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第16話

 兵士と初めて会った朝に嗅いだ、味噌汁の匂いがする。  あの日一緒に寝ていた部屋で、こうしてまた目覚めることになるなんて。   「裕介、起きた〜? もう昼だよ〜?」  兵士が襖を勢いよく開けて入ってきた。 「ご飯できてるよ! ……早く服着たら?」 「えっ」  俺はハッとして、慌てて布団にくるまった。    「昨日の夜は可愛かった〜! もっとして、とか言って〜」  「うるさいっ!! 黙れって!」  俺は兵士の顔面に枕を投げつけた。 「照れなくてもいいじゃん。早く下でメシ食べよ〜?」 「すぐ行くから」 「ほーい」  兵士はお祖母さんの割烹着を脱ぎながら、下に降りて行った。 「あれ、着信がすご……」  スマホを見ると、父さんや母さん、父さんの秘書からの着信が大量に来ていた。  珍しく、父さんからLINEも来ている。 『明日、週刊誌に記事が出る。その事について話を聞きたい。今すぐ帰ってきなさい』  その文章の後、添付ファイルで記事の画像が送られてきていた。 『皇(すめらぎ)官房長官の息子A氏、謎の美青年と密会&路チュー写真!恋人?パパ活?』 「何だよこれ……」  俺は身体中の力が抜けて、布団から動くことが出来なくなってしまった。

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