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 ニコニコして待っていると、忍が手を止めた。 「なにしてんだ。自分の箸持って来いよ」  オレは目を見開く。 「なんだ、その顔。俺が食べさせてやるとでも思ったのか?」 「思った」  コクコク頷く俺を本気で突き刺そうとしてくる忍。 「人間、箸でも殺せるかもなあ?」 「ちょちょちょっ! なんでだよっ、ささやかな期待しただけだろ」  太腿を刺され、ビクッと肩が強張った。  ……ヤバ。  反応しちゃった。  脚を摺り合わせる。  忍が不思議そうな目でオレを見る。  ああ。  あんな変なこと考えたせいだ。 「てめぇ……顔赤いぞ?」 「えっ! マジ?」  急いで顔を押さえる。 「大丈夫か。熱あんのか。ちょっと額触らせろ」  四つん這いで寄ってくる忍の胸元に目が奪われる。  急いでオレは後ずさる。  伸ばした手を空中で止め、忍は少し寂しそうな顔をした。 「……なんだよ。幼稚園からの付き合いなのに額触んのも嫌かよ」 「ちがくてっ!」 「もういい。餓死しろ、てめぇなんか」  ああああ。  なんでこんな時だけ可愛くなるんだよっ。  オレは頭をかきむしって悶えた。 「忍っ!」  いきなりの大声にキョトンと顔を上げる。  その傾いた無垢な顔の今までのギャップに理性が崩壊する。  口端についたオレンジの液体がもうエロく見えて仕方ない。  濡れた唇。  それを舐める舌。 「なんだよ、いきなり大声出し…」  カランと箸が落ちる。  オレは勢いで忍の唇を奪っていた。  呆然として力の抜けた口に舌を入れ、音を立てて貪る。  肉の味。  忍が好きな味。  クチュ。 「ん……」  抵抗しようとした腕を掴んでベッドに押し付ける。  細くて、簡単に壊れそうだ。  脚を曲げたせいで、皿が傾いた。  ガタンと、液体を飛び散らせて倒れる。  飛散したそれが付いた忍の腋に舌を這わせる。 「んぁッッ」 「……やらしい声」 「し、ん……じらんね」  オレは夢中で忍の体を楽しんだ。  震える肩を噛み、首筋にキスマークを付けていく。  ほとんど無防備に近いタンクトップを下にずらし、胸にも口付ける。  そのたびビクつく忍が可愛くて仕方がなかった。  もっともっと可愛い仕草が見たい。  声が聞きたい。  いつの間にかオレはベッドに忍を組み敷いていた。  ギシ。  その音に、目が怯える。

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