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20 可愛い天音をずっと見ていたい ※

「あ……っ、と……っ、とぉ……ま……」 「天音、ほんとお前、可愛いな……。想像以上で……ビビるわ……」  天音がまた涙を浮かべ、それを隠すように腕で目元を覆った。 「せっかく目開けてくれたのに隠すなよ」  俺は天音の腕をそっと持ち上げ、今にもこぼれそうな涙にキスをする。 「お前、後ろからのときもそうやって一人で泣いてたんだろ」  反対の目尻の涙も指で拭った。 「さっきもマジで焦った。すげぇとろけきった顔してると思ったら急に怯えて泣き出すから……。ごめんな? 今まで気づいてやれなくて」  天音がわずかに驚いた顔を見せる。 「まだ怖いか? ごめん。もっと優しく抱くから。だから、もう一人で泣くなよ。大丈夫。ちゃんと克服できるって信じてろ。大丈夫だから。な?」  “俺”は怖くないから大丈夫だと、天音の心に響くように言い聞かせた。  心にも身体にも、“俺”は怖い存在じゃないと伝えるために、ひたすらゆっくりと天音の中を動く。 「ん、……ぁっ、とぉま……と……ま……っ……」  ほんと天音の声、やばい。可愛すぎだろって……。 「あ……っ、ぁぁ……っ……」 「天音……悪い。俺もうかなり限界なんだけど……お前まだイけねえ……よな?」  そう問うと、突然中がぎゅうっと締まる。 「……っ、おまっ、締めんな……っ、……はっ……」 「イッて……とぉま。おれも……イきそう……っ」 「……マジ? ……わかった」  一緒にイこう、天音。  そう思って天音の足を持ち上げ肩にかけ、俺は固まった。 「と……ま……?」 「…………くっそ、ここもかよっ!」  また目に飛び込んできた、天音の太ももに付いた紅い痣。 「お前なんでこんなとこにまで付けられてんだよ……っ。クソセフレめ……っ」  またはらわたが煮えくり返る。  怒りをおさめようと、必死で深呼吸を繰り返した。 「あとでまた重ね付けしてやる」  俺は気を取り直して再び腰を動かした。でも、数回動いてすぐにやめた。 「あーっ、くっそっ。チラチラ視界に入るっ」  どんどん萎えていく俺のものを天音の中から抜き取った。 「え、とぉま……?」 「ちょっと待ってろ」  嫉妬まみれの醜い顔を天音には見せられない。  必死で平静を装いながら、天音の太ももに吸い付いた。  消してやる。クソセフレの跡なんて全部消してやる。  肩ならまだしも、太ももなんてあきらかに最中の跡だろっ。  これが挑戦状じゃなかったらなんなんだっ。  天音も……っ。こんなん付けられてんじゃねぇよっ。  嫉妬で胸が焼け焦げる。  天音が他の男に抱かれてる。  ……やっぱだめだ、耐えられない。  ほんと俺、どうすればいいんだ……っ。  感情が爆発しそうになったとき、「ぷは」という天音の笑い声が聞こえてきた。 「あま……」  俺は固まった。  また見たいとずっとこがれてた、微笑とは違う天音の笑顔。  でも、また一瞬で無表情に戻ってしまった。 「だ、から……クソセフレのおかげって……複雑だっつってんじゃん」 「……知らねぇよ、そんなん」  と、天音はまた口元をゆるめる。  天音が笑うと嬉しいはずなのに素直に喜べない。  俺が天音を笑わせたいのに……っ。なんでクソセフレのおかげなんだよっ。  でも、わずかにでもずっと頬がゆるみっぱなしの天音が、本当に可愛すぎて目が離せない。  ずっと見ていたい。この可愛い天音を。 「……あーもー……。ほんとお前、もっといっぱい笑えよ。可愛いから」  それに応えるように、天音が俺に柔らかい表情を向けた。  それだけで、俺の心臓がドクドクとうるさく鳴り響く。 「冬磨、それ、もういいだろ? 早く……しよ?」  言われた瞬間に下半身に熱が集まり、驚くと同時に思わず笑った。 「やっぱ天音すげぇわ」 「……なにが?」 「クソセフレのせいでちょっと萎えたんだけど。今ので完全に復活した」  嫉妬心は消えないが、今はもうどうでもいい。  目の前の天音が愛しくてたまらない。 「ほんと、天音は特別」  再び天音の中に入ると、それだけで天音が気持ちよさそうに顔をゆがめた。  やっぱもうずっと前からがいいな。ずっと天音の顔を見ながら抱きたい。 「天音。クソセフレのおかげで余裕だわ。天音のイク顔いっぱい見せろよ」 「は……、いっぱいって、ばか……じゃね……っ、ンッ……」 「ふはっ。もーなんだろな。天音がベッドで可愛くないこと言うと余計可愛いんだけど。