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大好きな兄にオナバレする弟

「ひーちゃん、おはようっ」 「……ッだから、その呼び方やめろっつってんだろ」  朝一番、自宅2階の廊下で凪野 陽向が声を荒らげて噛みつくと、兄の湊はびくりと上背のある身体を縮こまらせた。 「あ、ごめ、ごめん……」  寝巻きのスウェットの裾を握りこみ、目を泳がせながら湊が謝れば、陽向は不機嫌そうに舌打ちを返す。弟の態度に余計萎縮し、湊はなにか言おうと唇を震えさせては閉じるを繰り返していた。 「謝んなら最初からすんな、バカミナト」  部活の朝練に間に合わせるため、とっくに制服に着替え終えた陽向が吐き捨てるように言い、俯く湊の横を足音荒く通り過ぎた。階段下の玄関の方へ向かう弟に、湊は狼狽えながらも振り返って必死で声をかける。 「れっ、練習、頑張れ……っ」  湊の目には一瞬陽向の肩が揺れたように映ったが、気のせいかもしれない。しばらくしてから陽向のあからさまなため息の音が聞こえて、やはり錯覚だったのだと確信した。 「早く着替えれば?」  ぶっきらぼうな声で陽向にそう言われ、湊は慌てて顔を上げる。怒らせてしまったばかりの弟にほんの少しでも気にかけてもらえたことが嬉しくて、自然と頬が緩んだ。 「うん……! ひーちゃ……っひ、なたも気をつけて」  湊の言葉に足を止めることも振り返ることもせず、陽向は家を出ていってしまった。それでも湊は 陽向の垣間見せた僅かな優しさを反芻して、喜色を隠せずに佇んでいた。  湊と陽向は、幼い頃は仲の良い兄弟だった。湊は2つ違いの弟をこれでもかと可愛がっていたし、陽向は常日頃から兄について回り、兄の姿が見えなくなると大声で泣き出しては「にいに、にいに」と辺りを探した。そして湊の姿を見つけると、顔を綻ばせて駆け寄るのだ。 「おれ、おおきくなったら、にいちゃんとけっこんする」  お互いが小学校に上がった頃に、陽向は湊を抱きしめてそう告白した。頭ひとつぶんは背の低い弟の耳が、兄の胸元でひどく赤らんでいるのが見える。聡い湊は兄弟同士で結婚はできないと知っていたが、幼い陽向からの精一杯の愛情表現は、純粋に、かつ強烈に湊の心へ突き刺さった。 「うんっ。兄ちゃんとひーちゃん、結婚しようね。約束」  湊がにこにこと微笑んで頷けば、陽向は朱に染まった顔を上げて、心の底から嬉しい、と言わんばかりに目を輝かせる。そして、半ば惚けた表情で、こくこくと何度も首肯した。 「や、やくそくっ、やぶったらダメだよ、にいちゃん、ぜったいだよ。やくそく……っ」 「大好きなひーちゃんとの大事な約束だもん、破るわけないよ」 「おれも、おれもだいすきっ!せかいでいちばん、にいちゃんがすき」  陽向はそう言い終わった途端、ぐっと背伸びをして湊の顎先に唇を触れさせた。突然の出来事に驚いた湊が固まっていると、陽向は恥ずかしさと不満が入り交じった顔で兄を見つめる。 「……くちにちゅーしたかったのに……にいちゃん、しゃがんで!」  弟の稚くも愛らしいおねだりに、湊はくすっと鼻にかかった笑いをこぼした。そうしてからゆっくりと腰をかがめ、今度は自分から陽向へ口づけてやる。ふにふにと柔らかく温かな感触がして、口元を離すと外気で唾液が冷えていくのがわかった。 「ほら、誓いのキス」  いたずらっぽく湊が囁くと、陽向は何度も目を瞬かせてから、悔しそうな、けれど嬉しくてたまらないような表情へ様変わりする。その様子が可愛らしくて、湊はまだ小さな弟を優しく抱きしめたのだった。  