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49 冬磨が好きになってくれた奇跡 ※

 後ろの孔を、冬磨のものがゆっくり撫でるようにふれた。   「ぁ……っ……」    俺がかすかに反応すると、冬磨が「可愛い」とまたささやいた。  とろけるようなキスをしながら、冬磨がゆっくりゆっくり俺の中に入ってくる。  トラウマ持ちじゃないとわかっても、冬磨の優しさは何も変わらない。  ゆっくり優しく、俺のすべてを溶かした。   「……ん……っぁ、……ぁ……っ……」 「天音……」  唇を合わせなながら、冬磨が俺の名を切なげに呼んだ。 「ン……っ……」  唇を重ね合わせながら、ゆっくりと身体が繋がっていく。  濡れた音と熱い吐息が交じり合い、その響きにゾクゾクと快感が走りながら、冬磨と繋がっていく。  こんなに幸せな瞬間が訪れるなんて、俺は今まで少しも想像していなかった。 「と……ま……っ、ぁぁ……っ……」  今までも充分幸せだと思ってた。  冬磨に抱いてもらえることが、何よりも幸せだった。  でも、何かが足りなくて、切なくて……。  冬磨がとろけるようなキスをしながら、俺を愛おしそうに優しく見つめる。  目が合うと、合わせた唇の隙間から「好きだよ」と甘くささやく。  冬磨の口から好きだと伝えられるたびに、息もできないほど胸が締め付けられた。 「とぉ……ま……」  幸せの涙が止まらない。  ぎゅうっと冬磨にしがみつくと、その手をたぐり寄せて恋人繋ぎをしてくれた。  その瞬間、ぶわっと感情があふれてしまって、まるで子供が泣くみたいに表情がゆがんだ。 「ぅ゙ぅー…………っ、と……ま……」  冬磨は奥まで繋がると、ちゅっとリップ音を鳴らして唇を離し、何度も目尻にキスを落とす。 「天音……ごめんな。ずっと演技なんてさせて。ずっと……気づいてやれなくてごめん」 「……ぅ……っ……」  冬磨が謝らないで。そう言いたいのに喉が詰まって声が出ない。首を横に振ることしかできなかった。 「お前の、この瞳を信じればよかった。俺が大好きだってちゃんと言ってるのにな……。他のセフレにも見せてんのかって……嫉妬しかできなかった」  冬磨が他のセフレに嫉妬してた。信じられなくて息を呑む。  キスマークにも、はらわたが煮えくり返ったと言っていた。  俺なんかが冬磨にそんな思いをさせていたなんて……。 「とぉま……ごめ……ん」 「なんで天音が謝るんだよ。天音が俺なんかを好きになってくれた奇跡に感謝してるよ」 「か……感謝? ……んぅ……っ……」  唇がふさがれて、冬磨の熱い舌が入り込む。  さっきのとろけるキスよりも、少し荒々しいキス。 「……ぁ……っ、ンぅ…………」    キス……気持ちいい。頭がふわふわする……。  舌で上顎を撫でられるとゾクゾクして、舌を絡められるたびに脳がしびれた。 「天音……動くよ?」 「ふぁ……っ、ぁ……っ……」  冬磨がゆっくりと俺の中を動き出す。  ずっと夢見てた。キスをしながら冬磨に抱かれるのを。 「んん……っ、ン……っ……」  幸せすぎて、頭も身体も全部が溶けてなくなっちゃいそう……。  最近やっと身体の震えが少なくなってきていたのに、今日はどうしても震えがおさまらない。  繋いだ手をぎゅうっと握ると、冬磨が目尻を下げて俺を見つめた。 「お前……なんで俺なんか好きになったんだよ」 「ん……っ、なんで……って……? んん……っ」  なんで好きになったのかなんて、それは俺の台詞なのに。 「マジで奇跡だろ。ほんと俺、幸せすぎる……」 「と……ま……っ、……ぁっ……」  冬磨が俺を好きになってくれたことの方が、何百倍も奇跡なのに……。  冬磨の『幸せすぎる』という言葉が幸せすぎて、胸が張り裂けそうになった。   「とぉ……ま、すき……っ、ン……っ、……はぁ……っ……」 「天音……っ」  冬磨に優しくとろけるように抱かれながら、先週の泥酔した冬磨を思い出す。  冬磨の告白を聞いてやっとわかった。  あれはきっと、俺との終わりを覚悟しての泥酔だったんだ。俺を手放す覚悟の涙だったんだ。  俺なんかにそんな影響力があるなんて思いもしなかった。  俺が敦司の家に通ったりしなければ……。そうすれば、冬磨を泥酔させたり泣かせたりしないで済んだのに。  でも……と、俺は冬磨にしがみつく。  でも、もしそれがなかったら、きっとずっとセフレのままだった。  こんな幸せな時間はずっとやってこなかった。  冬磨と恋人になんて、絶対になれなかった。  冬磨……ごめんね。  俺なんかが冬磨につらい思いをさせておきながら、そうなってよかったなんて思ってしまって……本当にごめんなさい。   「とぉま……だいすき……っ、……あ……っ、も……だめ……ぇっ」 「はぁ、よかった、俺もとっくに限界……っ。やべぇ……情けねぇ」 「とぉま……ぁっ」 「ちょっと、強くするよ」    冬磨は俺の足を優しく持ち上げ、肩にかけた。太ももにキスを落とし、そのまま深く奥まで入り込んでくる。 「はぁぁ……っ! ん……っ」 「天音っ。あま……ねっ」  奥深くを何度も突かれて一気に頭が真っ白になっていく。 「んっ、とぉ……っ、ぁぁ……っ、すきぃ……っ! とぉまぁ……っ!」 「天音っ、好きだっ! く……ぅっ……」  二人同時に果てた。  こんなに幸福感でいっぱいになったのは初めてだった。  俺の中が冬磨で満たされて、感動で震える。  今日の冬磨はシラフだ。泥酔して記憶のない冬磨じゃない。その冬磨のものが中に……。 「ふ、ぅ……っ……」  覆い被さるように俺を抱きしめる冬磨を、力いっぱい抱きしめた。 「天音……それ、幸せで泣いてんの?」 「……ん、……うん。幸せ……で……っ」 「あー……俺も泣きそう。やべぇ……。抱き合うってこんな幸せになれるんだな。余韻が半端ねぇ……」  冬磨も同じように幸せを感じてるとわかって、また涙腺が崩壊した。   「と……ま……好き……」 「ほんと……天音、想像以上に可愛いすぎ。マジでやばい……」    顔を上げて極上の笑みで俺を見つめた冬磨が、また俺にそっと優しいキスをくれた。        ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇    天音視点完結後に、冬磨視点(冬磨の過去から現在まで)を書く予定です。  もしよろしければ最後までお付き合いいただけると嬉しいです。  天音視点はもう少し続きます。  

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