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【番外編】翠の嫉妬※
翠と恋人同士になってから、初めて風呂に誘われた。
というか、今までもそれとなく誘われてはいた。けれども明るい場所で裸を見られるのはあまりにも恥ずかしいから、翠には悪いがその誘いは何気なくかわしてしまっていた。
ーーのだが、先ほどついに面と向かってお願いされて断りきれなかった俺は、恥ずかしく感じながらも翠と風呂を共にしていた。
「綾人くん、体洗い終わった?」
「あ、ああ」
「ん、じゃあこっちにおいで」
差し伸べられる手を取り、ゆっくりと浴槽に浸かる。背に感じる翠の熱に心臓がどくどくと脈を打ち始めた時だった。
「あー、気持ちーね、お風呂」
背後から伸びてきた腕を腹に回され、ぐいっと引き寄せられると体がぴったりと密着してしまう。俺の鼓動が翠にも伝わってしまうのではないかと思うと体に余計に力が入った。
「っ・・・」
「あは。綾人くん、緊張してるの?もっと体の力抜きなよ」
「む、無理っ・・」
ぶんぶんと首を振る俺に、翠がまたも笑った時だった。
ーーガララッ
突然開いた風呂場の扉に、俺と翠は反射的にバッと目を向けた。
目線の先には案の定仁がいたが、奴は服を着ていなかった。そんな仁の姿を見た俺の顔が瞬時に赤くなると、目の前にいる仁と目が合った。すると仁はにやっと口角を上げた。
「綾、俺も一緒に入っていいか」
「っえ、」
俺の返事も待たずに風呂場へと歩みを進める仁に翠は顔をしかめた。
そして「え、え」と慌てながらも頬を染める俺を横目で見ると翠は眉を寄せ、湯を波立たせながら荒々しく立ち上がった。
「仁くん、いきなりなに?出てってくれないかな」
「はっ、良いだろ別に。たまにはこうして三人で入るのも悪くないだろ」
「なあ、綾」
タオルすら身に付けていない仁の体を見るのは、幼い頃に三人で風呂に入った時以来だった。久しぶりに見る仁の体は胸板がたくましく、腹も引き締まって少し割れていた。
俺は今は翠のことが好きだ。仁のことももちろん好きだが、それはあくまでも幼なじみとしてだ。
だが、こんなにも近くに立たれると見ようとしなくても仁の体が目に入ってしまう。
俺の目線が無意識に仁の体の下にいくにつれ仁は目を細めた。こちらを見下ろしている仁の視線に気付いた俺は、思わずぱっと目を逸らした。
.....顔が、熱い。
翠はそんな俺の様子を見たと思えば舌打ちをし、湯船から出ると「さっさと出ていけ」とでも言うかのように仁の腕を掴んで風呂場の外へと追い出した。
「こういう時くらい空気読めよ、仁」
「翠、お前はいいだろ、いつも綾の裸見てるんだからな。たまには俺にも見せてくれてもいいだろ」
「いいわけあるかよ」
風呂場にまで二人の言い争う声が響き、あまりの剣幕な空気に殴り合いでも始まるんじゃないかと思った俺は、湯船から上がって風呂場の扉からそっと脱衣所を覗き込んだ。
だがそこには翠しかいなく、仁は大人しく部屋に戻ったようでほっと息をついた。
「す、翠・・?」
名を呼ばれぴくっと肩を揺らした翠は、鋭い目付きで俺を見据えた。
ーー翠、怒ってる・・・?
