1 / 1

第1話

『ダチと抜き合いっことか、普通じゃね?』 ✽✽✽ 中学を卒業して、親の都合で地方から出てきた俺は何も知らない新転地で高校生になった。都会の奴らって冷たそうだな…とか、怖いってイメージがあったけど、そんなの俺の勝手な偏見だったらしく、周りの奴らにも恵まれて友達もいっぱいできた。皆良い奴ばっかりだ。クラスの奴らとは皆友達〜!みたいな感じだけど、休日や放課後に遊んだり気を使わずになんでも話せて特に一番仲がいい奴が、俺には二人いる。 一人は濃いグレーのアッシュ髪で、眼鏡のせいでなんかちょっとインテリっぽいけど話してみるとす口が悪い朋也(ともなり)。だけど、口が悪いって言っても別に無闇矢鱈に悪口とか言ってるわけでもなくて、ただ言葉遣いに少々問題ありって感じかな。しっかりしてるし、頼りになる。それと、黙ってればすげ〜美青年。 もう一人は金髪黒メッシュで運動得意な蒼生(いぶき)。いつもニコッてしてて、見た目通り明るくて誰とでもすぐ仲良くなれて、時々おちゃらけてる。まぁ、見る人が見ればチャラく見えるかもしれない。だけど、根っから優しくて、この明るさと人を惹き付ける力は天性さながらと言ってもいいかもしれない。蒼生も勿論、イケメンの部類。 朋也と蒼生は中学から一緒らしく、前から仲がいいみたいだ。言い合いとかしたりするけど、蒼生と朋也、二人の性格の相性はお互いの足りない部分を補いあっていて結構バランスが取れてていい。蒼生がはしゃぎ過ぎたり度が超えそうなとこを朋也がうまく止めてセーブかけてあげてるし、朋也があまり周りの奴らと積極的に関わろうとしないから蒼生が間に立ってきっかけを作ってコミュニケーションの橋渡しをしてあげてたりする。それで、俺が高校生からこっちきて、この二人の輪の中にいつの間にか入ってて、今はいつも三人でいる。 朋也も蒼生もそうだけど、なんで俺の周りはイケメンばっかなんだろ?やっぱり、都会だから?育ちが違うってか?たま〜にそんな事を考えたりする。俺は背もそんなに高くないし、髪の毛は少し癖毛でスタイリング剤使ってないとすぐぴょこってたつへんてこだし、周りの奴らは皆、高校生!大人っぽい感じがでてきてるのに、俺は未だに時々中学生に見られたりする。だから、ちょっと背伸びして男っぽく、大人びた雰囲気を頑張って作ってたりするときもある。それができてるのかは分からないけど…まぁ、気づけばいつもの自分に戻ってるんだけどな。 『なぁ〜今日さ、俺の家で遊ばね?つか、今日と明日さ、泊まらね?今日から出張で親居ないんだわ。"お友達が泊まってくれたりしたら、留守は安心ね"って言われた』 『俺にお前の見張り役になれと?』 『違うし!見張り役じゃね〜よ、遊びに来いよって言ってんだよ。勿論、ユウは来てくれるよね?』 「ん〜?別にいいけど。どうせ用もないし、家居ても暇だから」 『だってさ。朋也はどうすんの?』 『行ってやってもいいけど、飯はお前が作れよ』 『勿論!まかせて〜。俺、案外料理得意なんだぜ』 「まじで?俺、和食がいい」 『俺も』 『はいはい、楽しみにしてろよな。お前ら荷物とりに帰んだろ?その間に買い物とか料理済ませておくから…遅くても19時までには来いよな?それ以降は遅刻なので冷めた飯しか出ません』 『お前は親かよ?門限つけんな』 「わかった〜。料理まで作ってもらって申し訳ないから、俺、なんかデザート買ってくる」 『悠、気使わなくていい』 『テメ〜が言うなっつうの。ユウは俺に持ってくるって言ったんだし』 『そうか?』 『そうだろ』 「はいはい、喧嘩しない。蒼生のも朋也のも、ちゃんと持ってくるからさ…って、もうこんな時間?!