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関係って 3
前までは面白い画像などを見つけたらメッセージアプリで共有していたのに、今はわざわざこちらに身を寄せて俺のスマホから見ようとしやがるのだ。
それ以外にも飲み物の回し飲みを強請るようにもなったし、一度も泊まりなんてしたことがなかったのに、ここ最近はよく俺の家に泊まりに来ることも多い。
元々俺と静流自体がそういう距離感ではなかったので、ドギマギしてしまうのだ。
ただ、他の男友達に普通なのか相談したら、
「普通じゃね? 知らんけど」
と返されてしまったのもあって咎めにくかったりする。
……いや、俺の心境の問題かもしれないが……。
そうか、普通なのか。
俺は男友達とは駄弁って遊んでワイワイするくらいが普通だと思ってたんだが……。
そんなこと言ったら今の|セフレ《これ》も十分異常か。
普通ってわかんねえ……。
「……まぁ、とにかく。お前、疲れてんだろ? 早く寝ろよ」
「だるいだけ。体が重いっていうか。ちょっとゆっくりすればだいじょーぶ」
そう言って俺の肩に寄りかかってくる静流に、眉を顰めた。
心の波がさざめく。
大きく打ち寄せるわけではないが、波浪が起きるように揺らいだ。
「……綾都」
「うん?」
消え入りそうなほど小さな声で静流が俺の名前を呼んだ。
自分の名がその唇から紡がれるたびに、心の水面が大きく揺らぐ。
「………………」
だけれど、どんなに次の言葉を待てども、鈴虫の鳴き声以外、とくに何も聞こえてこなかった。
不思議に思って肩に寄りかかっている静流の顔を覗き込むと、すやすやと寝息を立てる姿が目に入る。
「って、ここで寝るなよっ!」
思わず出てしまったツッコミにおりていた瞼が重ったるそうに持ち上げられた。
「うるさいなぁ……寝ろって言ったのは綾都じゃん」
肩に寄りかかったまま迷惑そうな表情でこちらを見上げてくる静流に言葉に詰まる。
確かにそう言ったが……。
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