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第1話 逃亡
「はぁッ…はぁッ…!No.01、大丈夫か?」
「はッ…はぁッ…!」
彼はさっき施設から逃げ出したばかりであり、呼吸が整ってすらいない。そして今、俺たちは逃亡中だ。いつ追手が来るか分からない。急がなければ……。
「行くぞ、…もう少し走ってくれ!」
俺はNo.01の肩に手を置いて走るように促した。すると彼は涙目になって訴えてきた。
「無理です!もう限界なんです!」
彼はそう言うと足を止めた。そんな彼の姿を見て思った。
(はぁ、仕方ないか……)
そして、俺は彼をおんぶして再び走り出した。彼が俺の背中に体重を預けてくるのが分かった。やはり疲れているのだろう、少し重たく感じるがこのくらいは我慢できる。
俺たちはそれからしばらく走り続けた。その間、彼はずっと無言だった。
「あの……すみません」
彼が話しかけてきた。俺はその言葉を無視して走る速度を上げた。今は少しでも時間を稼ぎたい。そう思ったからだ。
しばらく走った後、俺たちはようやく安全な場所に逃げ込むことに成功したのだった。そこは小さな小屋のような場所だった。
中には誰もおらず、ただ薄汚れた布のベッドがあるだけだった。
「ふぅ……」
俺はベッドに腰掛けると一息ついた。そしてNo.01を背中から降ろすと床に寝転がせた。彼は疲れ切っているようで、抵抗しなかった。
俺はそれを確認すると、窓の外を見た。外は暗い。真っ黒の空だった。
(とりあえず、夜が明ける前に少しだけここで休もう)
そう思い、俺もNo.01の横に並んで寝転がった。すると隣から声をかけられた。
「あの……」
No.01が話しかけてきたのだ。
「なんだ?」
俺が尋ねると、彼は言った。
「僕はこれからどうなるんでしょうか……」
その言葉を聞いて、俺は少し考えた後、答えた。
「さぁな。それは俺にもわからない」
そう言うと、再び沈黙が訪れた。
しばらくしてから今度は向こうから話しかけてきた。
「No.00さん……どうして僕に優しくしてくれるんですか?」
突然の質問に驚いたが、俺は正直に答えることにした。
「別に優しいわけじゃないさ……ただ他にやることがあるだけだ」
「やること……?」
俺はそれに答えなかった。きっと話しても意味が無いと思ったからだ。それよりも今は眠りたかったのだ。
だからそれ以上は何も言わなかった。No.01も何も聞いてこなかった。しばらくしてから、俺は眠りについたのだった……
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