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俺、(R18の)妖の世界に来ちまった

この世界は人間と妖が住む世界が完全に分かれている。 何百年か前まで仲良く共存していたらしいけど、何かの拍子に争いが起きてそのまま世界が別れてしまったらしい。 争い以来にんげんは妖のことをこう思うようになった。 妖に会うと頭からばくりとされてしまう、いいや死なないように加減されながら拷問される、はたまた裸で磔にされたまま辱めを受けてさせられる…… ”妖は恐ろしい” 故に妖の世界へ行こうものなどよほどの物好きか自殺希望者ぐらいなものだ、と言われている。 しかし、時折人間が妖の世界へ入ってしまうことがある。 どうして妖の世界へ入ってしまうのかはわからない。 ただ一つ言えることは……生きて帰ってきたものはいない。 「……なんて言われてる妖の世界に、なんで俺はきちまったんだー!」 俺は日森(ひもり) 影道(かげみち)。 家が妖退治を生業とする、勉強嫌い、けど野球大好きな14歳。 家の関係でちょっと妖について詳しいだけのただ中学生。 学校に向かっていたはずなのに気づいたら周りに人間いなくて。 俺、これからどうなっちゃうの〜?! 「どんな最悪な少女漫画展開だよ」 俺は路地裏で頭を抱え座り込む。 落ち込んでも仕方ない、まずは状況確認だ。 俺は歩いて学校へ向かっている途中だった。 んで、気づいたら周りはいつもの通学路とは違った風景になってる。 周りにいるのは人間ではなく本で見たことあるようなろくろ首とか一つ目小僧とかなんか動物のやつっぽいのとか。 本で見たことがある妖だらけで。 「ねえ、もしかしてあれって人間?」なんて聞こえてきたから慌てて路地裏に逃げ込んだ。 そして今に至る。 「よし、絶望」 しかし絶望したところで道が開けるわけでもない。 俺は頭をフル回転させる。 一旦、路地裏でてきた道戻ってみりゃいいんじゃねえの? そしたらひょっこり戻れるかも知れないし。 妖の中にも見た目人間に似てる奴もいるしバレないだろ。 さも俺は妖ですよ、って顔しとけばバレないだろ。 俺は堂々と路地裏裏を出る。 「あー! 人間出てきたよ」 秒でバレた。そして俺は走った。 「人間?!」「野良みたいだよ」「オレが捕まえる!」 追いかけてくる妖どもから必死で逃げる。 俺はこんなところで捕まって殺されたくない。 入ってきたところからどんどん離れていっているけどそんなこと今は気にしてられない。 「捕まえたっ!」 腕を取られ後ろにひっくり返る。 そのまま妖たちの宴の中まで引き摺られる。 たくさんの妖たちに見下ろされる。 口々に何かを話し俺を笑う。 俺は怖くて半分泣いているような顔になる。 「オレ! オレやっていい?!」 異性のいい声と共に大柄の犬のような見た目をした妖が前に出てくる。 するとボロン、と大きなものを目の前に出してくる。 どうすればいいのか相手の顔を見上げるとニィ、と嬉しそうに笑う。 「犬みたいにさ、ペロペロ舐めるんだよ」 犬はお前だろうが、と言う言葉を飲み込む。 状況が全然わからない以上、下手に抵抗しては危ないだろう。 意を決し、犬の妖のものをペロリ、と舐める。 味なんてしない、けど生暖かくてちょっと気持ち悪い。 周りの妖たちが大声をあげ、囃し立てる。 「まだまだだ、俺がいいって言うまで舐め続けるんだ。歯は当てるなよ」 言われるがまま犬の妖のものを舐め続ける。 指示されるママ、周りに言われるまま。 ペロリ、ペロ、ンチュ。 ハムッ、ンクッ、ジュルルッ。 汚く音を立てれば立てるほど周りの声は大きくなっていく。 犬の妖のものが大きくなっていって、一際大きくなったと思うと口の中に無理やり突っ込まれビュクッビュルルッ、と喉奥に吐き出される。 初めは出されるまま飲み込んだけど量が多すぎる。 なかなか終わらなくて息が苦しくなって相手のものを噛んでしまった。 と同時に腹を蹴られる。 蹴られた衝撃で口の中にあった白くてネバネバしたものを吐き出してしまう。 「この人間が、俺のもの噛みやがって!」 殴られる! 体を縮こまらせた瞬間急に見えない何かに引っ張られたかと思うと何か柔らかいものにぶつかる。 ばっと顔を上げると綺麗な顔した男が唇に人差し指を当て、いわゆる「静かにしてて」とジェスチャーを見せる。 「あ、(ヒョウ)先生! その人間」 「うむ、すまぬ。この人間はわしのじゃ。すまぬな、首輪つける前に逃げ出してしもうた」 「えーそうだったんだ……」「表先生のだとしてもな」「諦められねんだけど」 俺を追いかけていた妖がゾロゾロと俺の元から去っていく。 