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第1話
くだらないけど、負けた後でごちゃごちゃ言うのもなんだか恥ずかしい。よくそんな残酷なコト思いつくよなって思った。まぁ、ノってるオレも大概か。
「ずっと、好きだったってワケ」
まぁ、相手も分かるだろう、これがウソってことくらい。男同士だぜ?フツーは分かる。
目の前には痩せ型の眼鏡の、どうみても女には見えないヲタクみたいなのが立っている。オレが呼び出した。絵に描いたような学級委員みたいだから、裏では「委員長」って呼ばれてるケドここは大学。学級委員なんてものはない。
こういうのはブスな女にやってこそ効く。男同士じゃどうやったってウソ臭さが否めない。オレってゲイに見えないでしょ。コイツはどうだか知らないケド。
「同性愛者なのか?」
眼鏡のスカした態度がまぁまぁ気に入らないなって思った。いつも人のこと見下してるよう感じする。言葉遣いもなんか小難しいし、自分頭良いんです、みたいな。
「違うケド」
早くフってくれ~。そうしたらオレはノーダメージで罰ゲームを遂行したコトになる。ある意味、その場の全員に奢る!とかいうのよりコスパいいまであるぞ。
「なんだ、なんだ?修羅場ってる?」
そこにオレと「委員長」以外の人間が混ざってきたから、さぁ大変。同期生の中でも意識高くて実際頭もいいみたいで学生代表やってたやつ。名前は忘れたケド顔は覚えてる。イケメンだし背は高いし、気の利いたコメントペーパー書くから目立つやつで、そいつが馴れ馴れしく首突っ込んできたからビビってチビるかと思った。
「別に修羅場じゃない」
「委員長」は闘争心とか煽られてるんかな?って思った。いくら真面目そうでも頭良くない奴等っていっぱいいて、「委員長」は学級委員っぽくてヲタク臭くてロリコンっぽくて陰キャでチー牛でガリヒョロで、なのに喧嘩腰で良い子ぶった注意とかはしてきて悪目立ちはするケド、いいほうでは噂あんまり聞かないというか無いまである。
「ウソだ〜。コクられてただろ?聞こえてたぜ」
アー、ヤバイヤバイ。2人の中で終わらせるつもりだったのに他の人にも聞かれていたんじゃぁねぇ。ここで嘘告白です、って言うか?でもナントカとかいうのにまでそれバラすのがなんだか躊躇われる。
「エイプリルフールだろう?」
「委員長」は気拙げに言った。そう、それ!ってノりかけたとき、ナントカとかいうのは「委員長」の肩を親しげに抱いた。
「まさか!今どきエイプリルフールだからって嘘告白 するサイテーのクズなんているわけないさ。きっと心の底から渡貫 のコトが好きなんだろう。でもおれも渡貫のコトが好きなんだ。好きなんだっつーか、付き合ってんだけど……君さえよければ、3人で付き合わないか?とはいっても、別におれが君とどうこうなるって話ではないんだけど……」
オレは頭がポーンってなった。ナントカとかいう同期生代表がこんなおかしいヤツだったんだな、ってまだ理解が追いついてないんだケド、どういうコト?3人で付き合うって何?誰と誰が付き合ってるって?
「おい、よせ……」
「なんで?せっかく君の魅力に気付いた人が増えたんだ。しかも告白までしてくれてる。嬉しくて……君のコトを好きな相手なら、おれも全力で好きになるよ。問題は君次第なんだけど……そうだろ?えっと……御槃 くんだったっけ。おれ、常木辺 」
常木辺、そうだ、常木辺。そいつはただ立ってる「委員長」の両手を握って遊んで、オレのほうに迫ってきた。
「御槃……だったか?すまない。忘れてくれ。3人で付き合うなんてどうかしている。冗談なんだろう?忘れてやるから、こんなことは二度としな……」
「いいや、渡貫。卑屈になるなよ。君は自分の魅力が分かってないな。おれは君と別れたくないけど、君が新しく誰かと付き合う機会を、おれがいるからといって潰してほしくない。だから3人で付き合えばいいと思うんだけど……」
春先は頭がおかしいのが増えるというけれども、こういうこと?
