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④
「ごめん、オレッ…」
軽率だった。
オレなんかが到底理解出来そうもないような、
辛いトラウマを抱えている昴クンに対してさ。
これじゃ、恋人失格だよね…
まるで昴クンの悲しみが、移ってしまったみたいに。なんだかオレまで泣きそうになってしまったから…。
「謝らないで下さい、円サン…」
優しく髪を梳くように、頭を撫でられて。
ゆっくりと見上げた先には…
思った通り、
ふわりと微笑む愛しい人の顔が広がっていた。
「俺には貴方がいる。愛する人と一緒にいられるから…」
幸せなんですよ、と…
とっておきの口説き文句をさらりと言ってのけた。
「もぉ…キミって子は─────」
なんて素敵なんだ、オレの恋人は。
オレにはほんと勿体無いぐらい、カッコ良くて優しくて。
惜しみない愛情を、注いでくれるから…
「オレも幸せだよ…」
オレは男だから。
例えキミとの子どもは産めなくても、
このままずっと、ふたりっきりで過ごすことになったとしても。
「キミさえいてくれれば…何にも要らないから。」
そう言い切ってオレは人目も憚らず、昴クンの胸に摺り寄った。
すぐに昴クンの腕に包み込まれて。
胸の奥から、熱い何かが一気に押し寄せてくる。
「帰りましょうか、円サン…」
「え?まだ来たばっかりだよ?」
耳打ちしてきた昴クンを見上げると、
更に耳元に息を吹きかけられて…
(ここじゃさすがに、キスも出来ないでしょう…?)
今すぐ貴方が欲しい─────…
そんな熱っぽくお強請りされたら。
オレが断れるワケ…ないよね。
「うんっ…帰る…」
真っ赤な顔で頷いたら…
キミはそっとオレの額に、柔らかなご褒美をくれた。
真っ赤に焼ける太陽の下、透き通る蒼を背に。
ちょっぴりセンチメンタルに浸ったりもしたけれど…
「妊娠は出来なくても、子作りだけならいくらでも出来ますよね?」
「すっ、昴クン…!?」
真夏の熱に絆されて。
甘く甘く、けれどいつもより大胆に…
なってみても、いいんじゃない?
…end.
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