27 / 37

第5話 先輩と、ひとつになりたい(4)★

 様子を見ながら、徐々に動きを大きくさせる。くちゅくちゅと大きく水音を立てて出し入れすれば、犬塚は恥ずかしそうに顔を背けた。 「う、あっ……やだ、音っ」 「ふうん、自分ではここまで触らなかった? こうやって、やらしい音立てて――」 「あ、やっ、あっあ……」  二本の指をバラバラに動かすと、水音は激しさを増して室内に響き渡る。  どうにも羞恥心があるらしく、子供のようにイヤイヤと頭を振る犬塚だったが、不意に反応が変わった。ビクンッと大袈裟にその身を跳ねさせたのだ。 「ん? 今のトコ、良かったか?」 「あ……ち、違っ」 「っと、ここか」 「ひうっ!?」  目を見開き、犬塚が背中を大きくしならせる。  すぐに察した不破は執拗にそこばかりを責め立てた。指先で擦るように刺激を与えれば、後孔がきつく締まり、中の粘膜がきゅうきゅうと絡みついてくる。  インターネットで調べた程度の知識だが、ここが前立腺というものだろうか。犬塚の反応を見る限り、かなり敏感な場所のようだ。 「あっ、ン……あぁ、そこ、ヘンになるうっ」 「ヘンじゃなくて気持ちいんだろ? ビクビクしてる犬塚、可愛い」 「ん、んんっ」  体内をまさぐる指を三本に増やしつつ、甘ったるくキスをする。  こうして体を重ねてみると、やはり犬塚は華奢で小さい。少しでも力加減を間違えたら壊れてしまいそうなほどに。  それでも求めてしまうのは本能的なものだろう。 「犬塚」  そろそろ頃合いだろうかと、唇を浮かせて名を呼ぶ。  犬塚は潤んだ瞳で見上げてきたあと、おずおずと両腕を伸ばしてこちらの首に絡めてきた。 「先輩、きて――」  その一言で、不破の理性が崩れ落ちる音がした。 「お前な。ンな可愛いことばっかしてっと、やめろって言われてもやめねェからな」 「いいです。先輩になら、俺……」 「嘘だよ。さすがにそのときはやめるって――でも、ちょっと今は余裕ねェかも」  言って、不破はコンドームのパッケージを歯で乱暴に破った。ジーンズの前を寛げて下着の中から自身を取り出すと、手早くゴムを装着していく。 (ああ、クソ……童貞みてェ)  妙に気が急いてしまって、格好悪いことこの上ない。そんな自分を恥じながらも、不破は犬塚の両脚を胸元まで抱え上げた。  ヒクヒクと収縮を繰り返す後孔は、まるでこちらを誘っているかのようだ。そこに自身の切っ先を押し当て、 「力、抜いてろよ」  短く告げてから体重をかけていく。と、瞬時に犬塚の苦しげな声が上がった。 「くっ、あ……はっ」 「っ、キツ……」  ゆっくりと慎重に挿入しながらも、亀頭が埋まったあたりで腰の動きを止める。  指とは比べ物にならない質量なのだろう。辛そうに顔を歪める犬塚を見て、自制心が働くのがわかった。  しかし、犬塚は首を横に振って抱きついてくる。 「だいじょーぶだから、やめないで……っ」 「でもよ」 「おねがっ――先輩と、ひとつになりたい……ここでやめられる方が、つらいですっ」

ともだちにシェアしよう!