その関係性が変わってきたのは、陽向が中学生になる頃だ。反抗期に入った陽向が、家族にも愛想なく接するようになった。特に、兄に対しての風当たりは強く、すれ違っては忌々しげに睨みつけたり、話しかけられては舌打ちしたりと、その扱いはひどいものだった。  今まで愛らしく懐いてくれた、大好きな弟から突然邪険にされ、湊は戸惑い、なにか嫌われるようなことをしてしまったのかと自己嫌悪に囚われた。もともとの大人しい性根もあってか、湊は段々と内へ閉じこもるようになる。集中することもままならず、成績もがくんと落ちた。高校3年生になった今でも弟との関係性に思い悩み、涙することさえあった。  ​──だが、陽向の態度に理由があることを、湊はまだ知らなかった。  兄弟仲は険悪ながらも、2人は同じ高校に通っていた。とはいえ学年が違うので、校内で出会うことは少ない。しかし今日は、陽向が弁当を忘れてしまっていたため、母から言いつけられた湊が休み時間に1年生の教室まで昼食を届けに来ていた。  3年生が1年生の教室のある階にいること自体が珍しく、湊は注目の的になる。生徒のそばを通り過ぎる度に一瞥され、その視線に湊はどんどんと萎縮してしまう。陽向のクラスに到着する頃には、兄はすっかり疲弊しきっていた。 「ひーちゃ……ひ、ひなた」  勇気を振り絞り、教室の後ろの扉から、奥の席で友達と談笑していた陽向へ声をかける。兄の声に振り向くと、陽向はあからさまに不機嫌な顔になった。苛立った様子で湊の元へ歩み寄ると、「何?」と冷たい声で訊ねる。 「あ、お、お弁当……」  湊がおずおずと弁当箱を差し出すと、陽向は舌打ちをしてそれをひったくる。乱暴な手つきにびくりと怯える兄を、陽向はじろりと睨みつけて「さっさと帰れ」と言わんばかりに圧をかけた。 「あ、凪野のお兄ちゃんじゃん!こんにちは〜」  重たい雰囲気を裂くように、陽向の友人が遠くから声をかけてきた。それに気づいた湊が陽向越しにぺこりとお辞儀をすると、彼は嬉しそうに手を振り返してくれる。  その好意的な反応に湊が思わず笑みを零した途端、陽向に強く肩を押されて我に返った。恐る恐る弟を見やると、怒りと苛立ちを露わにした表情で舌打ちをしてくるものだから、湊は理由もわからないまま慌てて何度も謝る。 「あ、ご、ごめん、ごめんね……」 「いいから、さっさと帰れよ。授業遅れる」  陽向が吐き捨てるように言い、踵を返して自分の席に戻る。湊は相変わらずの陽向の冷たい態度に溢れそうになる涙を堪えながら、とぼとぼと3年生の教室へ帰っていった。 「ミナトに声かけないでくれる?」  陽向が友人である圭司にそう釘を刺すと、彼は楽しそうに笑ってそれを受け流す。 「なんでだよ!ホント、お兄ちゃんにだけ過保護っつーか、ヤキモチ丸出しっつーか……」 「は?違うから。マジでやめて」 「違くねーだろ!あんなにいいお兄ちゃん、俺が欲しいくらいなのに、お前ときたら……ッい゛!」  圭司が軽口を叩いた途端、陽向は圭司の向こう脛を思い切り蹴る。鈍痛に喘ぐ彼を睨みつけながら、陽向は湊から受け取った弁当を鞄にしまった。 「ミナトは俺の兄貴だから。お前のじゃねえし」 「いったぁ……ッだから、そういうとこだってマジで……」  帰宅し、夕食を済ませたあとも、湊は陽向を怒らせてしまったことを気にかけていた。 (ひーちゃん、すごく怒ってた……とにかく、謝らなきゃ)  せめて蟠りを解いておきたかった湊は、今夜中に陽向に謝りに行こうと、早めに入浴を済ませることにした。