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第1話
小さい頃に日比谷優多(ひびやうた)は仲良しの男の子仲山奏(なかやまかなで)とこんな約束をした。
「大きくなったらけっこんしようね」
パパやママに聞いたら
「結婚は好きな人とするんだよ」
という言葉を聞いて、大好きな奏くんと一緒に居たいが為にした約束だったのだが、奏はパァっ
と明るい顔になりこう言う
「うん、わかった約束だよ」
指切りをした2人は口約束をして、
「うたくんが大人になってもおぼえてたらこの公園にきてね。」
フェードアウトしつつ、優多が大人になったらこの場所でまた気持ちを伝え合おう、そんな大事な約束を交わしたのだ。
あれから13年、大事な約束の日が近づいている。
現在2人はどうなってるのかと言うと、実は奏はこの大事な「婚約」を覚えて無かった。
もう直ぐ約束の18歳になる。
そんなある日友人から奏をカフェで見たという話を友人である山田から聞いてしまう。
「あーなんか仲山また彼女出来たみたいだな、駅前通りのカフェで俺ら見ちゃったんだよ中学生っぽい子と向かい合って座った姿を。」
イケメンは得だなーなどと山田は言って居たが優多は目の前が真っ暗になってしまった。
(ああ、やっぱり忘れてたんだ―ー。)
その日はどうやって帰ってきたか判らないくらい動揺してきた優多は、風呂場に篭もるとポロリと涙がこぼれているに気が付かなかった。
こんなに泣いたのは奏に彼女が初めて出来た時以来かも知れない、そのぐらいショックを隠しきれなかった。
(俺はずっと奏が大好きなままなのに…。)
(奏はそうじゃない。)
そんな訳で毎日のように山田や友人達と遊び回っていた為か、奏と近所の筈なのにほとんどすれ違う事も無かった。
それが1番辛かった。
自嘲の溜息を吐く優多。
(自分だけが奏の特別だと思っていたのがバカみたい)
奏は寡黙だけど優しい奴だからアホな俺に付き合ってくれてただけなのだろう。
(普通に考えたら女の子の方がいいに決まってるよな。ずっと信じ切っていた俺って馬鹿だな……)
「明日約束の日か…。こんなギスギスした状態で迎えるなんてな。」
そんな事を考えながら1人悶々して居たら中々寝付けなかった。
***
何とか授業を終える事が出来たが、心ここに在らずだった為か1ミリも授業の内容を覚えてなかった。
友人達は「優多、誕プレ代わりに奢ってやるから遊びに行こう」と誘われたが、やんわりと断った。
わりぃまた今度!なんて言いながら教室のドアを開けた時、何時も用事を頼んでくる先生に捕まってしまったのは不可抗力だろう。
「日比谷悪いが手伝ってくれ」
「……先生俺用事があr」
「ちょっと資料を纏めるだけだから!」
引きずられてゆく優多。
「ぜんっぜん終わらないし!先生の嘘つき!!」
結局全部終わらせるのに3時間くらいかかってしまったのだが、これは優多の所為では無く、次から次へと書類を見つけてはどんどん処理をしていく優多に教師が押し付けて行ったからだ。
3時間くらいかかってやっと帰らせて貰えた頃にはもう日が沈みかけていた。
公園まで走り出した。。
公園に着いた頃には日も落ちており、辺りにある街灯や民家の明かりを微かに感じるくらいになっていた。周りを見渡しても人影は肉眼では判らない程だ。
(やっぱり居ないか。)
そう思って涙目になっていた時「優多?」と優しい大好きな声が聞こえて来た。
「か、奏?忘れてたんじゃ?!」
「……。」
バツが悪そうにしていた奏に泣きながら訴える優多。
泣き怒りで殴ってくる優多の姿にオロオロする奏
奏の胸をポカポカと泣きながら殴る優多。。
「ごめん。忘れたフリをしていたのは、お前の前で格好つけたかったからだ。」
「は?!」
「だから、きちんと覚えてたよ、でも知られたら気持ちが暴走しそうで怖かったんだ!」
抱きしめる奏。藻掻く優多。
「彼女居る癖に!!」
「え?」
「しらばっくれんなよ!山田がお前達をカフェで見たって!」
「は?あ、あれはバイトで」
ポケットからそっと箱を開くと、そこには指輪が二つ入っていた。
「これが欲しくてバイトをしてたんだ。」
ペアリングを差し出して指輪をはめようとするが、サイズがあってないのか優多にはブカブカだった。
カッコ悪い姿を見せたと思い頭をガシガシ掻く奏の姿に泣く気も怒る気もすっかり失せてしまった優多は吹き出した後に奏の胸ぐら掴んでちゅっとキスをする。
「どうだ、ビックリしたか!」
ニカッと笑うが次の瞬間奏に唇を奪われる。
「ん"ーーーーーーーっ!!」
いきなり舌を入れられ舐め上げられる。さっき自分からしたキスなんて目じゃないくらいのディープなやつだ。
優多はこんな激しい、まるで喰われているような感覚に陥り上手く息が出来ない。
「ふ……ぁ……ッ!」
酸欠になるんじゃないかと心配する位激しいキスに、優多は奏の中に野獣がいる事を思い知る。
そして気がついたらダボダボの服を着崩していた筈なのに、パンツも膝まで下げられ下半身丸出し状態になっていた。
(いつの間に?!)
