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第35話

「あなた、お帰りなさいませ」 「ああ、ルシアはどうしているか? 殿下はまだなのか?」 「もう来ると思うのですが……。 ルシアは部屋で静かにしておりますわよ」  朝からルシアの発情の兆候があった。すぐにアレクシーには知らせたが、外せない公務があるため行けるのは夕刻になるとのことだった。ルシアは部屋でアレクシーの到着を待っていた。 「そうか……殿下もお忙しい、外せない公務もあるからな、ルシアはさぞ待ちわびているだろうな……」 「ええ、セリカが付いているから安心ではありますが……」  そこへアレクシーが、息せき切って到着した。 「すみません、遅くなりました。ルシアは部屋ですか?」  返事を聞く前に、ルシアの部屋に駆け込んでいく。それを公爵夫妻は唖然と見送る。 「あなた、ルシアが嫁ぐ前の最後の発情になりますわね」 「そうだな、寂しくなるな……花嫁の父の心境だよ」 「ええ私も……ルシアがここに来てから、本当に楽しくて私ルシアが大好きになりましたわ」 「それは私もだよ、ルイーズありがとう、君のおかげで得難い人の兄になれた」 「あなたの尽力のおかげでここまでこれたのですわ、私もあなたには心から感謝いたします」  二人はお互いに感謝し合い、その労を労わり合った。そしてルシアが嫁ぐその日までは勿論、それ以降も支えていくことを確かめ合うのだった。 「ルシアすまない、遅くなった」言うなり、ルシアを抱きしめた。体が熱い、そして得も言われぬ香りがする。発情しているオメガの、アルファを誘う香り、アルファを求める香りだ。 「辛いか? もう大丈夫だ。我が抑えてやるからな」  ルシアは、朝からアレクシーを待っていた。公務のあるアレクシーがすぐに来られないことは、頭では分かっているが、オメガの本能は理性を超える。待って、待って、待ちわびていた。アレクシーの香りが、ルシアを心からの安堵で包む。熱い体でアレクシーに抱きつく。ルシアはアレクシーを全身で求めた。  アレクシーがルシアの着衣を脱がすと、白い肌は発情の熱で薄紅に染まっている。アレクシーが触れると、しっとりと熱も帯びていて吸い込まれるように弄る。弄る手が胸に触れると、ピックと尖る。アレクシーの愛撫を期待するそこに応えてやると、待ちわびたルシアの体は喜びに震える。 「ああうっ……」  ルシアが甘い喘ぎを漏らすと、褒美とばかりにアレクシーは益々そこを攻め、ルシアの官能を高めていく。 「ああうっ、うふんっ……」  ルシアの身体中の官能がざわめき、ルシアは身を捩らせ、喜悦の喘ぎを洩らす。アレクシーの愛撫に翻弄されてルシアは乱れた。アレクシーが欲しいと、啜り泣きながらアレクシーを求めた。  アレクシーがルシアの秘めた蕾に触れると、そこは既に花の蜜で溢れていた。アレクシーの指は吸い込まれるように入っていく。ルシアの全身は喜びに震える。 「そなたのここは、我を待ちわびているようだな。ルシア、欲しいか?」 「欲しいっ……お願い……は、早く……」  快感に乱れて、自分を制御できなくなっているルシアは、直截的に強請る。己に対して随分と慣れてきたなと、アレクシーは嬉しくなる。もう少し焦らしてやりたいが、己も限界だ。  アレクシーが、ルシアの両脚を掲げ上げると、ルシアの白磁のような双丘が晒される。ルシアの花蕾は、蜜を溢れさせアレクシーの牡を迎え開花の時を待っているかのようだ。  アレクシーはいきり立った牡を、ルシアの花蕾にあてると吸い込まれるように深く沈めていく。  ルシアの蜜に濡れた花蕾は、アレクシーの逞しい牡を歓喜と共に受け入れる。ルシアの目じりから歓びの涙が零れた。  アレクシーは、口唇でルシアの涙を吸い取ってやる。ルシアのものは涙まで甘い。 「ルシア、きれいだよ。そなた以上にきれいな人を私は知らない。最高だ! 素晴らしい! 愛している」  ルシアは、アレクシーの数々の賛辞を歓びに震えながら受け止める。アレクシーに抱きつく力が強まる。ルシアの精一杯の応えだった。 「ルシア動くぞ、よいか」  アレクシーが抽挿を開始した。初めはゆっくりと優しく、徐々に早く激しく。 「ああうっ……アレクシーっ……アレクシーっ」  ルシアは、沸き起こってくる快美感に身体を震わせながら、喘ぐようにアレクシーの名を呼ぶ。  アレクシーもまた、ルシアの肌の色が美しく光沢を帯びていき、挿入している自身の牡を締め付けてくる感触に悦楽を感じる。  アレクシーの突き上げは激しさを増し、ルシアの官能を追い上げ陶酔にいざなっていく。ルシアの清楚な美貌に、妖艶さも合わさり、神がかった美しさに変じていく。  アレクシーが、牡の精を迸らせ始める。ルシアはアレクシーの全てを受けとめながら、陶酔に身を委ねると、全身に快美感を感じ、官能の昂りに上り詰めていく。  アレクシーが精を放ち終えたその時、ルシアも多幸感の中、陶酔の頂に上りつめ自失した。

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