早く帰って準備しないと19時間に合わない…んじゃあ、またあとでな」 『ユウんち、一番離れてっからな…別に時間過ぎてもあたっけ〜の食べさせてやるから、気をつけて帰って気をつけてこいよ』 『悠、慌てて怪我するなよ?普段通り帰れ』 「んっ、わかってるよ。じゃあな」 『おう、またな』 『あとでな』 ✽ 二人には慌てるなって言われたけど、やっぱりこういう時って慌ててしまうもので、家につく頃には汗だくになってた。もうすぐ秋だってのに、日が沈むこの時間もまだ暑い。取り敢えずシャワー浴びて、荷造りして、蒼生の家に向かいながら約束通り、皆で食べるデザートを調達した。慌てて帰ったからか?19時には思っていたよりも全然間に合いそうだった。 電車降りてからバス乗って、目的地で降りて暫く歩くと真っ白な二階建ての家が視界に入ってきた。そこが蒼生の家。都会にこんな家建てられちゃうんだから、それなりの家庭なんだってすぐにわかる。その代わり、蒼生の親は二人ともいつも忙しいらしくて、弟とよく二人で留守番してたな〜なんて言ってたことがある。今もそうみたいだけど、蒼生も弟も大きくなったから逆に居ないほうが気楽らしい。それに、親が仕事詰めであまり会わないからといっても、仲は悪くないらしく、寧ろ仲が良すぎて兄弟みたいな感覚で時々鬱陶しいよ?とか言ってた。時間はなくても、いっぱい愛情もらって育ったんだな〜って。いい家庭なんだなって思った。時々こうやって出張で家をあけるらしいけど、俺、蒼生の家に泊まるのが初めてだったりする。家には遊びに行ったりするけどさ。だから、お泊りってのが、いつもより楽しみで妙にワクワクしてる。 蒼生の家の前に立って、インターホンを押す。すると、すぐにプツッて無機質な音が聞こえてきて、そこから蒼生の声が聞こえた。 『ユウ、いらっしゃい。開いてるから入ってきて』 「うん」 門を開けて入って、綺麗に整備された砂利道をほんの少しだけ歩くと家へと続くドアを開けた。 「おじゃましま〜す。蒼生どこ??部屋?」 『ちがう、台所に居る〜』 二階にある蒼生の部屋まで届くような声で居場所を聞くと、蒼生から同じ声量で台所って返事が帰ってきて、俺はリビングへと向かった。 ✽ 『いらっしゃい。なんか飲む?』 「ん〜?もらおうかな」 『何がいい?』 「何があるの?てか、蒼生まだ料理してる途中だろ?だから、俺自分でやるよ」 『助かる。時間指定しといてなんだけど、もうちょいかかりそう』 「うん。いつでも大丈夫だからさ、手、切らないようにな」 『そんなヘマしないし。俺の料理、めっちゃ美味しいから』 「ん、いい匂いしてる。期待してるな。つか、朋也は?まだきてないのか?」 『そう、まだ来てね〜の。あいつん家、すぐそこなのにさ。多分、風呂とか済ませてくるんじゃないか?』 「そうかもな。俺も入ってきたし」 『は?まじか…』 「なんか駄目だったか?」 『いやさ、お泊りつったら裸の付き合いも付きものじゃね?』 「ぷっ…いつの時代だよ、それ」 『え〜?いいじゃん、裸の付き合い!絶対楽しいだろ』 「どうせ明日も泊まるんだから、明日すればいいだろ?」 『まぁ、それもそうだな』 「そういえばさ───」 そんな他愛もない話をしてるうちに蒼生が作ってくれた料理が出来上がって、テーブルに並べるのを手伝う。全て並べ終える頃にはタイミングを見計らったように、朋也もやってきた。蒼生が作ってくれた料理はお世辞抜きに美味しくて、"また明日もつくってよ"って朋也と頼んだら、褒められて上機嫌になったのか蒼生はやる気満々で了承してくれた。それから俺が買ってきたデザート食べて、普段通りいつもみたいに話しで盛り上がったりゲームして騒いだりして、時間はあっという間に過ぎてった。 ✽ 「あっ、おかえり」 『はぁ〜っ、すっげ〜気持ちかった…ただいま』 『お前、いつも風呂長いよな』 『だってさ、風呂気持ちいじゃん。