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 ……なのに、拓翔はそんな僕の気も知らず、立川さんを離さない。 「我儘言うなよ。迷惑だろう?」  僕がどれだけ言っても立川さんにしがみついてイヤイヤと首を横に振った。  洗い物もしてくれて、風呂も掃除して簡単にリビングまで片付けてもらって……これでひとまずさよならだと思っていたのだが、拓翔はかなり懐いてしまったらしい。 「それならもう少し片付けたり、あるもので作り置きしますから!二人でお風呂入ってきて下さい!」  どこまで良い人なのか、立川さんは拓翔の頭を優しく撫でて微笑む。 「いや、そんな遅くなって申し訳ないですって」  そもそも立川さんは休日だったはずなのに……スーパーで僕たちと会っただけでここまでやってもらったことだけでも畏れ多い。 「まだ、二十時前ですよ?平気ですから!ね!タクトくん!ちゃんと待ってるからパパとお風呂に行っておいで!」  それなのに立川さんは僕を見上げてから、膝を床についたまま拓翔に僕と風呂場へ行くように促した。  立ち上がって僕の肩も押されてそのまま本当に脱衣場まで来てしまう。  ここまでされて断るのは逆に失礼なのだろうか?  でも、立川さんは取引先のお客さんで、いくらなんでも甘え過ぎている。 「ごゆっくり!」  パタンと閉じられたドアを見つめて、僕は盛大なため息を吐き出した。

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