服を脱ぎ、下着と一緒に洗濯カゴへ放り込むと、浴室に入って湯船に浸かる。ちゃぷ、ちゃぷ、と水面が揺れる音だけが聞こえる静かな空間は、湊がリラックスできる貴重な場所だった。  ふと、浴室の扉の向こうから、ガチャ、と誰かが入ってくる物音が聞こえる。すりガラス越しでは何をしているのかよくわからなかったが、しばらくするとその人影は出ていったようで、再び浴室に静寂が戻った。 (……母さんがなにか探してたのかな、まあいっか……)  湊はそこまで気に留めることもなく、その細い身体を肩までお湯に沈め直した。  普段よりも早くに身体を洗い終わり、髪もあらかた乾かした湊は、深呼吸をしてから2階の陽向の部屋へ向かった。ぎし、ぎし、と一段ごとに階段が軋む音がして、その度に緊張が増していく。また怒らせてしまうのではないかと思うと不安でたまらなかったが、このまま溝が生まれた状態にしておくのはもっと嫌だった。 (ひーちゃん、部屋にいるよね……)  閉め切られた扉の前に立ち、ノックしようと湊がおずおずと手を伸ばす。 「……にいちゃ……ッ」  微かに、陽向の震えた声が聞こえた。しかしそれは陽向の部屋からではなく、湊の自室から漏れ出ているようだった。  普段は「ミナト」とぶっきらぼうに兄を呼ぶ陽向が、「にいちゃん」と切羽詰まった声で呼ぶということは、余程の状況でない限りありえない。弟が何か危ない目に遭っているのではないかと焦った湊は、考えるよりも先に自室へ飛び込んでいた。 「ひーちゃんっ、だいじょ……っ」  湊の言葉は、途中で途切れる。そこには、兄のベッドに寝転がり、下履きを寛げて性器を扱いている陽向の姿があった。 「にいちゃん、にいちゃ♡ ぁ゛、ゔ……♡」  目を瞑り、イヤホンをして何かを聴いているようで、陽向がこちらに気づく様子はなかった。「にいちゃん」とうわ言のように呟きながら、鼻先には湊の下着を押し当てている。それは今日1日湊が履いていたもので、その蒸れた匂いを嗅がれていると思うと羞恥で顔が熱くなった。 「んぅ゛♡ にいちゃ、すき……っ♡ すき、ぃ……♡」  今すぐにでも出ていかなければ、と頭ではわかっていても、衝撃と奇妙な喜びで湊の足は動かない。  毎日あれほど冷たかった弟が、自分の名前を呼び、下着を興奮材料にして自慰をしている。普通の兄弟ならば嫌悪を覚えるのかもしれないが、弟を溺愛している湊からすれば、驚きこそあれど、嬉しくてたまらない気持ちの方が強かった。  イヤホンと繋がれたスマートフォンの画面が目に入る。そこには『兄ちゃんの声』というタイトルと音声波形が映っており、湊の身体にぞくぞく♡ と後暗い興奮が走った。 (おれの声聴きながら、おなにーしてる……♡ ひーちゃんが、大好きな、ひーちゃんが……っ♡)  湊の心臓は早鐘を打ち、陽向の反り勃った性器から目が離せなくなる。先走りで滑りのついたそこを、陽向の手がぬぢにぢ♡ と上下に擦る。それは幼い頃 風呂で見たときのものとは全く変わっていて、血管が浮き、雄めいた様相にたまらなくなり、湊は思わず生唾を飲んだ。 「あ゛♡ にいちゃん、きもちぃ゛……♡ にいちゃ、もっと……ッ♡」  腰を浮かせてへこへこ♡ と奥へ突き入れる仕草をする陽向の性急さが愛おしく、湊の下腹部がきゅん♡ と疼く。限界が近いのか、陽向の性器に触れる手つきが速くなっていった。 「ッい゛、ぃく♡ にいちゃん、いくぅ゛……ッ♡♡ すき、すき♡ にぃちゃっ♡ ッん゛、ぁゔ……♡♡」  陽向が何度も兄を呼びながら全身をぶるりと震わせると、性器の鈴口から粘ついた白濁が勢いよく漏れ出る。