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城壁の皇帝10

「お前さん、年は幾つになる」 「年……ですか? えっと、今十三歳です」 「十三だと? では中学生か?」 「……はい、そうです」  これは驚きだ。割合背の低い身長といい、どこそこ華奢な体つきといい、どう見てもまだ小学生くらいにしか見えないからだ。まあ本当に中学生だというなら礼儀が伴っていてもおかしくはないか――(イェン)はますますこの少年に興味が湧いてしまうのを抑えられずにいた。 「あの……お兄さんっていうのがいけないようでしたら……その、皇帝様……でいいですか?」 「――皇帝だ?」 「えっと……さっきの人たちがそう呼んでたから……」  先程カジノから追い掛け回して来た男たちのことを言っているのだろう。(イェン)は思わず笑みを誘われてしまった。 「ふ――頭の良いガキだ。だがお前さんがそんな呼び方をする必要はねえ。そうだな――白龍(バイロン)白龍(バイロン)とでも呼んでもらおうか」 「白龍(バイロン)……?」 「俺の(あざな)だ」 「(あざな)……? お兄さん、白龍(バイロン)っていう(あざな)なんですか?」 「そうだ。これからはそう呼べ」 「はい……あの、白龍(バイロン)」 「それでいい。ところでメシを食いながらお前のことも少し教えてもらおうか。名は確か……(ひょう)といったな? フルネームは何という」 「雪吹(ふぶき)で……す。雪吹冰(ふぶき ひょう)」 「雪吹冰(ふぶき ひょう)、日本人か?」 「はい、そ……です」 「この街へはどうやって来た。爺さんと住んでいるといったが、家はどの辺りなのだ」  (イェン)は冰という少年からこれまでの経緯を聞くことにした。

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