ほんと……やばい」  好きだと自覚した上に、熱のこもった天音の瞳を見ながら抱くのは、今までの比じゃないほど気持ちがいい。ずっとこらえていないとダメなほど全身がゾクゾクと感じる。 「あぁ……っ、……ぁ……っ、とぉ……ま……っ……」 「天音、気持ちい?」 「ぅん……っ、きもち……ぃ……っ……」  可愛い口調で、トロトロにとろけきった可愛い顔で、天音が俺を見つめてくる。  余裕だと思った俺はバカだった。 「お前が感じてる顔……すげぇクる。は……っ、やば……い……」  天音の顔を見てるだけでイきそうになる。  まともに動くこともできずに動きを止め、なんとかこらえて「はは……情けねぇ……」と天音の頬にキスを落とした。 「すげぇ余裕だと思ったのに……」  思わずそうこぼすと、天音が俺の首に腕を回してぎゅうっと抱きついた。 「とぉま……」  耳元にささやかれた俺の名前に下半身がうずいたとき、天音の唇が俺の頬にふれた。  一瞬、ただふれただけかと思った。でも、天音は唇を優しく押し付けてくる。  これは、キスだ――――  初めて天音が俺にキスをした。  初めて……っ。  胸が痛いくらいに高鳴った。   「……キスなんて……初めてじゃん、天音」  感情が高ぶって達しそうになった俺は、思わずズンッと最奥を突いた。 「あぁ……っ……!」  なんとかイかずにこらえきる。  顔を上げて天音を見つめると、やっぱり熱のこもった瞳が俺を射抜いた。 「ほっぺにチュウがこんなクるとか……俺やばいな……」  と苦笑する。そして、天音の表情に怯えがないことを確認してから、奥深くを攻めたてた。 「あ……っ、ぁっ、や……っ……」 「天音、後ろより前のが好きだろ? 可愛い声がさらに可愛い……」 「ん……すき……っ、すき、……ぁ……っ」  天音の『好き』は本当にやばい。またキスがしたくなって必死でこらえる。  もうずっと好きって言ってろよ……天音。  抱いてるときだけでも、俺を好きなんだと勘違いさせてくれ。 「どんな顔でイクのか早く見せて……っ、天音」 「ンぁぁ……っ! ふか……ふかぃ……っ、や……ぁ……っ」 「イッて、天音っ」 「あっ、や……っ、んんー……っ! と……まっ、とぉま……っっ!」  イクときの天音の顔は最高に可愛かった。  もっていかれないよう必死でこらえた。  俺にしがみついていた天音の手が、ストンとベッドの上に落ちる。脱力してぐったりする天音がまた可愛い。  頬を優しく撫でると、イク瞬間に閉じられた目が再びゆっくりと開いた。 「天音、最高に可愛い……」 「と……ま……」 「泣くほど気持ちよかった?」  天音の目尻から流れた涙を指で拭った。 「今は怯えてねぇもんな?」  天音は何も答えてはくれなかったが、無表情ながらも図星だと瞳が言っている気がして、可愛すぎて悶えた。  ベッドの上では、わずかでも瞳が素直に語ってくれる。新しい発見に嬉しくなった。 「もうちょっと俺に付き合ってな?」  天音の身体を少し休ませてから、またゆっくりと中を優しく出入りした。 「ん……っ、……はぁ……」 「つらくないか?」 「だい……じょぶ……」 「ん……よかった」  本当はもう俺が限界で、もっと激しく動きたかったけれど天音の身体を思って必死に耐えた。  俺の快楽なんて二の次でいい。天音と繋がっていられるだけで俺は幸せだ。 「俺はいいから……イッて、とぉま……」 「なんで。最後は一緒にイこう?」  天音の敏感なところを攻めてなんとか一緒にと愛撫をすると、なぜか天音が怒りだした。 「もうしんどいんだって……っ」 「ん、そっか」 「俺はいいっつってんだろ……っ!」 「わかったわかった」  なんで怒ってるのかは分からないが、天音の身体がもうイきそうなことは分かってた。  なんでそんなにイきたくないのか分からない。  怯えてないし、顔はとろけてるし、天音のものは爆発寸前。  怒ってる天音がとにかく可愛くて、俺はクスクス笑いながら「あー可愛い」と無視し続けた。 「や……っ、ちく……びっ、やだ……っ、あ……っ……!」 「も……俺限界……っ、天音もイッて」 「やだっ、やだっ、イッ……っ」  恋人繋ぎをしている手にぎゅうっと力がこもる。 「あぁぁ……っっ!」 「天音……っ……」  こんなに大きな声で絶頂を迎える天音は初めてかもしれない。  俺の名前を呼ばずに達したのもたぶん初めてだ。  ちょっとだけ寂しかったが、余裕のなさの証拠な気がしてさらに愛おしく感じた。  

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