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第60話 どんどん欲張りに ♢壱成♢2 ※

「なんか……動いてねぇのに、すげぇ気持ちい……幸せ……」 「ん、俺も……だ……」 「じゃあもう、このままでいっか」  その言葉を聞いて、俺はもちろん冗談だと思った。でも、笑おうとすると、京は幸せそうに泣き笑いをしていた。 「……本気か?」 「だって幸せすぎて……。俺、もうずっとこのままでいいや……」  幸せそうにとろけた顔でそんなことを言う。  涙で濡れた頬を指で拭ってやりながら俺は聞いた。 「それは、生殺しじゃないのか……?」  京も俺の涙を拭ってくれる。 「全然。すげぇ幸せ。すげぇ気持ちいし。壱成を独り占めだし」  と、破顔して俺を抱き寄せ、俺の肩口に顔をうずめた。  はぁ幸せ、とつぶやく京がこの上なく可愛い。  可愛いが……それはないだろう。とおかしくなって笑った。  それでは俺が生殺しだ。  絶対に京に「動いて」と言わせてやる。  俺の肩に顔をうずめる京の頬を両手で包み、キスを誘うように優しく引き上げた。  嬉しそうに破顔して唇を寄せてくる京の耳に、俺は息を吹きかけ、舌を差し入れ、わざと水音をたてながら舐めてやった。 「んっ、いっせ……っ……」  耳を舐めながら、首筋に指を滑らせゆっくりと撫で、鎖骨を通ってさらに下へと滑らせる。  声にも身体にも、かすかだが反応があった。嬉しくなった。  さっき胸の突起を舐めたとき、京はちゃんと感じていた。次はそこを攻めようか。  滑らせた指で円を描くように乳首のまわりを撫でながら、耳から首筋へと舌を這わせ、もう片方の乳首をきゅっとつまむ。 「……っ、いっせ…………」  俺のように喘ぎ声は出ないが、かすかに身体を震わせ、なにより表情が気持ちいいと言っていた。  京がいつも俺にするような手つきで、両乳首を愛撫し首筋を舐め上げた。  京の熱っぽい吐息が俺の耳を犯し、後ろがうずく。すると、俺の中の京も一緒にピクッと可愛く震え、笑みが漏れた。 「京、本当にこのままでいいのか?」  にやりと笑って意地悪な質問をしてやった。  さすがにギブアップはまだかと思えば、京は情けなく眉を下げて叫ぶように言った。 「ご、ごめんなさいっ、無理ですっ、許して!」 「え?」  音を上げるのが早いだろ。それに、なぜ急に敬語なんだ。俺は思わずポカンとなる。  紅潮した顔で、京は俺のうなじをグイッと引いて唇を奪った。  突然の激しいキス。唇を合わせながら俺は笑ってしまった。 「京……かわいいな……っ、んぅ……っ……」  ひとしきり唇をむさぼって、京は「もう限界っ、動きてぇ……っ」と、つらそうに吐き出した。  このままでいいと言ったのはついさっきだろう。 「ばか。動くのは俺だ」 「壱成……っ」  京の瞳が、早く動いてと訴えてくる。  もう本当に、俺は京が愛おしくて仕方ない。 「俺のほうが生殺しになるかと思ったぞ」  俺が笑って唇にキスを落とすと、京はわずかに目を見開いた。  京が何かを口にしかけたが、俺のほうがもう限界だった。京の言葉を待てずに俺は腰を動かした。 「あぁ……っ、あ……っ、んっ、京……っ」 「う……っ、……壱成っ」  ハニーベージュと青緑が視覚で俺をおかしくする。ノブじゃない。京と繋がって愛し合っている。それだけで俺の身体は喜び、快感が脳天を貫いた。 「あ、あ……っ、あ゙ぁ…………っ!」  気持ちいい。気持ちよすぎて頭の中が霧がかかったように真っ白になっていく。 「壱成……やばいっ、中……やばいっ、うぁ……っ」 「きょ……も……っ、あ゙ぁっ、イク……ッ、ん゙……っあっ、きょうっ……っ!!」  身体中がビクビクと痙攣し、経験したこともない快感が全身を駆け巡った。  くたりと京にもたれかかる。  頭が真っ白で、もう何も考えられない……。 「壱成……っ、中ずっと……やばい……っ。あれ? えっ、すげぇ、ドライじゃん……」  京の言葉が耳から耳へと流れていく。  なんだか全身がふわふわとして幸福感に包まれていた。 「壱成? 大丈夫か?」 「……ん…………」 「あ、放心してる?」  言葉の意味はわかるが答えられない。まだこのまま、ふわふわしていたい。 「あーくっそ。怪我さえなきゃな。ドライは何回もイけるっつーじゃん。……うあー動きてぇ……」  そうか、俺はドライでイッたのか。何回もイけるのか。それはもったいないな。  俺の中の京はまだ硬い。それを確認して、俺は腰を少し持ち上げてみた。でも、どうにも身体が重くて、まったく支えきれずにすぐ京の上に落ちていった。 「あ゙ぁ……っ……」  これだけなのに目の前がまた真っ白になって京にしがみついた。 「壱成、もしかしてまだイきそう?」 「…………っ……」  動くだけでイク。ずっとイッてる気がする。そう答えたいが声が出ない。俺はうなずいた。 「……壱成、怒んなよ?」  と、京は俺を片腕でぎゅっと抱きしめると、骨折していない腕のほうにゆっくりと倒れた。 「……っ、きょ……っ!」 「あとでなっ。あとでちゃんと説教受けっからっ」  京は背中をつけて横になると、俺を抱きしめたまま下から突き上げるように腰を動かした。    

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