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第4話
「はぁ…、ぁ……っ」
イッた太栄さんの顔はマジでエロい。
潤ませた瞳は焦点が定まらず。
口はよだれを垂らして半開きで荒い呼吸を続けている。
顔は興奮冷めやらずで上気したまま。
綺麗な茶髪の前髪は汗でグッショリとおでこに引っ付いている。しかも現在猫耳という萌えオプション付きだ。
「あ、ぁ…、ゆうや…ぁっ、はぁ…っ」
俺の名前を呼びながら息を整える太栄さん。
「気持ち良かったですか?太栄さん」
「……ぅん……。良かった。……めっちゃ、良かったで……」
顔を赤らめて上目遣いでそんな事を言う。あまりにも可愛いものだから、俺はまだ抜いていない指を少しだけ揺らしてみたりする。
「んひぅ……ぅん」
少しだけ堪えたような甘い声。
「太栄さんのココ、すごい締め付けですよ」
喋りながらもゆっくりと抜き差しを繰り返す。
イッた直後でまだ余韻の残る太栄さんの身体はまだまだ敏感状態で、ゆっくりと内壁を擦るだけでも身体が反るようにビクンビクン揺れる。
「ぁんっ、ぉまっ…、そこ、もう…っ、ぁっ、いじん…っ、なやぁ……っひ!!」
一言一言つぶやくたびに太栄さんの身体が痙攣している。
まだ余韻が残っているのだ。
それがとても愛おしくて。
ビクンと痙攣して反りかえった太栄さんの背中を左手で受け止めてそのままキスをする。太栄さんの顔はとろけたままで。
「んぅ、ん…っ、ふ…」
キスをしながら左腕に体重をかけて少しずつ押し倒してゆく。支えとなっていた左腕をゆっくりと外し絨毯に太栄さんを横たわらせる。
手ぶらになった俺の左手は、そのまま肌を這い寄りつつ太栄さんの首元のところにあるジャージのジッパーに手をかけて一気にずり下ろし前を外す。
ジャージの下は朱色の長袖シャツに覆われていた。
だが、そんなのお構いなしに。
俺の左手は。なんなくシャツの内側へ滑り込み、そのまま服を押し上げるように上へ上へ。
「あ…ァァ、……ンン…」
太栄さんの肌の感触を指で味わう。
もちろんこの間も俺の右手は太栄さんのナカを静かに攻略中だ。
「……っ!!んゃ、ん…ふ、ぅ」
服をたくし上げながら腹筋、背中、腰、わき腹。すべてを通り、乳首へと辿り着く。たどり着いたそこは、まだシャツが邪魔になってこちらからは見ることが出来ないが、少し触るだけでも明らかに突起している事がわかる。
「やっ、ゆうや、そこ…っ!…触ったらあかんって…」
「太栄さん、乳首めっちゃ硬くなってますよ。見てもいいですか?シャツが邪魔で見えないんですよ。」
「やゃ…、んっ」
もちろん太栄さんの意見など聞きはしない。
ごめんね太栄さん。
左手で右胸付近のシャツをたくし上げる。
片手だとなかなか難しい。
難しいが、己の欲望のために俺はがんばる。
うん、俺、やれば出来る子。
やれば出来る子ッ!!
