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第11話

色々あった文化祭が終わり、普段の生活が戻ってきたと思ったが…凪咲と律は全くそんな事がなかった。 ミス・ミスターコンテストで優勝を飾った2人は目立つ様になってしまい特に律はイケメンというのが学校中に広まってしまい告白してくる女性が増えたのだ。 それを断ると「如月さんと付き合ってるからですか?」と聞かれてしまい、凪咲にとばっちりが来ているのであった。 「まさかのこんな事になるなんて…」 「ごめんね、凪咲」 保健室でぐだーっとする凪咲に対して律は謝るが、凪咲はすぐに手を横に振って「謝る必要ないよ!」と伝えた。 それでもしゅんと落ち込む律を見て凪咲は隣に座ると頭をよしよしと撫で出した。 「え…!?」 まさかの出来事に律は頬を赤らめて驚き凪咲から離れたが、すぐに元に戻ると凪咲に頭を差し出してきて、凪咲は撫で続けた。 「大丈夫、寧ろ僕こそごめんね、コンテスト一緒に出たから律がこれだけ目立つ様になっちゃったんだし…」 「いや、凪咲との大事な思い出作りだから…それは全然大丈夫だよ」 お互いに顔を見合わせるとニコッと笑い合った。 そんな2人を見て佐野先生も口角を上げているのだった。 放課後になり、凪咲は帰ろうとしたが…校門前が騒がしい事に気づき、ピタリと止まってしまった。 帰ろうとしている人達が見ている先には他校の制服を着た男子がいたが、凪咲はその人に見覚えがあった。 律の中学時代の元恋人さんだった。 (何で…今更ここに…?もしかして律に用事?でも律は今日、委員会の集まりで忙しいって言ってたしな…もしかして違う人かな?) うーん…と悩みながらも違う人を待ってるという結論になると凪咲はそのまま帰ろうと目の前を横切った瞬間だった。 「待って!!」 大きな声で言われたのと同時に手首を掴まれてしまい、凪咲は相手を見てしまった。 「え…な、何ですか…?」 「…君に用があって待ってたんだ、如月凪咲さん」 まさかの相手が待っていたのは律ではなく凪咲なのであった。 ----- カフェに入り、お互い向かい合うように座り自己紹介をしてから注文をしたがその後はシーンと静まり返ってしまい、凪咲は悩み出した。 とにかく話そうと口を開こうとしたが、先に話しだしたのは相手の方だった。 「いきなりすまなかった、ただその…君は…律と仲が良さそうに思えて…」 「…何故?」 「文化祭遊びに行ったんだ。そこでコンテストを見て…君とランウェイを歩く律は凄く楽しそうだったし、その、うん、キスも…」 キスという単語を聞いた瞬間に凪咲は顔を真っ赤にして、すぐにしていない事を伝えようとしたが凪咲が話す前に相手が手を前に出して「分かってる!」と声を上げた。 「君が男性というのも知ってる、だから律も君にあれだけ特別な感情を抱いているのだろう」 「特別?いやいや、僕と律はただの友達だよ」 「え……」 一瞬パァっと喜んだ顔を見せてきたが、すぐに顔を戻すと真剣な表情と声色で話し出した。 「つまり、君と律は付き合ってないと?」 「付き合ってないです…」 「そうか…」 ホッと安堵の表情を浮かべる暁斗を見て、律が聞いていたのと何かがおかしい事に気づき、凪咲は思い切って問い掛けてみた。 「律が同性愛者だというの…バラしたのって暁斗さんですよね?」 「違う!俺はバラしてなどいない!だからすぐに律に話し掛けようとしたが、周りの奴らが正義ぶって俺と律を会わせないようにして…そのせいで、律とは連絡が出来なくなってしまって…」 落ち込む暁斗を見て、凪咲は少し考えてから恐る恐る問いかけた。 「もしかして、今でも律のこと…好きなんですか?」 その問いかけに暁斗は俯いて少し経ってから、小さな声で凪咲だけに聞こえるように喋った。 「ああ、好きだ…今でも後悔している…」 「っ……」 凪咲は何も言えなくなってしまった。 もしも、誤解が解けたら…律は暁斗を選ぶだろう、そう考えたくはないが頭の中でグルグルしてしまい何も発することが出来なかった。 「それで、君にお願いがあるんだ…」 「……な、んですか…」 「俺と律が会えるように仲介役をしてくれないか?」 お願いされた後の事が分からない。 気づいたら自分の部屋に居て、どうやって帰ってきたのか分からなかった。 ただ言えるのは…凪咲は仲介役を引き受けてしまった、ということ…。 「僕…どうすれば良かったんだろ…」 悩んでも次の日は来てしまい、保健室に行くと朝から律が居てニッコリ笑顔で凪咲に近寄ってきて「おはよう」と挨拶をしてきたが、凪咲は返せなかった。 「?凪咲…大丈夫かい?」 「…あのさ、昨日ね…」 暁斗の話をすると律は一瞬顔を顰めたが、すぐに笑顔に戻すと… 「分かった、放課後会いに行ってくるね」 と言ってきたのであった。

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