「どうしたんだ、常木辺……」
「御槃くんだったよね?まさか、嘘で告白してきたなんてそんな疑惑かけられちゃ、さすがに可哀想だよ。勇気ある告白だろう?無下にしたらいけない。それに渡貫は素敵なやつだよ。それを分かってくれた人が他にもいるなんて嬉しいんだ。嫉妬に狂いそうだな。渡貫って眼鏡外すと美人だしな」
「何を言って……」
常木辺とかいうのは、すべて見透かしているみたいだった。「委員長」も困惑しているのが分かる。
「だから3人で付き合おう。それは嫌かな。どうしても渡貫が好きなら、一旦おれが渡貫と別れるからさ……いいや、本音を言えば別れたくない。おれは渡貫が大好きなんだよ。愛しているんだ。恋人で、推しなんだよ。推しなら良さを知ってほしくなる。おれの恋人だから、恋人の良さを知られて、おれから離れていくのも怖いけれど、渡貫はおれの推しだから、おれはこの自己矛盾と戦わなければならないんだ」
常木辺ってめちゃくちゃヤバいやつ?
「常木辺……勝手に話を進めるな……」
「信じてくれ、渡貫。君が嫌になったとか、飽きたとか、彼に押し付けたいとかいうんじゃない。おれは好きだよ。好きで……好きで好きで推しているから、君がいかに素晴らしいか、その片鱗を分かろうとしている彼を、このまま蔑ろにできない。同士なんだ」
常木辺と「委員長」はなんかオレのコト忘れてるみたいで、完全に2人の世界だった。
「明日予定ある?キャンセルして。おれの一人暮らししてるアパート近いから、案内するよ。明日またこの時間に集合ね?いいや、おれが迎えに行くよ。あっはっは。ね?渡貫の魅力が分かる同士に会えてよかったよ」
話はめちゃくちゃややこしいことになっていた。エイプリルフールのウソコクのはずが、なんか男色のお誘いになってる。待て待て、オレは異性愛者 。明日、逃げるか?
「ケー番教えてよ。WAINEすることないでしょ。電話するから、予定どうしても合わなかったらさ。急病とかあるかもだし」
常木辺はスマヒョを取り出してきた。今更ウソなんて言ったらヤバそうだ。
「常木辺、よせよ。ちょっと俺を揶揄ったんだ。常木辺……」
渡貫はオレに憐れみの目を向けて、常木辺のスマヒョ構える腕に縋りつく。
「そんなサイテーなコト、健全 に生きてたらできないよ。そんな酷いこと。彼は本当に君が好きなんだよ。君は優しくて美人で、頭も良い。ただちょっとツンデレだから、浅い関わり方をしていると、デレが見えない。彼はそのデレに気付いたのさ。おっと……ごめんね?カメラが作動しちゃった」
カシャって音して、あの動きはまさに故意!って感じでオレはシャッター切られた。常木辺の目はめちゃくちゃオレを蔑んでて、マジで"分かって"ないワケじゃない。好きピをバカにされて激おこだったみたいだ。
「いいんだ、常木辺。周りと打ち解けられない俺が悪かった。赦してやってくれ。俺は気にしてないから……怒ってないし、傷付いてもない」
「渡貫。君がおれと付き合ったとき、依然として君は君で君自身は君のもので、それは当然そうあるべきだと思う。でも柵 はそうじゃない。好きな人をバカされて、笑って流せるほどおれは大らかではないし、それを見過ごしていられるほど寛容な人間じゃないよ。君を愛してるってのは、君を平然とバカにするやつは許さないってコトだよ。愛するってことは、残酷になれってことなんだよ。感情ではなくて、理性で怒られなきゃならない場面もあるってこと。でも御槃くんはそういう類 じゃないでしょ?ちゃんと渡貫を愛してくれる。おれはおれの手で君を愛したいけど、愛されている君を見るのも嫌いじゃない。嫉妬はするけどね」
