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第44話
二人で果てた後、ユイトが目を覚ますと頭の下には奏一の腕があった。腕枕をされていたのだ。
横を向くと、すぐ隣には奏一の顔がある。しかし、寝ていた奏一も目を開けた。
「あ……」
パチリと目を開けた奏一に意表を突かれて、ユイトは声をあげてしまった。
「ごめん……俺も寝ちゃってた」
「イヤ、ってか、腕重かったんじゃねぇの?」
「平気だよ。それより、君の方は体大丈夫なの?」
そう尋ねられると、体は重さを感じる上に怠い。そして、腰も鈍痛を感じる。
「大丈夫……じゃ、ねぇな……」
素直に言うと、奏一は苦笑した。
「ごめん、無理させたかな。つい頑張っちゃった」
「……いいよ。俺を欲しがってくれるなら、嬉しいし……」
何となく、最後の言葉は口ごもってしまう。
照れ臭くなってしまい、ユイトが顔を赤らめてそっぽを向いてしまうと、奏一が身を寄せてきて腕枕をしていない方の手で顎に手を添えて視線を合わせる。そしてて、唇を合わせてきた。それから、すぐに離すとにっこりと微笑んだ。
「やっぱり君は可愛い、凄く……このまま離れたくないなぁ……」
甘えたように言うと、奏一は片腕をユイトの身体に回して抱きしめた。
ユイトも、それに応えるように奏一の身体に腕を回した。
「俺、男だし可愛いなんて言われるのは不本意なんだけどな」
ちょっとだけむすっとして言うと、奏一はクスクスと笑った。
「だって、可愛いんだもん。俺にとっては、君が一番……あ、そうだ」
「何だよ」
「君の仕事は、女の子と飲むことだろ?」
奏一が肩越しに聞いてくる。
「まぁ、そうだな」
「君は俺がいるし気にする必要がないことはわかってるけど……その……女の子が本気で君のこと好きになったこととかないのかなと思ってさ……」
ユイトはエリのことを思い出した。ただ、エリのことを詳細に奏一に話す必要はないだろう。
「まぁ……そうだな。実際、本気で告白されたこともないわけじゃ、ない」
「そっか……やっぱりそうだよね。仕事なのはわかってるけど、女の子と楽しく飲んでるのを想像したら、やっぱり寂しいっていうか、いいなって思うな。まぁでも、女の子に気が移らないってことは、信じてるからね」
奏一は優しくユイトの髪をなでた。
「俺は女を好きになれないからな」
「はは。……でも、同じ店で働いてるホストも……いい男揃いだろ?俺なんか地味だからな」
苦笑する奏一の腕をとって、ユイトは手の甲にキスを落とした。
「そう言うなよ……そう見せてるだけで、奏一だって……いい男だろ……職場の奴には興味ねぇし……」
「ユイト君……」
奏一は信じられないと言うように、目を瞬かせた。
「そんな事言ってくれるの……君だけだよ……」
奏一の、ユイトを抱きしめる腕がより一層強くなった。
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