びゅく、びゅる、と断続的に吐き出されたそれは、陽向の着ていたスウェットにじんわりと染み込んだ。  その様子をじっと見つめていた湊は、自慰を見てしまった罪悪感と、嫌われているとばかり思っていた弟からこれほどまでに想われていたという幸福感が綯い交ぜになり、浮き立つような感覚が離れないままだった。 「は、はぁ…………ッえ、ぁ……?」  息をつき、ゆっくりと瞼を開いた陽向は、状況が掴めず間抜けな声を漏らす。湊が目の前に立っていることをようやく認識した瞬間、がばりと起き上がってベッドの隅へ退いた。今まで赤らんでいた弟の顔が さっと蒼白になり、絶望の浮かんだ目で兄を見る。 「っな、ぉ、まえ、いつ、いつから……」 「ひ、ひーちゃんが、にいちゃんのこと、好きって言ってるところから……」  湊がそう言うと、陽向はひゅっと息を詰まらせて言葉を失う。ほとんど全部を聞かれていたのだという事実を、どう受け止めればいいのかわからないらしかった。 「……ッキモいだろ、最悪だろ、嫌いになっただろ!そうだよ、お前の弟はな、お前で抜いてんだよ!」  自棄になった陽向がそう叫ぶ。言葉尻は涙で滲んでいた。湊はゆっくりと首を横に振り、ベッドへ乗り上げる。兄から離れようと陽向は後退りするが、壁に阻まれて2人の距離はどんどんと近くなった。 「んーん、うれしい……♡」 「嘘つくな、俺のことなんか嫌いだろ……」 「にいちゃんは、ずーっとひーちゃんのこと、大好きだよ」  信じない、とばかりに俯いてしまう陽向の頬へ両手を添え、そっと上向かせる。戸惑う弟に湊が唇を重ねるだけのキスを落とすと、陽向の身体はぎくんと強ばった。 「え、みな、みなと……」 「えへ、へ……ひーちゃん、だいすき」  いたずらっぽく湊が囁き、陽向の頬や鼻、額にまで啄むように口づける。呆然として反応のない弟に焦れた湊は、もう一度柔らかく唇を塞いだ。弟の乾いた唇を誘うようにぺろりと舐めて、ゆっくりと離れる。 「にいちゃん、ひーちゃんになら……何されてもいいから」  それは、陽向にとって最高で、最悪の殺し文句だった。  がしりと湊は肩を掴まれ、ぶつかるようにキスをされる。性急に舌をねじ込む陽向に応え、ぬぢ♡ と熱い粘膜を絡め合う。我慢の限界を超え、丁寧さの欠片もない舌使いだったが、その貪る様が愛おしく、湊の胸はぎゅうっ♡ と苦しくなった。 「ッん゛む♡ っ♡ ふ……ぅ゛♡」  湊が拙いながらも陽向の舌へ絡めてやると、興奮からかどんどんと陽向の愛撫が乱暴になる。差し入れられた湊の舌を柔らかく噛んだり、歯列を ずる♡ となぞったり、兄の口内の形を覚えようとするかのようにひたすらに蠢いていた。 「ふ、ぁう……♡ ひ、ひーちゃ、はむ、ん、ぅ゛っ♡」  息苦しくなって1度唇を離そうとしても、タガの外れた陽向は湊の口元を追いかけては ちぅ♡ と吸いつくので、酸欠で目眩が起こる。少し休憩、の意で弟の胸板を押すと、陽向は怯えたように肩を震わせてすぐに距離をとり、兄を潤んだ瞳で見つめた。 「い……いやだった?ごめ、ごめん、もうしないから……」 「いやじゃないよ、く、苦しかっただけ」  大丈夫、と優しく声をかけて陽向の頭を撫でてやると、堪えきれないといった表情で湊の胸元に抱きついてくる。ぐりぐりと額を押しつけてくるのが可愛くて、湊は弟のつむじにそっとキスを落とした。 「ん、にいちゃん……すき、すきなんだ。ほんと、ごめん……」 「なんであやまるの。両思いなんだから、なんにも気にすることないんだよ」 「……でも、俺、ずっとにいちゃんにひどいことばっか……」  くぐもった声で苦しげに陽向が言う。