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「ま、待ってよロロ~…」 神子としてこの世界にやって来たセツは。 世界を守るため、毎日ヴィンとお勉強や魔法の訓練をしていて。 そのせいでっていうか…元々、運動不足もあって。 こないだ気分転換にって、ボクとジーナとで追かけっこしてたら…相当キツそうにしてたんだ。 セツは元いた世界では、まともな鍛錬なんてしたことなかったらしいから。 ちょっと林の中を走っただけで、思いっきりコケちゃって…。 年下のボクらにも全然、敵わなかったものだから。その後メチャクチャへこんじゃってたんだけど。 神子の役目もあるし、少しは体も鍛えなきゃって。 それからは勉強だけでなく、たまにこうしてボクらの練習に混ざるようになったんだよね。 「セツ、ごめん。ちょっと早過ぎたよね。」 「や…オレこそっ、遅くて…ごめっ…ハァッ…」 ゆっくり走ったつもりだったけど、セツにはまだまだキツかったみたい。気付いたら随分差が出来ちゃってて。 ボクが慌てて駆け寄ると、セツはその場にへたり込んでしまった。 「はぁ~…情けないなオレっ…年下のロロにっ、全く歯が立たないなんて…」 ガックリと膝を付き、肩で息をするセツは。 そう言って、しょんぼりしてしまう。 だからボクは、苦笑しながらも。 その背を優しく擦ってあげたんだ。 「仕方ないよ、ボクらは騎士なんだから。」 そう、ボクやジーナはルーファス達に比べたら、まだまだ子どもだけど。守護騎士になる前は、成績もかなり良かったからね。 こう見えて階級も、結構上の方だったんだよ? そもそもセツの世界とは、文明も何もかもが違うんだし。 いくらセツが年上でもさ。守護騎士が、護るべき神子相手に…おいそれと負けるわけには、いかないと思うんだよね。 「解ってるけどさぁ~…」 悔しそうに唇を尖らせるセツ。 こう見えてセツは、20歳以上らしいからびっくり。 拗ねた表情とか、あんなに可愛いのに。 不思議だよねぇ? 「けどさあ、ロロ達も相当苦労してんだろ?沢山の騎士の中から、守護騎士に選ばれたんだし。」 「そりゃあね。騎士を目指す人は大体、守護騎士に憧れて上を目指してるから。」 最初はこんな見た目でバカにされたり、からかわれたりもしたけど。そこは実力で挽回したっていうか。 今では子どもだからって、舐められるようなことも少なくなってた。 「オレもさ。たくさん修業したら、ロロ達みたく強くなれるかなぁ~?」 「え!?…セツが修業するの?」 セツが修業とか…今の様子だと、相当頑張らないと無理な気もするけど。 万が一、守護騎士並みに強くなっちゃったとして。 そうなったら、ボクらなんて要らなくなるんじゃあ… 「そんなのダメダメっ!セツは今のままがいいよ~!」 「ええ~…でもさ、それなりに鍛えといた方が良いと思うけど…。」 そうすれば、いざって時にみんなに迷惑掛けなくて済むし…って。 確かにその通りだけどさ! 「でも、やっぱりダメだよ!セツを護るのが、ボクの使命なんだから!」 必死になってセツに縋り寄れば。 セツは、困ったように笑う。 「ボク、セツの傍にいたい…ちゃんと護りたいんだよ…。」 そのためなら、修業だってなんだって頑張れるよ? 最初は単純に神子のためだって、思ってたけど…。 「セツだから、護りたいんだ。」 「ロロ…」 ギュッとセツの袖を掴めば、セツは慰めるみたく頭を撫でてくれて。 堪らずボクは、大好きなその胸を抱き締める。 「ボクはもっと強くなるよ?体もルー達に負けないくらい、大っきくなってさ。守護騎士として、必ずセツを護ってみせるんだから…」 「ん、そっか…」 なら安心だなって、セツは嬉しそうに微笑む。 「ロロ達が守ってくれるなら、オレも神子として頑張れるよ。」 背中は預けたからなって。 言ってセツは、ボクの頭をヨシヨシって…優しく撫でてくれるんだ。 セツのこの笑顔が、いちばん大好き。 「けど、ロロまでルーファスみたくなっちゃうのかな~。ジーナにも、なんか似たようなこと言われた気がするし…。」 そしたらオレが一番小さくなるなって。 先の姿を想像したのか、セツは忙しくも苦笑交じりに溜め息を吐く。 「今はこんなだけどね。ボクだってルーファスに負けないくらい、カッコイイ大人な男になってみせるんだから!」 だから、 「覚悟しといてね、セツ?」 「ひゃっ…」 不意打ちにチュッてセツのほっぺに、キスをする。 「ロロッ!!お前ソレ、抜け駆けだぞ~!」 タイミング悪く、向こうからやって来たジーナとルーファスに見つかっちゃったけど。 好きなんだから、しょーがないよね? 「えへへ~セツの初ほっぺちゅー、いっただき~!」 「もう…こういうの、ルーファスがうるさいんだからな?」 けどセツは優しいから。 笑って許してくれるでしょ? そういうトコも、 「だって好きなんだもん~!」 「はは、オレも好きだよ。」 「セ、セツ!そ、それは本気なのか…!?」 わかってるよ、それがボクとは違うものだって。 でも今は良いんだ。 (負けないんだから…) 例え勝ち目が無くても、叶わぬ想いだとしても。 「好き好き~だーい好き~!ボクら両想いだね~セツ!」 「あはは、そうだな~!」 「さすがにあのノリには、ルーも敵わねぇな…。」 「むむ…」 ライバルはみ~んな強敵ばっかり。 それこそ1番のラスボスは… フェレスティナ屈指の美貌と実力を誇る、最強騎士様なんだから。 モタモタしてたら、 「汗掻いたし、一緒に風呂でも入ろっか?」 「入る入る~、背中流しッコとかしようよ~!」 『風、呂…だと…!?』 セツのいちばん、ボクがぜーんぶ頂いちゃうからね? …end.

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