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13.
無理やりにでも御月堂の背中を押して、部屋の外に出した。
再び入ってこないよう、素早く施錠した後、緊張が解けたのか、その場に崩れ落ち、扉に項垂れる。
「おい、愛賀っ、ここまでする必要がないだろう! 開けろ」
今までにない怒り方をして、扉を叩いていたが、やがて姫宮が反応しないことで諦めたようだ。部屋の外が静かになっていた。
途端に姫宮の部屋も静かになり、一人しかいないことを自覚させられる。
自分で追い出したクセに何を寂しがっているのか。
自嘲した後、這いつくばりながらもベッドへと戻った。
とっさに置いた彼の上着を持って、ついさっきまで彼がいた場所に身を沈める。
彼の濃い匂いが漂った時、熱に浮かされた感覚へと陥る。
やっぱり、まだ発情期 は終わらない。けど、一人じゃないように思える。
匂いを嗅ぎながら目を閉じると、愛したい人がそばにいる錯覚となり、胸がいっぱいになる。
今度の発情期 の時は、せめて彼の匂いがふんだんに含んだ服に囲まれて乗り越えたい。
興奮している自身のを慰めながら、次のお願いを聞いてもらおうと模索するのであった。
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