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第171話 海で撮影

「ひゃあ、冷たいね。」  もう晩秋だから、海も水が冷たい。 タカが裸足でジーパンのすそを折り曲げて波打ち際を歩く。タカの腰に手をまわしてハジメが支えている。同じようにズボンの裾を捲り上げて裸足だ。シャツが風をはらんで綺麗な腹筋が覗く。 「キャッ、意外と冷たい。」 転びそうになったタカを真っ直ぐに抱きしめて、その頬にキスしているハジメ。 「二人とも綺麗だわ。」 「海の光が反射してキラキラしてる。ね 「尊いわぁ!」  [白薔薇]さんたちが興奮して騒がしい。 ハジメがテレもせずタカを抱きしめて、その目を見つめて深いキスをした。タカの髪を撫でてもう一度キス。もう二人の世界に入っちゃってる? 「はい、カット。いいね。 このまま映画でも撮りたい感じだ。」  アキラがカメラを持っているが、もう一台、ムービーカメラも回っている。  今日はアキラの友達がムービーを同時に撮っているのだ。 「必要なのはスチール写真なんだけど、せっかくだから内輪で楽しむ動画も撮りたいんで友達に来て貰いました。ハル、です。」  アキラと同じ高校の映画研究会だそうだ。 ミトとロジも家が近いから、様子を見に来ている。 「ロジ、僕も海に入ってみたい。」 「足の先だけだぞ。濡れたら風邪ひくだろ。」 そう言ってロジもミトの腰に手をまわした。 「ロジ、転びそう。しっかり抱いていて。」 ミトがしがみついている。  ムービーカメラがそれを追っている。

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