こえ、そちらに目を向けた。 そこに居たのは、クレハだった。 「…どうして…?」 ハルは絞り出すように言うとゴホゴホと咳き込んだ。 「こんな土砂降りの中、傘もささずにフラフラと歩いてる小さな人影が見えたからさ。追いかけてみたらハルだった。」 クレハも少し驚いた表情を浮かべていた。 2人は、あの日のように数秒見つめ合った。 喧騒に紛れた街。 妙に月が綺麗な夜だった。
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