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第1話 あなたの舎弟にしてください!(6)★

「こうやって人にされんの、気持ちいいだろ?」  言いつつ、括れの部分を重点的に刺激する。すると、犬塚は堪らないといった様子で身悶えて、こちらの肩口に額を押しつけてきた。 「そこ、やだぁ……な、なんかこわいっ」 「怖い?」 「んっ……きもち、よすぎちゃうからあ……」  なるほど、そんなウブな反応になるのか――不破の中で嗜虐心がほのかに疼く。  それならばとばかりに、さらに激しく責め立ててやることにした。 「ひ、あっ!? せんぱい、だめっ……つよくしちゃ」 「お前、感じやすいのな。すげーとろっとろ」  先端から溢れ出る先走りのせいで、指を動かすたびにくちゅくちゅと濡れた音が響く。それがまた恥ずかしいのか、犬塚はますます顔を赤くしていた。 「や、だぁっ……すぐ、でちゃうからあっ」  泣きそうな声で訴えられるも、手を緩めることはしない。  むしろ、いっそう強く扱きあげて絶頂へと導いてやる。犬塚の限界は間もなくやってきたようだった。 「あっ、も、イッちゃう、イッちゃうよおっ――」 「いーよ。ティッシュんなか、出しちまいな」  声をかけながら、ティッシュを引き抜いて亀頭に被せる。  その直後、犬塚はぶるりと身を震わせた。 「っ、あぁ……」  ティッシュ越しに生温かいものが広がっていく。すべて出し尽くすと、犬塚はぐったりとして身を預けてくるのだった。 (……可愛いな、コイツ)  乱れた呼吸を整えている犬塚を労わるように、そっと頭を撫でてやる。込み上げてくる愛おしさに、不破は顔を寄せ――そこで我に返った。 (いや、待て待て待て! 今、俺は何をしようとしてた!?)  それ以前に、彼に対してどんな感情を抱いていたというのだろう。頭が冷えた途端、ゾッとするものが背筋を走った。  ――相手は男だぞ? しかも年下のガキだぞ?  そう自分に問いかけるも、一度芽生えた感情はなかなか消えてくれない。ドキドキという胸の鼓動がうるさいくらいに響いていた。 「そんな、まさかな」 「先輩?」 「ち、違ェよ? そーゆーのじゃねェから……」 「へ?」  首を傾げる犬塚をよそに、不破は頭を抱える。  この感情が何なのか、自分でもよくわからない。同性に性的興奮を覚えるはずがない。断じて違う。犬塚拓哉は恋愛対象などではない――はずなのだ。 (俺はホモじゃない、俺はホモじゃない!)  念仏のように繰り返し唱えるが、どうにかなるはずもなく。  こちらを見上げてくる犬塚は、やはり可愛く思えてならなかった。

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