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言わなければよかった。

「おれ、ゆうのことが好き」 「……」 踏切を睨みつけながら独り言のように告白する。 ゆうがどんな顔してるのかなんて怖くて見れない。 ついに告白してしまった。幼馴染のゆうに。 昔からずっと友人としてではなく恋愛的な意味で好きだった。 ずっと何かの間違いだって思ってた。 けどゆうのことが好きって気持ちが日に日に抑えられなくて。 さあ早くおれのことをこっぴどくフッてくれ。 言わずにいるより言って後悔したほうがいい、そうすればこの気持も諦めがつくから。 大きな音を鳴らしながら目の前を電車が通り過ぎていく。 踏切が上がってもゆうは何も言わない。 俺は恥ずかしくなって走って逃げようとする。 ぱっと腕を取られ驚き後ろを振り返ると少し顔を赤くしたゆうと目が合う。 「お、俺もれいじのこと好き」 「……え? へ、いや、おれ、男」 「知ってるって! 何年一緒にいると思ってんだよ。 俺も、ゆうのことが恋愛的な意味で好きってこと」 目からポタポタとしずくが流れたと思うと堰を切ったように溢れ流れ出す。 驚きと嬉しさがいっぺんに襲ってきてしゃがみこんで泣きじゃくる。 そんなに泣くことかよ、とゆうはいつものように笑って背中をさすってくれた。 おれたちは付き合うことになった。 ゆうと付き合ってから数日が経ち、学校中におれたちが付き合っている噂は広まった。 そしておれは 「……」 いじめの対象になった。 おれの机には隠し撮りしたであろうおれとゆうと撮った写真、机にもひどい言葉がたくさん書かれている。 「あちゃー今日もやられてんなー、さっさと片付けるかー」 「……ゆう、ごめん。おれが告白なんかしたから」 「な~に言ってんだよ、気にしなくていいっつーの。ほれほれ、先生が来るまでに片付けるぞー」 「……うん」 ゆうはいつものように笑って、ふざけておれを笑わせようとしてくれる。 変わりはない、いつもの日常。 ゆうは日に日に怪我が増えていった。 紙で切った、はしゃぎすぎて転んで怪我した、頭の上から鳥が飛んできてぶつかった…… 明らかに嘘だ。けど聞いてもゆうははぐらかしてちゃんと答えてはくれない。 おれたちはいつものように二人歩いて帰宅する。 踏切がタイミングよく降りてきておれたちを通せんぼする。 おれは踏切を睨みつけながらゆうに話しかける。 「ゆう、あのさ、その怪我」 「だーかーらー、れいじは気にしなくていいって! れいじはほんと優しいよなー。 名前からお礼の礼に慈しむって書いて『礼慈』だもんな、ぴったりすぎんだろ」 「それならゆ」 急に頬に生暖かいものがくっつく。 それがキスであることに気付いて、ぼっと顔が赤くなる。 「な、なんでこんな。誰か見てたら」 ぼくはきょろきょろとあたりを見回す。 ゆうはいつもみたいに楽しそうに笑って、一瞬くしゃっと泣きそうな顔になる。 瞬間、ゆうは踏切を越えて線路の中へ入っていく。 カンカンカンカン! 警告するように踏切の音が鳴り響く。 早く行かないと、そう思うのに時間が遅くなったかのように走ってくる電車も俺の体もスローモーションのように感じる。 電車の泣き叫ぶ音に混じって”優”が、いつものように優しく笑って口が動く。 『ごめんな』 目の前から優が消えて電車が通っていき、泣き叫ぶ音があたりに響く。 獣のように声を上げ愛しい優の名前を叫び続ける。 何度も何度も、もういない彼の名前を。 ああ、こんな結末なるならば

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