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第150話 ロジとタカ

 ロジはタカの淹れた珈琲を美味しそうに飲んでいる。 「美味いな。タカは上手に淹れるね。珈琲豆も買ってきたのかい?」 「オレ、カフェでアルバイトしてたんで、淹れ方覚えたんです。 珈琲豆は自家焙煎のものを、いつも家の近くで買うんですけど、ハジメも美味しいって言ってくれる。ちょっと自信あるんです。ハンドドリップで淹れます。」  書斎の狭いカウチに腰掛けているタカと二人、目が合ってしまった。 「いい香りだ。珈琲はいいね。心が昂る。」  狭いカウチの隣に来たロジが、タカの肩を抱き寄せる。 「えっ、?オレ、オレ…?」 困った顔のタカが可愛い。 「大丈夫かい?今、家には二人きりだよ。誰にも気付かれないよ。 私と浮気しようか?」  ロジが優しく、でも強い力で抱かれた。 (オレ、こうなることを期待してこの書斎に来たのかもしれない。)  ハジメとは違う、スマートで、でもがっしりした身体は、タカを抱き込んでカウチに横になった。タカの頭を抱えて、キスが優しい。でもタカは物足りない。 (もっと欲しい。ずっとハジメだけを見て、苦しくなってた。 ロジ先生は遊び慣れてるっていう噂だから、きっと違う愛し方をしてくれそうだ。)  タカは何か期待している。ハジメへの思いが、強すぎて苦しいのだ。 ぶち壊してしまいたい、この閉塞感を。マンネリズムとは違う。もちろん倦怠期の夫婦ではない。ハジメが好きすぎて苦しいのだ。 「わかるよ。タカはハジメを愛しすぎてるんだろう。浮気なんて考えられないかい?  張りつめた愛情の糸を少し緩めて見たらどうかな。今のままでは切れてしまうよ。 私相手ならハジメは傷つかないだろう。」

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