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この世で一番ほしいプレゼント♡番外編 運命の人16
妙に暗くなってしまった雰囲気をなんとかすべく、声のトーンをあげて、計画していることの説明を続ける。
「伯母様以外、南方に知り合いはいないが、念のために髪を染めるのと、瞳はカラーコンタクトで誤魔化す。目元にホクロでもつければ完璧か」
「どうでしょうね」
まぶたを伏せたまま意気消沈したカールに、俺を意識する言葉を告げる。
「……ここまで考えた俺を、カールは好きになってくれないのか?」
掴んでいるカールの手を左右に揺らし、強引に俺を見るように仕向けた。すると仕方なさそうな顔で目の前に座り込み、首を横に振って俺のセリフを否定する。
「なんでだよ! 俺がしたくない見合いをしてたときに、悲しそうな目で見ていたじゃないか」
「私ではなく、アンドレア様に相応しい身分の方とご一緒になったほうが、きっと幸せに――」
これ以上聞きたくなかったせいで、舌打ちしてしまった。
「おまえの物差しで、そんなことを決めつけるな。カールじゃなきゃ幸せになれないんだよ、俺は!」
「アンドレア様……」
「おまえに窘められて、凹むくらいに叱られて、たまに褒められなきゃ、俺は生きてる意味はない」
カールの手を引っ張り、胸の中に閉じ込める。ぎゅっと抱きしめて、カールの髪に頬を寄せた。
「俺はカールが好きなんだ。俺がこれだけ気持ちを伝えているのに、どうして素直になってくれないんだ」
「しかし――」
俺の想いを吐露しているのに、それすらも否定されると、どうしていいのかわからなくなる。
「今の俺は貴族じゃなく、ただの男に成り下がってる。そんな俺がおまえとともにありたいと豪語しているのが、気に食わないのか?」
「…………」
抱きしめるカールが身じろぎしながら、恐るおそる顔をあげた。微妙な面持ちでいる彼に、なにを告げたらいいのか思案していると。
「私はアンドレア様をお慕いいたして…んッ!」
俺の名を告げた時点で、頬を薄ら赤く染めあげた姿に堪らなくなり、唇を塞いでしまった。ずっと欲していたせいで、貪るようなキスになっていく。
「んんっ……ぁっ」
カールが逃げないように、後頭部の髪を手荒に掴んで舌を絡めた。それに呼応するように、カールが唇を押しつけて、求めるように舌を絡ませる。
感じさせられたのを知られたくなくて、みずから顔を遠のかせた。
「アンドレア様からのプレゼント、とても嬉しいです」
そう告げたカールの表情は、とても明るいものだった。ずっと眺めていたくなる笑顔に向かって、あえて文句を言ってみる。
「なにを言ってるんだ。俺はおまえから、プレゼントをもらってないぞ」
「それって――」
言いかけたカールの顔が、ここ一番で真っ赤に染まった。俺の告げたセリフの意味がわかって、なによりといったところだろう。
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