怒っている理由は分からないが、今翠を刺激するのはまずいかもしれない。
翠から距離を取ろうと一歩後ろに下がった時、手首を掴まれ風呂場の壁に押し付けられてしまった。
「っ・・!」
「・・・綾人くんさ、俺のこと好きなんじゃないわけ?」
..........なんの、話だろうか。
突然問われる言葉に返答できずにいると、脇から伸びてくる手のひらに太ももを撫でられ、俺の意思とは関係なく下腹部が熱を持ち始める。
「っあ・・」
そのまま下へと滑る手に膝の裏を掴まれ、壁に押し付けられてしまった。開かされた秘部は照明に照らされ、ひくひくと震える窪みが丸見えで恥ずかしくて堪らなかった。
「す、翠」
やだ、と抵抗を試みるもぐっと体を密着されてしまい、動きを封じられてしまう。
首に当たる翠の息がくすぐったくてきゅっと目を閉じた時、湯に浸かり柔らかくなっている下腹部に熱い性器を宛てがわれた。
「ーーっぁ、」
「なに仁くんの裸見て顔赤くしてんの。まさか、仁くんのちんぽのがいいの?」
「じゃあ、コレはいらないかな」
言葉を浴びせられると共に熱い粘膜が溝を滑ると、自分の意思と反して腰がびくびくと震えてしまう。
仁の裸を見て反射的に顔が熱くなってしまったが、あくまでもそれは仁の裸を見慣れていないからだ。だが、今の翠にそれを言っても恐らく聞いてくれないだろう。
「・・ねえ、まだ仁くんのこと好きなの、綾人くん」
「ちがっ・・」
ーーそんなこと、あるわけがない。
俺が好きなのは間違いなく翠だ。翠にそう伝えたいのに、敏感に震える体にそれを邪魔されてしまう。
……今、暴走している翠を止める方法は、恐らくこれしかないだろう。
「ーーっ、んん・・・・・ッ」
「・・っ、」
窪みに擦り付けられている熱を窪みに埋め込ませるように腰を浮かせると、目の前にある翠の顔が一瞬歪んだように見えた。
「っぁ・・、ん・・・、すい・・・っ、すきっ・・。すきなのは、すい・・っ、だからぁ・・・ッ」
「っ・・」
ーー腹が、じんじんと熱くなる。
俺の中に少しずつ埋まっていく肉の感触に、思わず身震いした時だった。
「綾人くんっ・・、」
「っひ、ぁ・・・・・ッ」
溝を押し拡げられながら酷く膨張した性器に貫かれると同時にどくん、と腹の中が震え、俺と翠の間に挟まれた張り詰めた性器からは白濁の液が飛び散り、互いの腹と床を汚した。
「ぁ、ぁ・・・・っ」
頭が真っ白になって下腹部がぴくぴくと震え、徐々に体の力が抜けていく。背後の壁にもたれかかり、体が壁を伝って少しずつずりずりと下に落ちていった。
「・・あは、自分で擦り付けてきた割にはすぐイって体の力抜けちゃうんだね。そんなに俺の気持ちいの?」
「ーーっぁ・・・・・ッッ」
ずり落ちていく体を支えるようにずんっと下から突き上げられ、性器の付け根まで一気に中を押し拡げられると、中がびくびくと痙攣して目の前の視界がチカチカと眩んだ。
翠はそんな俺にチラッと目をやると、ふっと口角をあげた。
「中、イきっぱなしだね。ほら、イくとこもっと俺に見せてよ」
「っや、・・・ぁ、ぁ・・・っ、ぅ・・・、」
肌と肌がぶつかる音が風呂場に響く。仁に聞こえてしまうんじゃないかとか、そんなこともう、考える余裕なんてない。
振り落とされないよう必死に翠にしがみつき、満足に出ない声で「すい、すい」と呼べば、ちっと舌打ちをし眉間にしわを寄せた翠の性器はさらに膨張していった。
「っ、・・あー、もう・・・。なんでそんなに可愛いのかな」
「ぁ・・・、ぁ・・・・・ッ、すい・・・、すい・・・ッ」
ぱんぱんに腫れ上がった熱に幾度なく内壁を抉られると、腹の中に熱が溜まっていくのが分かる。秘部がびりびりと痺れ、頭が正常に働かなくなる。
中を激しく出入りする性器をきゅうと締め付けると、「イきそうだね。いいよ」と細い翠の声が耳をかすめた。その声から翠も余裕がないことが分かると、腹の中が更にじわっと熱くなった。
