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「ごめん、オレッ…」 軽率だった。 オレなんかが到底理解出来そうもないような、 辛いトラウマを抱えている昴クンに対してさ。 これじゃ、恋人失格だよね… まるで昴クンの悲しみが、移ってしまったみたいに。なんだかオレまで泣きそうになってしまったから…。 「謝らないで下さい、円サン…」 優しく髪を梳くように、頭を撫でられて。 ゆっくりと見上げた先には… 思った通り、 ふわりと微笑む愛しい人の顔が広がっていた。 「俺には貴方がいる。愛する人と一緒にいられるから…」 幸せなんですよ、と… とっておきの口説き文句をさらりと言ってのけた。 「もぉ…キミって子は─────」 なんて素敵なんだ、オレの恋人は。 オレにはほんと勿体無いぐらい、カッコ良くて優しくて。 惜しみない愛情を、注いでくれるから… 「オレも幸せだよ…」 オレは男だから。 例えキミとの子どもは産めなくても、 このままずっと、ふたりっきりで過ごすことになったとしても。 「キミさえいてくれれば…何にも要らないから。」 そう言い切ってオレは人目も憚らず、昴クンの胸に摺り寄った。 すぐに昴クンの腕に包み込まれて。 胸の奥から、熱い何かが一気に押し寄せてくる。 「帰りましょうか、円サン…」 「え?まだ来たばっかりだよ?」 耳打ちしてきた昴クンを見上げると、 更に耳元に息を吹きかけられて… (ここじゃさすがに、キスも出来ないでしょう…?) 今すぐ貴方が欲しい─────… そんな熱っぽくお強請りされたら。 オレが断れるワケ…ないよね。 「うんっ…帰る…」 真っ赤な顔で頷いたら… キミはそっとオレの額に、柔らかなご褒美をくれた。 真っ赤に焼ける太陽の下、透き通る蒼を背に。 ちょっぴりセンチメンタルに浸ったりもしたけれど… 「妊娠は出来なくても、子作りだけならいくらでも出来ますよね?」 「すっ、昴クン…!?」 真夏の熱に絆されて。 甘く甘く、けれどいつもより大胆に… なってみても、いいんじゃない? …end.

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