男が俺は引き剥がしたと思うと両手で顔を掴み目を合わせてくる。 恐怖で体がこわばる。 「うむ〜、どっから入ってきたんじゃお主は」 「お、俺はあっちの方から普通に歩いてたら、気づいたらこっちにきててそれで」 「ありゃ、迷い込んできたやつかの、困ったの〜」 顔から手が離される。 顎に手を当て考えるような仕草をしている相手をじっと見つめる。 人間って感じの顔してるけど髪は白いし目は赤を黄色混じったような色だし。 もしかしてこいつも妖か? でも、妖の中にこんな人間そっくりな奴いたら確実に覚えてると思うんだけどな…… あ、でも妖って変化の術とか妖術? だっけ使えるとかっていうしな。 じゃあそういう類ってことか? 男はまだ考えている様子で「うーむ……どうしようかの」なんて呟いている。 俺は男にバレないように小さな声で呪文を三回唱えながら両手で形を作る。 いわゆる”狐の窓” 窓を覗いたら相手の本当の姿が見える。 男に合わせ窓を覗いてみると、 「見てはいけんぞ」 「うわっ! いいっ?!」 驚き体がよろけた瞬間、なぜか体が男の方に引っ張られ、尻をスパンッと叩かれる。。 「これ、相手の断りもなく姿を見ようとしてはだめじゃろうが。め、じゃぞ、めっ。 人の裸を覗こうとするでない」 「す、すいませんした」 「わしの姿が見たいのか。ふむ、まあどちらにせよわしの家に行くぞ。 お主かてここにいたままだとまた追いかけ回されるしの」 そう言われて考える。 この男のことは人間ではないではないことぐらいしかわからない。 ここにいたところでまた変なことされるより、この男についていった方がまだマシ、だと思う。 「そうじゃ、名乗っておらんかったな。わしの名前はヒョウ、表裏一体の表と書く。周りからは表先生、と呼ばれることが多いが……まあ表と呼んでくれれば良い」 「俺は日森影道、影道でいい」 「ふむ、影の道を行くか、良い名前じゃの。ねーみんぐせんす、しかないの。 ほれ、ついたぞ」 名前を褒められ照れている瞬間辺りの景色が歪みだす。 見回すと先ほどまでいた場所ではなく目の前に和風、けれど洋風な感じも混じっている不思議な雰囲気の家の前にいる。 「今、茶だすからの」 「え、あ、ええ?!」 目を白黒させているとまた周りが歪みだし、気づけば家の中にいてちゃぶ台の前に正座している。 「よし、じゃあまずわしの正体じゃがな」 「ま、待って待って、俺理解追いついてないから。何も理解できてないから。 え? なんで俺ここにいるの、どうやって移動して」 俺の話も聞かずに男がくるんっと回ったと思うと軽い音と共に男の姿が狐へと変化する。 いや、狐にしては尻尾の数がおかしい。 めちゃくちゃ大きいししかも一本どころじゃないし、 「きゅ、九尾?」 「否、わしは狐の妖じゃ。尻尾は六本しかないぞ。なんでかのー百、年を重ねるごとに一本ごとに増えての〜。 わしが得意なのは妖術とすぐに忘れることじゃ」 つまり、この男は尻尾は六本ある狐の妖でさっきまでしていたのはおそらく変化の妖術。 六本尻尾があるってことは大体六百歳ぐらいってことで。 妖術が得意? 妖術ってなんだっけ、確か教えられた気がするけど。 こんなことになるぐらいならちゃんと話聞いときゃよかった。 「おうい、どうしたんじゃ。ほうれ、もう元の姿に戻ったぞ」 俺がもんもんと考えている間に表はすでに出会った時の男の姿に戻っている。 こうしてみると本当にただの人間みたいに見えるんだよな。 「それでは今度はお主じゃな、ほうれ、服を全て、下着もじゃ、自分で脱ぐんじゃ」 男の瞳が赤くなったと思ったら俺の体が勝手に服を脱ごうと動き始める。 うわ、何このよくあるエロ漫画の導入みたいなやつ! そう思いながら服を全て脱ぎ裸になる。 少し恥ずかしくて前を隠してモジモジと動く。 「ふむ、恥ずかしがったりしないんじゃな」 「恥ずかしがったら相手が喜ぶだけだろ。別に人間じゃないし裸見られるぐらいどうでもいいし」 「わしはお主が裸で恥ずかしがっている姿が見たかったんじゃがな…… 何か仕掛けてあるかと思うたが何もないんじゃな。偶然入っただけみたいじゃの」 ふっと姿消したかと思うと白いものと他にも何かの栓? とかボトルを持って目の前に現れる。 その手に持っている白煮物には見覚えがある。 見たことはあるけど使ったことなんてとっくの昔。 「他の妖と顔合わせしにいかねばならぬな。これ履いて行くぞ」 赤ちゃんが履くオムツだった。

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