疲れとれるし?』 『おっさんかよ』 「湯舟いいよな。俺も好き」 『ユウ、わかってくれる?ほんといいよな。癒される』 『はいはい。で?蒼生、なんか映画見るんだろ?』 『そうそう、新作でてさ、借りてきた。俺の好きなアクションもの。だから、一緒に見ようぜ』 そう言った蒼生がDVDをセットすると、三人でラグの上に座ってソファにもたれながら映画を見た。最初は爽快!って感じでやっぱりアクションものっていいよな〜って展開をドキドキしながら見守ってたけど、やっぱり海外映画だけあって、主人公と女の人のえっちなシーンとかあって、違う意味でドキドキする…そんなシーンになると、つい目を逸らしちゃうし、なんだか妙な空気が漂って無言になるのは仕方ないよな?仲良くても、なんか気まずい…。そう思うのって、俺が未経験だから…かな?朋也と蒼生は普通に見てるし…。 『楽しかった!次はいつ新作でんだろ』 『そんなポンポン出るわけないだろ』 『てかさ、最後の方の主人公と彼女のセックスシーンのせいで勃っちゃったんだけど』 「っ?!」 『変態』 『男子高校生なら健全な反応じゃね?もしかして、朋也って勃たね〜の?』 『アホかお前は。俺は健全そのものだ』 『ぷはははっ、言ってる意味わかんね〜よ朋也。ユウは?…って、聞かなくても分かるな』 『悠、真っ赤になってる』 「〜っ!いちいち言うなっ」 なんでこんなにオープンなんだ?恥ずかしいとか思わないのか?いくら友達でも、男同士でも、勃ってるのバレたら恥ずかしくて死にそうになんだけど… 『初だな』 『そうだ!どうせだから、抜き合いっこしよ』 『お前とかよ?まぁ、悠がするなら混ざってやる』 二人とも何言ってんだ?抜き合いとか、ほんとにするやつ居んの?俺、友達とそんな事したことないんだけど…?正気か? 「まじで言ってんの?朋也も蒼生も」 『本気だけど?勃ってたらどうせ寝れないし』 『大マジ。ダチと抜き合いっことか、普通じゃね?』 「……っ」 朋也の言う通り、確かにこのままじゃ寝れないし…抜き合いって、普通…なんだ? 『なんかえっちな動画見ながらするか?』 『そりゃそうだろ。お前のおっ勃てたやつ見ながらしたら萎える』 『ひどっ!いぶ君泣いちゃおうかな〜』 『奮冷めする。気持ち悪いから早くつけろよ』 『へいへい。ん〜じゃあ、これにしよ』 「…っ、」 朋也と蒼生の余裕さにちょい混乱する。今までこういう話しとかしたこと無いから、余計に、かな。俺をおいて進む話しに、二人はもしかして前にもしたことあるのか?って考えがよぎった。だけど、蒼生がつけた動画のせいで、そんな考えは一瞬で消え去った。 最初はただのドラマみたいにストーリーが進んでって、なんだかわけわかんないうちに前戯が始まって、途中からもう一人男の人が加わって、3Pをしだしたんだ。一人の人に下を指で弄られて、咥内にはもう一人の人の昂ぶったモノを咥えて苦しそうにしながらも、画面の中の女の人は凄く気持ちよさそうにしてた…っ。口ん中も、下も、胸も、余すことなく二人の人に体を弄られて、耐えれずに途中何度かイッちゃった女の人の快感に惚ける表情に釘付けになる。ついには俺とは違う大きいモノを下にも上にも深く咥えこまされて、イキっぱなしになっちゃったその人は、潮吹きっていうのをしてた。快感に虚ろになってるその表情にあてられて、俺はまだ触ってもないのに、ちょっとした刺激でもうけたらイキそうだなって感じてた。朋也と蒼生は、恥ずかしげなく前を晒して手を上下させてる。俺も触っちゃおうかな…でもきっと、数回扱いただけでイキそうだし…早漏って言われんの嫌だ… "ァッ♡ンァ〜ッ♡" 画面から流れてくる喘ぎ声が鼓膜を擽る。