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02そして、決闘へ

セオドアに対して魔法や魔術は無駄だ。 ならば錬金術で勝負するしかないが、いくら決闘とはいえ、俺はセオドアを傷つけたいわけではない。 一か八か。 「《錬成》」 俺は鞭を錬成した。 催涙剤が効いているうちに、セオドアを捕縛する。 俺はセオドアに向けて駆け出し、足に巻きつけるように鞭を振るう。 「遅い」 セオドアは軽々と避ける。 「目が見えなくても足音と気配で避けられる。しかし……視界を奪い、くしゃみを連発させることで相手を無力化して鎮圧するとはガキのクセに考えたな。口許を覆っていたのはコイツを吸い込まない為……か」 セオドアは涙ぐんではいたものの、既に目を開けていた。 くしゃみもしていない。 催涙剤の効き目が切れかけている。 まずい。 俺は唇を噛み締めた後、覚悟を決める。 もうこれしかない。 ゴーグルとマスクを外し、口の中に飴を放り込むと、鞭を片手にセオドアへと突っ込む。 「だから、遅いと言っただろうが。この屋敷に長年閉じ籠っていたお前が、近接戦闘で俺に勝てるとでも? しかも鞭で?」 「《再錬成》」 俺は鞭の長さをロープのように伸ばすと、自分自身ごとセオドアをぐるぐる巻きにして、捕縛した。 「…………は? 何、を……」 「《歪んだこの想いよ、執着よ。願わくば彼を拘束して欲しい。私から決して離れぬように》」 更に『アディクト』の一説を口ずさんで再度触手を呼び出し、捕縛の手助けをさせる。 「また触手か。何が目的かは知らねぇが、そういうプレイが好きならお前だけで楽しみな。《対魔法・対魔術》《接ぞ……」 セオドアは詠唱をする為に口を開けた。 今だ!! 俺はセオドアに口づけて、先程口に放り込んだ飴を押し込む。 そして、セオドアが吐き出さないように彼の舌を自分のそれで愛撫する。 舌を重ねて、絡めて。 セオドアの舌のザラつきを感じながら唾液で蜂蜜味の甘い飴を溶かす。 溶けて。 溶けて。 小さくなった飴を、セオドアは難なく飲み込んだ。 「《錬成解除》」 俺は鞭を消すと、触手にセオドアのみを拘束するように指示を出す。 「ぐっ……っ!」 セオドアが俺を睨む。 「た……対魔法! 対魔術! 接続! くそっ!! おいクソガキ!! お前、俺に何しやがった!!」 離れていく俺に拘束されたセオドアは叫ぶ。 「さっきの飴に、魔法陣を描いた。俺の血で。効果は魔法・魔術封印。唾液による領域魔法で更に効果を高め、持続時間も延長した。しばらくは俺がどんな魔法を打ち込んでも、それに干渉出来ない筈だ」 とはいえ、近接戦闘にも慣れているセオドアに戦闘中に飴を舐めさせられるかはかなりの大博打だったのだが。 「準備はしておくモンだな。勉強になったぜ」

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