しかもいつの間にか股の間に膝をグッと入れられ逃げられない。
これは所謂青姦だ。
ちょっとした茂みになっている場所で下半身さらけ出した状態のまま指で丁寧に解された後、双璧を開くようにして熱くて固い物が優多の尻に宛てがわれる。
イヤそこ入れる場所じゃないとツッコミを入れそうになった優多だったが片足を持ち上げられズブズブと優多の中にゆっくりと入ってくる。
「……キッツ……。」
初めてのセックスが青姦で、しかも立ったままって!
こんな所誰かに見られたとしたら軽く死ねる!
「声……抑えられ……っァッ」
両手で口元を抑えた優多だったが、挿入を止めなかった奏がある場所にゴリゴリと入って来た瞬間、どこから出たのかビックリするような甘い声が出てしまう。
一生懸命に声を抑えようとしたのだが、鼻にかかったような声が夜の静かな公園に響くんじゃないかと気が気で無かった。
すると奏がまた優多の唇を塞いだ。
今度は舌を絡めながら優多の唾液を味わうようにクチュクチュと音を立てて啄む。
(奏キス上手……。)
俺のハジメテは全部奏なのに!という気持ちと、大好きな人と繋がれた喜びが相まって生理的な涙がポロリと零れ落ちた。
こんなグチャグチャな顔をしているので薄暗いのは有難かったのだが、せっかくだから奏の顔が見たい。優多はそろそろと閉じていた瞳を開けてみたのだが、やはり薄暗くてどんな表情をしているのかは分からなかった。
だが、結合している熱塊は硬さをどんどん増しており、それだけでも奏が興奮してくれている事だけは分かった。
優多は自分のこの貧相な体で気持ち良くなってくれている事が嬉しいと思っていた。
段々と奏の腰の動きが早くなる。その動きに合わせて優多の竿を抜くスピードも速くなり、ささやかにぷっくりと膨らんだ優多の乳首をコリコリと弄り出す。
「ふ…んっ…!!」
奏が口を塞いでくれていなければきっと公園中に優多の喘ぎ声が響いたと思うとそれだけでさらに興奮してしまう。
(俺変態だったのか)
それでも奏とこうして抱き合う事に一切躊躇は無かった。きっと奏じゃなければ気持ち良いとさえ思わなかっただろう。
優多はそれだけで満たされていた。
ピストン運動が性急になり、奏も限界に近いのが判る。
「くっ…出る…ぞッ」
「ああッ……ッ」
耳元で欲にまみれた男の声に優多は自分も興奮しているのが判る。好きだ。やっぱり大好きなのだ。
行為が終わると途端に雑踏や人の声・虫の声が聞こえてくる。
壁にもたれかかり、初めてのセックスを終えた2人だったが、1回で終わる訳もなく、2回戦3回戦と体位を変え励んだ。
流石に3回目の絶頂を終えたあたりで優多の腰が抜けた。
ぺしっと頭を軽く殴りながら
「三回はやり過ぎだ!でもおんぶしてくれてありがとな」
「いや、俺も無理させたし」
冷静に考えれば1回で終わらせていたらこんな事にはならなかった筈だと思うと2人赤面してしまう。でもシた事に後悔は微塵も無かった。
そして腰が抜けた優多を奏がおんぶして奏の家に連れ帰る事になった。
「奏、大好き。」
ぽつりと背負ってくれた広い背中にそう呟く優多。
「え、何聞こえない!もう一度言って!」
「もう言わない!」
「てか、外でするの慣れてない?」
「……。」
笑いながら言う優多の笑顔は晴れやかで、奏の大きな背中に凭れ掛かる優多だった。
After
初めて気持ちを確かめ合ったその日、親に「今日は帰りません」と優多はメッセージを送った。
元々放任主義な親なので「了解!」と返ってきた。優多はホッと息をつく。
昔から奏の家に転がり込んでいた事もあり下着はおろかパジャマまで用意してある。
奏の部屋は昔からシンプルに整頓されていてとても落ち着く。
いつの間に付いたのか優多の背中には擦れた後みたいな痣が出来ていて、汗と体液でぐちゃぐちゃな身体を清めようと風呂に入らせて貰う事にした優多はふと見た鏡を見てそれに気が付いた。
思わず奏に「シャワー浴びた後背中に湿布貼って!」とお願いする事になった。
「ああ、これは酷いな…。ごめん」
「俺も見てびっくりしちゃった。」
風呂上りの優多の背中を見た奏はそう呟いた。
相手に負担をかける行為をしたのだから当然なのだが、もたれかかった壁で擦れてしまったのだろうと思うとどうしても奏は申し訳ない気持ちになってしまう。
だが性欲を持て余した18歳男子は、湿布を張りながらも優多の細い腰だとかちょっと薄い胸にツンと主張しているピンク色の乳首に反応しムラムラしてしまうのは仕方ない事だろう。。
無事に湿布を貼り終わった後奏のベッドで優多はセカンド・バージンを喪う事になる。
…いつの間にか使われたゴムの出所について追及したい優多だったが、体力の限界までお互い抱き合ってる内に、もういいか!という気になってしまったのはご愛敬。
後日奏の買ったリングのサイズを合わせにいくのを優多は心待ちにしながらそっと眠りについたのだった。
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