常木辺はずっと微笑を浮かべて、オレだけを見ていた。オレが「委員長」みたいになっているケド、語りかけてる相手は横っちょで困惑してる「委員長」なんだよな。オレ、まずったな。でもあの団体 の中で反対意見なんて言えたか?そらオレが悪いケド、圧倒的大多数には逆らえない防衛本能も凡人なオレにはあるワケで。分かんねぇか、個人主義な奴等には。いやいや、確かにオレが悪いケドね?謝るべき?根本は言い出しっぺと、大人数になると倫理観どっかいっちまうアイツ等:feat.(フィーチャリング)オレが悪いんだケドさ。こんなことは良くない、やめるべきだって、負けたときに言うの?やる前に言うの?それなんて言われるか分かる?チキンってな。男らしくないってな。いやいや、それを男らしさとか度胸だとか思い込んじゃう風潮がやべぇし、モラルない奴等と関わってたオレがやべぇんだケド。いや、マジでこの場に於いてはオレが悪かったのは認めざるを得ない。そう。それは、そう。でもさ~、ぼっちには分からん横の繋がりっつーのがあるワケ。そりゎ絶対、ぼっちをバカにしていい理由 にはならないんだケドさ~って言い分は、さすがにオレの小物臭がスゴいので呑んでおいた。飲んで忘れよ。な?Let's肝臓に八つ当たり!ってワケ。
それはその場で解散になったんだケド、帰り際に「委員長」に呼び止められて、何言われるんだろって怖くなっちゃった。激ヤバ激重カレシも傍にいるんか?って思って左見右見 っちゃった。そしたら「委員長」は「あいつはいない」って言ったから露骨に安心しちゃって、ちょっとやべって思っちゃった。
「すまなかったな。番号教えておくから、着信拒否にしておくといい。俺から上手く言っておくから……」
堅物で神経質そうで几帳面でクソ真面目そうなのに、意外と話は通じるやつらしかった。
「オレが言えたコトじゃないけど、おたくのカレシ、ヤバくない?」
さすがにカレシdisったら怒るかな?って思った頃にはもう言っちゃってた。だってヤバいと思ったもん。好きとか推しとか愛してるとか言っておきながら、そのカレシつまりこの「委員長」をレンタルさせようとしてるところとか。実は上手くいってないんじゃないの?ま、オレはイケかわだから基本的には何言っても赦されるんだケド。
「普段はいいヤツなんだ。いいヤツだから、一度懐に入れた人のことに対しては一生懸命なだけで」
なんでかオレたちはひそひそ話になってて、至近距離に迫った「委員長」の睫毛がえらく長いことに気付いちゃった。ほわっ、ほわって柔軟剤みたいな香りするし。肌も綺麗で、なんかオレ、中 てられちゃってる?常木辺に。
「怒ってないの?オレのこと」
「ああいうことには慣れているし、告白されたところで俺も好かれるようなことをした覚えがないからな。ああいうふうに詰められるとは思ってなかったんだろう?楽しかったところ水を差したな。アイツは正しいのだろうが……」
そこで未必に傷付けるというか何というか、当初おちょくる対象だった「委員長」に逆に気遣われたらさすがにオレが100悪いんじゃね?って気分にもなる。いや、オレと「委員長」ならオレが100悪いケド、諸悪の根源はもっと違うところにあると思うワケで。トロッコ問題みたいぢゃね?罰ゲームを遂行するか、しないか。あれの答えは第三の意見を見出すコトだと思うんですケド。違うかな。何に重きを置くか、自己分析するための心理テストってコト?いやいや、それならオレは「委員長」を切り捨てて倫理観のねぇ奴等との仲間意識を取ったってワケ。
「いや、オレが100悪いから……もっと身内で完結するコトしておきゃよかったんだよ。マジでごめん」
「お前のいるグループは大きいものな。ハブられるのはツラいだろう。仕方がない」
「あぁ?でも関係ないやつ巻き込んでおちょくっていいワケないだろ。いや、これオレが言うのおかしいな」
これ、ここだけ切り取ったら立場逆転してるな。
「それが分かっているならいいんだ。あいつの言い分は正しいから、だからちょっと暴走した。普段は話の分かるいいヤツなんだ。それだけは勘違いしないでほしい」
「委員長」ってもしかしていいやつ?この場合、都合の良いやつみたいな感じになっちゃうケド。
「いや、ホント、マジですまんかった。勘違いについてはオレが悪いし大丈夫だけど、あんたは、ダイジョーブ?」
あのカレシ、めちゃくちゃ重いし、おかしいよ。
「ああ。これ、一応俺の番号。どうせ使わないだろうが、常木辺と何かあったら連絡してくれ。少し経って何も無ければ消せばいい」
常木辺を着拒して、「委員長」のを登録する。さすがに心配しすぎだろ。そんなやべぇのと付き合ってんのかな。でもオレ、写真撮られてんだよな。写真に映るのは嫌いじゃねぇケド、あれはなんだかキモかった。引き伸ばしてプリントアウトして丑の刻参りとかでもすんのか?