俺には刺激が強すぎて、見てるだけでまじでイッちゃいそうだ…。なんでか知らないけど、見てるうちに画面の中の女の人が羨ましいって思った。あんなふうにされてるみたいなこと、俺もされたい…何故かそう考えちゃったんだ。そんな事考えたら一気に思考はそこにもってかれちゃって、あの人みたいに弄られてみたいとか、口の中って気持ちいいのかな…とか、乳首も男でも感じるかな?なんて想像や妄想をしてしまっていた。普通なら多分、口淫されてみたいとか、中に挿れてみたいとか胸揉んでみたいとか考えながら自慰するんだろうけど、何故か俺はそう思わなかった…逆にされたい、あんな虚ろになるまで快感にまみれてみたい…そう思っちゃったんだ。 『くっ…ふぁ……』 『はぁ…っ』 朋也も蒼生もイッたみたいで、息の詰まった初めて聞くふたりの色気の混じった声が両隣から聞こえてきた。なんか俺だけ恥ずかしがって、余計に未経験なのバレバレなきがする…。 『ユウ、しないの?』 『なんだよ、恥ずかしいのか?』 「〜っ、」 『手伝ってやろうか?』 『苦しそうにしてるしね。朋也、ユウのこと後ろから抱いててくんない?』 『命令すんじゃね〜よ』 「っ、うわ?!ぁっ、ま、まって…っ、」 『ユウ、脱がすからな?』 『あんまり暴れるな悠。俺も蒼生も悠の前でイッただろ?』 「ひっ!?いやだっ、朋也、蒼生っ」 『ユウ…精液出てないのに、すっごい濡れてる‥パンツに糸ひいてるし』 『触ったらすぐイキそうだな』 「〜っ!?言うな…ばかっ」 『なぁ?こんなになるまで何考えてた?やっぱり、ユウも女の子の胸触ったりとか、えっちしてみたいって思いながら見てた?』 「…ちが‥っ、」 『ふ〜ん?なら、されてみたい…とか?な〜んてな』 「〜〜ッ!!!」 『まじかよ』 『うそだろ』 自分の感情が周りにバレバレでわかりやすいのが凄く嫌になる。朋也も蒼生も驚いてるし…。そうだよな、普通は男は男目線で見るものなのに、俺は女の人の方の目線になってた‥つうか、自分がされてるとこまで想像しちゃった…。別に男が好きなわけじゃないし、今まで好きになってきたのも女の子なのにな。なんでか自分でもわからない。ただ、気持ちよさそう‥あんなふうになるまで気持ちよくなりたい…そう思っただけなんだ。未経験な俺が見たことない、あのえっちな動画の刺激が強すぎたんだよ…あてられただけだ…きっとそう。 『ユウ、してみる?』 「な、なにを…」 『そりゃあね?』 『さっきの動画みたいなえっちな事、だろ?』 『そうそう』 「へ…?俺、男だし…女じゃないから」 『わかんないの?男同士でもできるって』 『ユウはほんとに初だな。なぁ?試してみようぜ』 『悠が想像してたことで気持ちよくなれるか』 「っ、」 『取り敢えず、苦しそうだから一回イッとこうな』 『悠、好きなときにイッていいぞ』 「〜ッ、ひゃっ?!ァッ、ん〜っ!!ハァッ、ァッ‥まっ…まって、ふたり、で…ッ、ンァッ、イッ‥でるっ、〜〜〜ッ!!んっ、くッ…ふぁ…ァッ、ぁ…」 『なんかユウかわいい』 『声えろいな、悠』 「ハァッ、ハァッ‥はぁ…ッ」 限界まで昂ぶってた男根をふたりに同時に触られて、数回扱かれただけで俺は呆気なく射精した。自分の手で触るのとは全然違う…人に触られたらこんなに気持ちいいんだ…って、初めて経験したその快感に惚けた。頭の中は真っ白で、ぼやけた視界では、ふたりが俺をどんな瞳で見てたのか、わかんなかった。 『ユウ、もっと、気持ちいコト、しような』 『悠が想像してた事、全部試そう。きっとどれも気持ちいいから』 「んっ…」 快感に流されてるって自分でも理解してる。こんなのよくないって分かってるけど、溢れた欲求には抗えなかった。 続──

ともだちにシェアしよう!