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第2話 青森は緑森と呼ぶにふさわしいと思うよ。森は決して青くはない。

 口の中をがちゃガチャ言わせて待機。数ヶ月前に開けた舌ピをこうやって口の中で掻き回すのが、最近の趣味と呼べる趣味。めっちゃ血が出た。セルフだから、普通に失血死するところだった。急いで寮の隣の部屋の綾《あや》に氷を注文。 「おばかちゃん!!」  綾、口から唾液と血で薄いピンク色してる俺のことを見て、そう一蹴。 「はやふう(はやくー)。ひぬ!(しぬ!)」  ほんとに死ぬと思った。身体中がさーっと血を失っていく感覚。立ちくらみまで起こる始末。自分も馬鹿だと思う。セルフで舌ピはほんとに死んじゃうかもしれないだろ。 「はい。お口あーん」 「あー」  綾が持ってきたロックアイスを直で舌にあてる。口を限界突破して開けてるから、涎がだらっだら止まらない。綾の台所のフローリングをぼたぼたに濡らすピンク色。なんかイチゴ飴溶かしたみたいな色してるな。 「ほらー。いたいのいたいのとんでいけー」  数十分ほど氷を口に含んでいると、やっと出血が止まってきた。綾に顎をなでなでされる。こいつたまにするスキンシップがさ、俺のことお子ちゃまにしか思ってないの。この前ファミレスでお子様プレート頼みやがったし。なんだっけな。お子様ハンバーグに、台形の米の塊に旗が刺さってた。そして極めつけはデザートの人参ゼリー。こいつがばかうまかったから許したけど。お子様扱いしないでよねー。俺もすこしで18だよ。18禁も解禁だよ。

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