その翌日のことだった。オレは常木辺との約束をすっぽかした。「委員長」も上手く取りなしてくれるって話だったから。でもオレのスマヒョには珍しく着信があった。回線会社の要らんサービスの営業かと思ったのに違った。ウォーターサーバーの売り付けの話のほうがよかった。どうせ使わないだろ、と思ってた「委員長」の電話番号。ちゃんと登録してなかったけどオレは下2桁だけなんでか覚えてて、「委員長」だって思ったから出ちゃった。
『ああ、御槃くん?今何してるの?』
声で常木辺だと思った。
『約束の時間、オーバーしてるよね?渡貫に対する気持ちってその程度なんだ?』
オレはウソコクだってこと言っちまおうかと思った。
『顔写真も手に入れたし、あの時の音声もしっかり録音してるからさ、いじめとか赦さないって風潮の今、これSNSに載せたらどうなるかな。フェイスノートにも、オレのプイッターにも載せようと思ってるんだ。だっておれは傷付いた。渡貫がそうじゃなくても』
顔が見えないとマジで怖い。声も低かったし。でも喋り方は昨日と同じなんだよな。っていうか今どき、そんなコトで炎上するか?小中学生じゃないんだぞ。大学生にもなってウソコクされて傷付いたから拡散希望って燃やしてくれって?バカげてる。それって脅しになるんか?
『それとも君になりすまそうか?訴訟されたらおれが悪くなるけど、おれは渡貫を愛しているんだよ。だから渡貫のコトで人生を棒に振っても構わない。おれはね。君の実名も電話番号も晒す。あの音声も顔写真も晒してね。検索すればこのコトがヒットして、君は被害者でも、部外者はそうは思わない。事の成り行きを知った人なら自業自得とさえ思うかもしれないな。やり過ぎたとおれが非難されてもいいよ。君は完全な被害者じゃないんだよ。渡貫だけが完全な被害者さ』
常木辺の熱弁が怖かったけど、それよりも「委員長」のケー番ってコトは「委員長」も一緒にいるってコトなんかな?って思った。
「確かに……」
オレも圧倒されて同意しててマジでマヌケ。この世はやっぱり、「超快!スッキりジャポン」なのか。なんかやべぇヤツが現れて?他力本願の勧善懲悪なのか?
『来なよ。今から。迎えに行く』
「渡貫いんの?変わって」
『いるよ。でも君には関係ないかな。好きじゃないヤツにカレシをわざわざ出すわけないだろ?』
「確かに。完全に論破された。完全に……オレの言えた義理じゃないけどモラっぽいよ、あんた。今から行くわ。でもそれは恋愛感情で好きだからじゃなくて、渡貫はオレを赦してくれて、しかも実は優しいやつだって気付いたからだからね。すごいな、常木辺。プレゼンもキャンペーンは大成功だな。同期代表として、遉 」
『君にとって都合の良いやつなら、優しいやつ、ね。ご自分がたいそうお大事なようだな。渡貫をあまり愚弄するなよ。それはそれとして、迎えに行く』
そんな語り口だから一触即発になんのかな~と思ったら20分くらいで迎えに来た常木辺は昨日みたいににっこにこだった。やっぱこの人頭おかしいんじゃないか?