確かに弟の態度にはずいぶんと傷ついたが、その理由にも湊はなんとなく察しはついていた。 「ひーちゃん、照れ屋さんだから、すきってしられたくなかったんだよね」 「ちが……くないけど、だって、兄弟だよ、俺たち。おかしいって、ダメだって思って……」  陽向の否定的な言葉を遮って、湊が陽向の背に手を回す。 「じゃあ、ひーちゃんは、にいちゃんのこと諦めちゃうの?」  からかうように湊が嘯くと、陽向はぶんぶんと必死で首を横に振りたくった。 「やっ、やだっ!にいちゃん……っ、もう我慢すんの、やだよぉ……」  駄々を捏ねて湊の胸へ縋る陽向は幼子じみていて、兄の庇護欲をきゅん♡ と煽る。あまりにも愛らしい弟の姿にたまらなくなり、湊はその身体を引き寄せて自分を組み敷かせた。 「ガマンなんか、しなくていいんだよ♡ ひーちゃんの、すきにして……♡」  甘い声で囁けば、陽向の顔が哀れなほどに赤く染まって瞳の奥に肉欲が滲む。素直でいじらしい反応に、湊は楽しそうに鼻にかかった笑い声を漏らした。  ぐぢ♡ にぢ♡ とこもった水音が湊の部屋に響く。ローションと陽向の指によって押し拡げられた後孔は、柔らかく、けれど浅ましく収縮を繰り返していた。 「ッゔ♡ ひ、ぃちゃ゛♡ も、もぅいいから、ねっ♡ ひ、いぁ゛♡♡」 「だめだよ、にいちゃんがケガしたら、俺 立ち直れない……」  半ば熱に浮かされたような口ぶりで、陽向は言葉を返す。その言葉は半分本当で、半分は嘘だ。嘘の内実は、湊の痴態を目に焼き付けておきたかった。  内側へ沈めた2本の指をくい♡ と曲げると、ひどく反応のいい柔らかなしこりに当たる。その度に湊が掠れた嬌声をあげるものだから、陽向の腰の奥は熱で疼いて仕方なかった。 「ぉ゛♡ ぅゔっ♡♡ んァぁ゛、は……ッ♡ そこ、きもぢぃ゛っ♡ ひ……ッ♡ きもちいよぉ♡♡」  へこへこ♡ と湊の腰が揺らめき、陽向の節立った指を自らいいところへ導く。兄の淫蕩で積極的な姿は、陽向が長年培い続けた妄想よりもずっとずっと淫らで、苛立ちすら覚えるほどだった。 「あ゛っ♡ ひぃ゛ちゃんっ♡♡ ぃ゛く♡ いっちゃゔ♡♡ ぃ゛♡ ぉねが、きもちぃ゛とこ、ぎゅってして……ッ♡」 「ん、うん、にいちゃん……いくとこ、見せて……」  湊にねだられるがまま、陽向は膨らんだそこを指の腹でぐりぐり♡ と押し潰す。途端に湊は蕩けた表情になり、口の端から唾液を垂らしながら曖昧に喘いだ。 「い゛ッ♡ く、いぐッ♡♡ ひーちゃ、ぁ♡ すきっ♡ すき……ッ♡♡ ッあ゛♡♡ ン、ぉ゛ッ♡」  びく♡ びく♡ と火照った身体を震わせて、湊が甘い絶頂に浸る。陽向は胎内に埋めた指がきゅう♡ と強く食い締められるのを感じながら、大好きな兄が目の前で快楽に乱れている様子を息を荒くして見つめていた。 「っは……♡ はぁっ♡ ひ、ちゃん……♡ ちゅう、して……っ♡」  兄のおねだりにはっと我に返り、陽向は濡れた唇へ口づける。先ほどとは打って変わって壊れ物に触れるように繊細だが、それでも奥底から溢れる欲だけは隠しきれていなかった。 「ン……ぁ゛♡ ふ、ンぅ゛……♡ 」  ぬぢ♡じゅ♡ と濡れた音を零しながら、お互いの舌を優しく絡める。時折陽向の舌先が敏感な上顎を掠めるものだから、湊はびく♡ と肩を竦ませた。 「ふ、ぁ゛……♡ ひーちゃん、も、いれていいから……♡」  口づけの合間に、湊はそうねだる。その熱に煽られた陽向は燻る欲を露わにしたが、最愛の兄を傷つけたくないという強い理性でその衝動をぐっと堪える。 