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純愛《咲輝side》5
シャワーを浴びて制服に着替えた緋禄が、背中を合わせて座り込んだ。
「ルールを決めようぜ」
「ルール?」
「あぁ。簡単なルールだよ。"泣いたらゲームオーバー"それだけ」
「泣いたら?」
「恋人同士は泣かないもんだろ」
それを聞いて思ったことは、楽しいゲームにしたいからか?程度だった。
緋禄と一緒にいるのは楽しいし、お互いこの4年涙を見せたこともないし大丈夫だろう。
そう思っていた。
この時は。
―…死期が間近に迫る緋禄の意図も知らないで
「分かった。ルールは守る」
「まぁゲームだし、気楽に行こうぜ。さぁて、1限目はサボるか。あと30分で終わるしな」
こうして窓から差し込む光を浴びて、背中を合わせて。
これだけでも心地良いと感じた。
「あ…雪だ」
「今朝冷え込んだからな」
「俺雪好きなんだよね。綺麗じゃん」
外を見ると綺麗な晴れ空にうっすらと雪が舞っていた。
確かに綺麗だ。
白くて、綺麗で、
まるで緋禄のように美しい。
高2の1月。
二人きりで雪が舞う空を見つめながら、俺と緋禄のゲームが始まった。
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