アパートに着くまで無言だったし、怖いカオしてんのかと思ったらまだめっちゃにこにこしてて、アイドルになろうとか思わなかったのかな?とか、最近のアイドル背が低いもんな、とか、アイドルってちょっとブスなところに愛嬌があって人気あるんだよな、とか思ったりしたから173cmのドチビのオレはイケかわ過ぎるけどアイドルになれるかもと思ったケド、常木辺もイケメンの条件に当て嵌まってても立っ端はあるからな。
アパートに着くと、「委員長」居ると思ったのに鍵掛けてたみたいで、じゃあ居ないんか?って思った。でもさっき場所確認程度の10秒くらいの電話は「委員長」のスマヒョのはず。
玄関開けたあたりから雲行き怪しくて、なんか啜り泣くような声聞こえた。常木辺は後ろ手で鍵閉めてデキる男は用心深いなって思った。リビングに案内されて、オレは絶句。一人暮らしにこんな要る?ってくらい広いベッドの上にいたのは縛り上げられた「委員長」。裸にワイシャツ一枚だけ着てて、薄い胸が見えてたし、眼鏡はなくて、確かに美人系だった。いつもきっちりしてた髪もぐしゃぐしゃで、それがなんかそういうセットみたいで悪くなかった。
「かわいいだろう?カメラ回ってるからね。写真撮って逆に弱み握った気になっちゃダメだよ」
「は?」
「カップルチャンネルさ。ちょうど伸び悩んでいたんだ。ここは寝取り動画なんかいいなって。顔は隠すよ。これを飲んで」
常木辺は有無を言わせずオレに甘苦い液体の入ったコップを突き出した。口に。後頭部押さえられて口の中液体責めにされたらそら飲んじまうわ。
「君は渡貫を好きじゃないんだろう?好都合。ガチになられても困るからね」
オレがよく分からんとろとろのハーブティーみたいなもの飲ませられると、今度は常木辺は「委員長」を後ろから抱き抱えて、オレのほうに向けた。
「ちゃんと収益分は払うよ。お仲間と焼肉でも行けばいいさ」
常木辺は脱ぐのか着るのか分からない「委員長」のシャツをさらに開いて、白い肌に桃の饅頭の先っちょみたいにピンク色の乳首を触るか触らないのかはっきりしないくらいに触ってた。ということは触っていた。
「あ……っ」
びっくりするくらい「委員長」は女みたいな声を出して、細い腰を捻る。
「そのうち喉が渇くと思うから、そこの冷蔵庫にある水、飲んでいいよ。君はこれからおれたちの大事なゲスト男優だからね。渡貫のカラダの虜になってもいいが、絶対に好きにはなるな。心はおれのものだから。キスもするなよ。ははは、嫉妬ファックも悪くないが、大事にしたいんでね」
ずっと喋っているあいだ、常木辺は「委員長」の桃色乳首をはっきりしない触り方でくりくり弄っていた。
「あ……、ん……ぁ、あ……」
オレは乳首責めされるAVが好きなのだ。レズモノでも、M男モノでも。それが目の前で起こってる。男同士だけど。薄桃色の乳首がいじめられて、作り物じゃないリアルな吐息と声が聞こえてる。オレはさっきから喉がカラカラになってて、臍の下のほうがうずうずしてた。腰の骨が溶けそうになってる。
「渡貫、見てみなよ。御槃くんのおちんちんが浮き出てきたな。あれにたくさん、突いてもらえるんだ」
「あ……あ……」
堅物でクソ真面目な「委員長」が、あんあん鳴いて、細い腰をくねくね捩って、困ったふうに眉毛が寄ってた。
「でもまずは乳首でイこうか。御槃くんのこと、前に好きだったんだろう?乳首だけでイくところ、見ててもらおうか」
喉がカラカラしたきて、ちんぽの2本目が生えてくるみたいな変な感じがした。オナ禁してたときよりも、ヤバそうな勃起。でもそれよりも、あんな小さな乳首でちんぽ扱かれてるくらい気持ち良さそうな「委員長」から目が離せなかった。
「御槃くん、渡貫が乳首イきするところ、見ていてくれよ。まずはそれからだ。ずっと君が来るまで我慢してたんだからね」
常木辺の指がやっと、「委員長」の綺麗なピンク色の乳首を摘んだみたいだった。
「ん、ぁっ……!あっ……あっ!」
オレは乳首を捏ねる指と、びこんびこん上下に跳ねる「委員長」のちょっと皮被ってる勃起、どっちをみていればいいか分からなかった。
「好きになっちゃ、ダメだよ、御槃くん。エイプリルフールの嘘は叶わないんだから」
でもオレは、乳首でイきそうになってる「委員長」の潤んだ目を見た時に、もう心もカラダも取り返しのつかないことになってる気がした。
【完】
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