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第76話 征服欲*

 僕は頷いて腰を上げ、胡座をかいた律の上に跨って、首の後ろに手を回す。  熱を感じて、それだけでじわりと先走りが滲んで下着を汚した。 「すごい、千紘の……熱いね」 「あっ……やだっ、律っ……やぁぁ……っ」  僕の下着をずらした律は、中から熱いものを取り出して、自らのものと纏めて両手で擦り上げた。  あまりの気持ちよさに目がチカチカする。  敏感な場所をゆっくり何度も上下され、先端の窪みを指で撫でられると、とろとろに濡れてしまう。  どんどん幹を伝う蜜を見ながら、くすりと律が笑った。 「そんな蕩けた声でやだって言われても、やめてあげられないですよ」 「や……っ、だって……あ───……」  律だって十分に張り詰めているのに余裕の表情なのが恨めしい。  僕ばかりが翻弄されて頭を蕩けさせている。  あと少しでイッちゃう。  僕は律の手の動きに合わせて自ら腰を揺らし、気持ちよくなる箇所を見つけた。  徐々にせりあがってくる欲望に耐えきれなくなってくる。  あともう少し、という手前で、律の手の動きが止んでしまった。  え、え……どうして。 「……あ、あっ、律……っ」 「1度イかせてもいいかと思いましたが、きみがあまりにも可愛いのでお預けです」 「えっ、い、意地悪……」 「その分あとで、またたくさん気持ちよくしてあげますから」  もう限界に近かったのに解放できなかったせいで、太ももがブルブルと震えている。  もうまともな思考が持てない。  頭は蕩けて、律のことだけしか考えられなくなっている。  潤んだ瞳を向けると、律は優しく耳元で囁いた。 「後ろ向いて」  僕は従順して、律に背を向けた。  うつ伏せになって体を丸め、羞恥でいっぱいになりながら律を振り返ると、首を傾げられる。 「この体勢だと怖いですか? 前からの方がいいなら……」 「ううん、そうじゃなくて……律って、征服欲とか強い方……?」  ふと、律をそう予想した素晴くんの言葉を思い出した。  訊ねると、律はほんの少し虚をつかれた顔をして、ふふっと面白そうに笑って僕のお尻の狭間を撫で始めた。 「そうですね、そうかもしれません」 「───あ……っ」  僕の中に、律の指が入ったのが分かって息をのんだ。  中の襞を擦り上げながら、とろとろに濡れていた律の指が奥まで届く。  長い指はしばらく留まったあと、また入口の方に抜けていった。  今度はまた奥まで入って、また抜けて。  抜き差しをされる度に水っぽい音が鳴る。  逃げるように枕に顔を埋めて腰を上げると、奥まできた指がさらに深いところまで届いてしまう。  くっと中で関節を折られると、直接神経に触れられたみたいな強烈な感覚が腰全体に広がった。 「やっ、それやだぁ……っ」  強すぎる快楽に首を振ってすすり泣いてしまう。  泣いたからといって律は止めるつもりはないらしく、執拗にそこを指でこすってくる。 「気持ちいいの? 千紘」 「……ん、ん……っ」  何これ。こんなの知らない。  粘膜をこすられて、中に媚薬でも塗られているみたいにジンジンして蕩けてしまう。  本気で涙をポロポロと零していると、律の指はようやく抜けていった。  それなのに、まだ入っているみたいな感覚が取れない。ひくひくと、襞が勝手に収縮を繰り返している。  物足りなさそうに、指ではないものを入れてもらえるのを期待しているように。

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