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「──おめでとうございます。元気な──」 自身の中から出てきた我が子ではなくなってしまった小さな命の産声と共に、業務的な言葉を告げられる。 何度も何度も聞いてきたうんざりする言葉。 本来ならば自分なんかに掛ける言葉ではない。 厳密に言えば、元気な産声を上げている赤子は自分自身の子ではない。けれども、それでもお腹にいる間は我が子同然のようなものであり、このお腹の中で大事に大事に育ててきた。 そう。このお腹の中には何もない。 何も······。 助産師に大事に抱きかかえられ、離れていく。 お願い。連れていかないで。私の──······。

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