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第1話全ての始まり
「―――!危ない!」
そう思った時には体が咄嗟に動いていた。
横断歩道を歩いている少女に迫る、侵入してきたトラックは止まる様子がない。
ガードレールを飛び越え少女を突き飛ばした所で恵文字 の意識は飛んだ。
次に目が覚めたのは両親が神妙な顔をしている時。
うすらと目を開けたのに反応したのは父さんだった。
「恵、目が覚めたんだな!! 」
父さん。
「良かった、あなた二週間も眠り続けていたのよ」
母さん。
僕は動きたくても激痛とで動けなかった。
足を、両足を天井から吊られていた。
動く顔だけでぐるりと見渡してみる。
無機質な天井、泣き出す両親、離れたところに見守るようにはるかが居た。
「はるか……」
「今は安静にしとけって先生が言ってたよ、命があって良かったってぐらいの事故だったって。恵、よくやったよ」
するりと頬を撫でられ、泣いているのに気づく。
「女の子は」
「それも無事、お前が助けたからだ、かすり傷だけで済んだんだ。女の子も親もお前にめっちゃ感謝してたぜ」
それを聞いて、はるかの温もりもあって僕は安心したらしい。
急速に落ちていく意識の最後まで温もりはそこにあった。
もう一度起きた時には全てがもう終わっていた。
僕は三ヶ月の入院生活とリハビリ、そしてその後に通院しながらはるかと暮らす事になると告げられた。
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