ミトも一回、鞭を受けた事がある、あのマッチョなボンデージのサドの王。怖かったのを思い出した。 「僕が鞭の傷を背中にもらったレイモンさん。 ハジメも傷痕見たでしょ。間違えて打たれた。」 「尊が犯人ではない、と思って辿ったら山田友也という学生にたどり着いた。 物理学を専攻して今は研究室にいる優秀な学生なんだよ。」 　誹謗中傷でネットは祭りになっていた。みんな面白がっている。尊の話では 「山田は多分ゲイ。ロジ先生の事を根掘り葉掘り聞かれたことがあるんだ。 ロジ先生は自分のことはオープンに話すけど、誰でも相手にしてくれるわけじゃないでしょ。 山田はロジ先生に憧れてたんだと思うよ。」 　山田の願望があり得無い事実を捏造し、パートナーのミトにまで広がっていやな話が事実のように語られた。そこにミトのポスターが話題になって、彼の嫉妬心を益々煽ったのだろう。 　ミトの美しさが火に油を注ぐ事になったのか。 「僕とタカが狙われたかもしれない。 世の中に出るって怖いことだね。」 　もう目立つ仕事はしたくない、とミトは心からそう思った。 　ミトとタカのポスターは相変わらず盗まれたりしている。ミトの顔が可愛くデフォルメされた様々な商品も飛ぶように売れているらしい。 「僕の顔のパッケージのチョコレートとか売ってて何だか嫌だなぁ。勝手に作ってるの？」 「ああ、サー・リチャーズ商会が窓口になってる分は野放し状態だったからキチンとするって小鉄が怒ってたんだ。私たちは呑気だったなぁ。」 ロジが反省している。