「だめ、もうちょっと……」  そう言いかけたところで、湊が両脚を陽向の腰に絡みつかせた。ぐっ♡と身体を引き寄せ、すっかり硬くなった陽向の性器を下着越しに秘部へ押し当てる。 「んん、いじわる、しないで……っ♡」  掠れた声で湊が挑発的に誘う。情欲を煽る火照った頬と潤んだ瞳に、陽向の頭の奥にある糸がふつりと切れる感覚がした。 「ッくそ、ばか、にいちゃん、くそ……っ」  優しくしたかったのに。大好きなにいちゃんを傷つけたくないのに。どうしてそんな可愛いことするんだよ。そんなことされたら、誰だって我慢できるわけない。  自制力の弱さに呆れながら、淫らに誘ってくる兄に怒りに似た衝動を覚え、陽向は荒っぽく下着をずり下げる。ぶるん、と硬く反り勃った性器に湊が見蕩れる暇もないまま、すっかり解れたそこへ先端を押し当てた。 「いれるから、痛かったら言って。なるべく、やさしくする」  残った微かな理性をかき集め、湊にそう囁く。すると兄は首を振り、「ひーちゃんの好きにして」と甘い声で返した。もう、陽向には我慢する余裕などどこにもない。  ぐぅっ♡ と腰を進め、一気に奥深くまで貫く。柔らかく解れきったそこは、悦んで陽向を迎え入れた。 「ッあ゛、ぅ゛ゔ……♡♡ ひい、ちゃ……っ♡」  湊が嬉しそうに名を呼び、たまらず陽向を抱き寄せる。愛おしい弟からは心地よく優しい香りがして、首筋に鼻を埋め、その芳香に感じ入った。 「にい、にいちゃん、すき、だいすき……ゆめみたい、にいちゃん、うれしいよぉ……っ」  うわごとのように陽向は呟く。今にも泣きそうな声でそう言うものだから、兄はその後頭部を優しく撫でた。 「ん、にいちゃんもうれしい……♡ ひーちゃん、だいすき♡」  湊がそっと頬に口づけると、胎内のものがびくっ♡ と震える。陽向のその素直な反応が可愛らしくて、湊は何度も首筋や肩口にキスを落とした。 「ひーちゃん♡ ひい、ちゃ……ッお゛♡♡ んゔ、ぅ゛♡ ひ、ぃちゃっ♡♡」  キスをする度、内側でびくびく♡ とするその感触を楽しんでいると、陽向が突然律動を始める。たんっ♡ たんっ♡ と肌がぶつかる音が響いたかと思えば、湊の身体に強烈な快楽が突き抜けた。 「あ゛ぇ゛っ♡♡ ひ、ぃちゃ♡ ん゛ぅ、ゔ……ッ♡♡」 「ゔ、にいちゃん、すき、ごめ、ごめん、とまんないぃ……っ♡」  陽向は獣のように腰を前後させ、激しい抽挿を繰り返す。ずろっ♡ と性器を引き抜けば惜しんだ胎内がねっとりと絡みつき、ぐぽ♡ と押し込めば柔らかなそこが喜悦のまま迎え入れる。  快感もそうだが、兄と繋がっているという事実が陽向を興奮の渦中へ放り込んだ。荒々しいその動きは決して上手いとは言えなかったが、湊はその必死さが愛おしくてたまらず、きゅんきゅん♡ とナカを締めつけてしまう。 「ひーちゃっ♡♡ ぁ、あ゛ッ♡♡ んゔっ♡ すき、ひーちゃ、ぁ゛♡♡」  兄の声で「すき」と喘がれる度、陽向はたまらない気持ちになる。自身に触れてくる熱い手が、指先が、兄の愛をひしひしと伝えてきて胸が苦しくなった。ひどい態度をとった馬鹿で情けない自分を愛してくれる湊が、まるで聖母のように思える。 「にいちゃん、にいちゃん……っ♡ だいすき、おれのにいちゃん、おれの……」  ごりゅ♡ ごりゅ♡ と前立腺をカリ首で擦れば、湊の頭はたちまち快楽でいっぱいになる。じんじん♡ と鈍い性感が波のように広がり、身体を満たした。

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