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俺のペットを紹介します
梅月を連れて4組に戻ってきた。当然のようにクラスメイトや舎弟がどよめく。梅月は俺の影に隠れるようにしてビクビクしている……正常な反応だ。
「写楽さん?誰なんすかその、写楽さんの背中をとらせているちんちくりんは……」
そいつらを代表して、クソモヒカンこと宮田が俺に聞いたが、俺はそれを無視して自分の席に着いた。……ペットだから名前で呼ぶか。
『遊』にもそこら辺の椅子を持ってこさせて、俺の隣に座らせた。舎弟の奴等は困惑した表情で俺と遊を見比べていて、珍しくリナも真顔だ。
「こいつ、俺のペットだから。名前は遊だ。俺に隠れてイジメたらぶっ殺すぞ。俺のペットだから、手懐けようとする奴もぶっ殺す。餌付けはかまわねぇ。以上、わかったな」
「へ?」
「ぺぺぺ、ペットぉ!?」
「写楽さん、おっしゃってる意味がちょっと……」
あー、説明するのが面倒臭い。一度で分かれよ、クソ野郎ども。
「ちょっと写楽ぅ!どーゆーことぉ!?」
リナが小走りで近寄ってきて、俺の机にバンッと手をついた。その衝撃に遊の身体がびくっと揺れる。
「どーもこーもねぇよ、こいつが俺のペットになりてーって言ってきたからペットにしてやったんだよ」
しれっとした顔で言った。聞いていた遊は、顔を耳まで真っ赤にしている。
「なによそれぇ!てゆーか彼女のリナよりペットの方が距離が近いってどーゆーことぉ!?ゆるせなぁい!」
「お前、彼女じゃねぇし」
「今更そんなこと言うのぉ!?エッチもしたのにひどいよぉ写楽!うわぁぁん!!」
リナは両手で顔を覆って泣き出した。もちろん泣き真似なのは分かっている。本気で泣いたらカラコンがずれるし、ゴテゴテの化粧も落ちるからな。
すると今度は、泣いたフリをしているリナをぐいっと後ろへ押しやりながらクソモヒカンが近づいてきた。(そのあとリナにケツを蹴られていた)
「ペットになりたいって言ったからって!そんなんでペットになれるんなら俺もペットになりてぇっすよ、写楽さん!!お願いします!!俺が一号で、そいつが二号ってことで」
「ペット枠は一名だよボケ」
「そんなぁ!!」
そろそろ本格的に腹減ってきたな……。
「じゃあこいつらに紹介も済んだし、行くぞ遊」
俺は立ち上がって、遊の腕を掴んだ。遊が困惑して俺を見上げる。
「えっ?」
「ここじゃ落ち着いて食べれねぇだろ。俺購買でパン買うから、そのあとどっかで食おうぜ」
「いいの?犬神くん、お友達は」
「どうでもいいよ。お前ら、絶対ついてくんなよ」
ついてくる気満々だったんだろう、リナやクソモヒカンその他の舎弟どもをギロッと睨んだら、ささっと全員から目を逸らされた。
「写楽ぅ、放課後デートはぁ!?」
「は?したことねぇだろそんなん」
「写楽さぁん!俺を置いてかないでくださいぃ!邪魔しませんからー!」
「存在自体が邪魔なんだよクソモヒカン」
「そんなぁ!」
それ以降の声は無視して、俺達は4組を出た。俺を呼ぶ悲痛な声がまだ聞こえるが、聞こえないフリだ。あいつらはホントにヤンキーなんだろうか……時々疑問になる。
「い、いいの?ほんとに」
「いいんだよ。つーかお前、俺と二人きりが嫌なのか?」
しきりにあいつらのことを気にする遊に、ズルい質問をしてやった。案の定、遊はまた顔を赤くしてふるふると首を振った。
なんかこいつの反応って、いちいち新鮮でいいな。
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