「ぁ、・・・ぃ、いく・・・っ、すい・・・、またっ・・・、いく、いくぅ・・・ッ」
「大丈夫だよ、綾人くん。ちゃんと見ててあげるからね」
「ーーんん・・っ」
声を落とされると同時、柔く唇を吸われる。更なる刺激に目を見開くと、翠の切れ長な瞳が確かに俺を捉えていた。
「っん、ぅぅ・・・」
思わず目を逸らそうとすると「逃げるなよ」とでも言うかのように指先が顎を捉え、閉じている唇をこじ開けてきた舌が口内を犯す。
舌先で歯列をなぞられ、顎上をくすぐられる。奥底にある舌を絡め取られると、絡まり合う粘膜同士のぐちゃぐちゃとした音が響いた。
じわじわと混み上がってくる熱の感覚に身震いし、一層激しく性器を突き上げられるともう、股が熱くて熱くて限界だった。
「っ、~~~~ッッ」
「っ綾人、くっ・・・・・」
唇を塞がれたまま、腹の裏側をぐりっと突かれる。心臓がどくんと跳ねると下腹部が熱くなり、膨張した性器から白濁の液が弾けた。同時に奥壁に熱い体液を注がれ、さらに腹の中が熱くなっていった。
視界が眩んで崩れ落ちそうになると、翠は俺の体を抱き留め「やり過ぎたね、ごめん」と、息を切らしながらも頭をふわっと撫でた。
「・・すきだよ、すい」
薄れゆく意識の中翠の頬を撫でると、翠はそっと俺の手に自分の手を重ねた。
「ん、知ってる。・・・意地悪してごめんね。仁くんの体久々に見たから反射的に顔赤くなっちゃったんでしょ?」
「分かってても嫉妬しちゃってさ、ごめん」
しゅんと顔が暗くなる翠に優しく口付けると、翠は頬をじわっと染めた。
だいじょうぶだよ、と翠に微笑んだのが最後、何度も達した俺の体は限界だったようで、意識は暗闇へと落ちていった。
目が覚めた時にはもう日付は変わっていた。
翠と仁は俺が寝ている翠のベッドの縁に腰掛けていたが、俺の目が覚めたことに気付くやいなや、翠はこちらに飛びかかる勢いで「大丈夫?!」と顔を覗き込んできた。
「ごめん、綾人くん俺・・・っ」
「翠、気にするなって。大丈夫だから」
ぎゅう、と力強く抱き締めてくる翠の背に腕を回してぽんぽんと優しく叩くと、翠は「ほんとごめん」と肩に顔を埋めた。
翠の隣にいた仁はそんな俺たちの様子を見ると、昨晩風呂場で見た時と同じような意地悪い表情を俺に向けた。
「昨日はお楽しみだったみたいだな、綾。声が廊下にまで響いてたが」
「ま、翠はムカつくが俺にとっては良いオカズになったな」
「っな・・・!!」
火が灯ったように頬がかっと熱くなり、「なに言ってんだよ」と言い返そうとした時、翠は剣幕な表情を浮かべながら起き上がって仁を睨んだ。
「・・・仁くん、せっかく許してやったのにまたケンカしたいわけ?」
「は、誰で抜こうがいいだろ別に。心が狭い奴だな」
「仁、お前・・・」
「おい、やめろってお前ら・・!!」
再びケンカしそうな勢いの二人の間に入り、必死に翠をなだめた。「後でなんでも言うこと聞いてやるから落ち着けって」と耳打ちすると、「・・・まじで?」とみるみる表情が明るくなっていった。
どんなことをされるのか想像もつかなくて、なにかを企むような翠の表情が少し怖かったが、俺が身を捧げることで二人のケンカが収まるなら安いもんだろう。
だが、「綾、俺にはなにをしてくれるんだ?」と、仁がにやつきながら余計なことを言ってくるから、その後再度翠をなだめるのが大変だった。
翠は嫉妬深いけど、それは俺を好きでいてくれるからだ。学校で他人に絡まれている時も、翠はいつも助けてくれる。
俺はこれからも翠を困らせてしまうかもしれないが、そんなことを言うと「綾人くんはもう少し危機感を持って」といつものように怒られてしまうだろう。
これからも、なにかあったら翠に助けてもらおう。直接翠に言うと怒られるだろうから、心の中でこっそりと翠にお願いした。
end.
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