「ほら、もうすぐ見えちゃいますよ」
「いやゃ、見んといてぇ」
「そんな甘い声じゃ拒否してるようには聞こえませんよ」
「ややぁ…」
まだ目がとろんとしている太栄さん。
正確に云うと見られたくないのだけども、身体に力が入らなくて抵抗が出来ないといったところか。
もちろん俺もそれは判っているのだが。
すんません、付け入らせてもらいます。
「はぅんんっ」
まくり上げたシャツに既に立ち上がっている乳首の先が擦れたのか、太栄さんが小さく震える。シャツの下からは太栄さんの健康的な肌の色にとても似つかわしい桃色の先端が顔を覗かせた。
「見えましたよ。太栄さんの乳首。もうこんなに立ち上がってて。ほら、可愛いピンク色」
その可愛い桃色の先端は俺の指を誘うかのようにピンと立っている。よく見ると外気に触れたためか、さらにキュンと硬く上を向いていた。
「見んなやぁァァ…」
太栄さんの意見を聞く耳は以下略。
ていうか太栄さん、恥ずかしいからって手の平で乳首隠さないでくださいよ。
「なにそのポーズ。誘ってるんですか?」
まるで一昔前のグラビアアイドルのようなポーズ。そんな格好でそんなポーズしてそんな顔されたら、もう止まらない。
「そんなじゃ……あっ。いやや、見んといてぇっ」
「だめです」
太栄さんが真上に置いた右手を剥がしにかかる。太栄さんの右手を下から押しのけるように俺の左手に力を加えて少しずつ退かしていく。
なにこの焦らしプレイ。
押しのけた先にあるものはさらにぷっくりと膨らんだ可愛らしい桃色のぽっち。なにこれかわいい。俺はあまりの可愛さに躊躇せず、つい舐めてしまった。
「ひぁん……っ」
頭の後ろから脳天が突き抜けるような甘ったるい声がする。その声をもう一度聞きたくて俺はそこを何度も舐める。転がす。舌先で押す。
「はぁっ、あん、ん、んぅぅんっ」
さらに強く吸ってみる。
「んはああああァァァあんっ」
かなり刺激が強かったらしく、声とともに身体が大きくうねり、そして仰け反る。
「太栄さん乳首、弱いんですね」
「やゃ、もう、言うなやぁ…っ」
恥ずかしいのか太栄さんは両手で真っ赤な顔を覆い隠そうとする。仕草がまるで女子高生ですよ。
「ココと、ココ。弱いとこ同時に攻めてみたらどうなるんですかね」
実はあれからもずっとちくちくと動かしていた俺の右手の速度を少しだけ速めてみる。その行動を合図に左手は太栄さんの右乳首をつんつんとはじいていく。
「……っ!!…ぁ、やめ、ぃゃゃ、佑哉、俺、そんな、んされたら、どうかなっ、てまう、から…ッ!」
「どうかなってええですよ。見てるの俺だけですから」
こんな可愛い人をほかの人になんか見せたりする訳がない。
「あっ、あっん!そこ、そこややぁ、もう弄らんといてぇっ」
「そこってどこですか?ちゃんと言ってくれないと分かりませんよ」
先程発見したちょうど股間の真裏に位置するコリコリとした部分を適度な速度で擦る三本の指。
桃色の小さな実を猫が見つけたおもちゃのようにつんつんと弾いたりつまんだりしている左手。
質問しながらも俺の手達は行動を休めない。
「んや、んやぁ、あんっ!ああっん!」
「言わないとやめませんよ」
ちらりと横目で太栄さんの股間を確認すると、触ってもいないのにもう真っ赤に充血し天を仰いでいるのが分かる。
目線を戻し太栄さんの顔を見る。いや正確には両手に阻まれてよく見えないのだが、太栄さんの真っ赤に潤ませた可愛らしい涙目は確認できた。
「で、どっちですか?」
少し回答に時間がかかるやも?と思われた返事は意外とすぐに返ってきた。
「ど、どっちも、んゃ、ややぁっ、じんじんすんの、ややぁ……っ!」
太栄さんも弄られて限界なのか、さらに足早な返答が続く。
「もう、お前が……どっか、触るたんびにじんじんすんねん…、これもういややぁ…。佑哉…、助けてぇ、助けてぇやぁ……ッ」
俺はその台詞に何かが弾け飛んだのを感じた。
いや何かではない、確実に理性だ。
先程少しだけ持ち直しかけた俺の理性さんは、いとも簡単にログアウトしてしまった。
「……っ!」
唐突に今まで弄っていたナカから指が全部抜かれ、その振動に太栄さんは少しだけ身震いをする。
左手の粗相も止まり、太栄さんは突然の俺の行動に頭に?マークが増殖しているようだった。
「ゆ……佑…哉?」
目を潤ませて俺の名前を呼ぶ。
「すんません、太栄さん。俺、もう止まりません」
言うが早いか手が早いか、俺の右手が太栄さんの左脚をつかみ、己の肩へ抱え上げるように持ち上げる。そうする事により俺の前には太栄さんの肛門が丸見えの状態で。
俺にあれだけ弄られていたそこは卑猥にクパクパと伸縮を繰り返す。まるで俺の自尊心を弄ぶかのように。
その光景に面食らいつつ、左手で自らの欲望を解き放つためベルトに手をかける。
くそう、うまく指が動かない。
……俺は確実に焦っていた。
「ゆ、佑哉……??それは、…無理、なんとちゃうかなぁ……?」
か細い声で太栄さんが言う。
流石に俺がこれからする事に気付いたようだ。
だが、身体がうまく動かせないのか抵抗する様子は見受けられない。そんな太栄さんを眺めつつ、俺はベルトとジッパーから己を解放する事にやっと成功した。
「ちょっ、…ま、まて佑哉」
突然太栄さんの待ったがかかる。何だろうと顔を見てみると微妙に青ざめている。
「お前それ、デカすぎじゃね?」
そう言われて改めて己の息子を見てみるが、自分からすればいつも見慣れているモノだけに特に違和感は感じない。
「そうですかね?今興奮してるからじゃないですか?」
「いやいやいやいや、ないわ、それはないで。お前それ俺のケツん中にブチ込もうとしとるんやろ?そんなん入れられたら俺のケツ裂けてまうやんけ」
む、これはなんとなく嫌な予感。
案の定太栄さんが逃げ腰になっている。だがまだ身体に力が入らないらしい。
「大丈夫ですよ。さっきめちゃめちゃに慣らしましたし」
適当に聞き流しながら俺はいそいそと準備を始める。既に持ち上げている脚をさらにこちらへ引き寄せて太栄さんを呼び寄せる。
「いやいやいや慣らすとか慣らさへんとかの問題やのうて……っ!…あ、こら、話は……ッ」
くいっと腰を前にずらし己の手で自らの息子を掴み、これから突き進むであろう場所に狙いを定める。
「太栄さんこれからって時にムードない事言わないでくださいよ」
まるで俺を誘っているのかと誤解したくなるほど淫らにひくひくとうねる太栄さんの入り口に俺の息子をぴたりと押し当てる。
押し当てつつ少しずつ力を入れて侵入を試みる。
「んゃっ、あ、こらくっつけ……っ、ぁ…!」
既に濡れそぼっている太栄さんの肛門は、なんの抵抗もなく俺自身を呑み込んでいった。
「ほら、なんなく入っていきますよ」
「ぁっ…、あっ……」
口元に両手をあてて、不安そうにこちらを見ながら喘ぐ太栄さん。
突き進む度に太栄さんが小さく揺れる。内壁の擦れる感じが気持ち良いようだ。
「ゆっくりと、入ってますよ」
突き進む度に太栄さんの腰が揺れる。感覚が堪らないのか腰に現れてしまっている。
「んあっ、揺らさな……っ」
「太栄さんが勝手に腰振ってるだけですよ。ほら、全部入りましたよ」
「…っん…っ」
俺の動きが止まったことにホッとした太栄さんは、今のうちにと息を整えようとしている。
そんな太栄さんがとても可愛くて、つい意地悪をしたくなった俺は。
彼の不意をついて軽く奥を小突いてみた。
「ほら」
「あ!…っん……ほ、んま、に…?」
いきなり動かされた太栄さんの身体が面白いように跳ねる。
「うん、ほら」
「んはあんっ!!ちょ、こらぁ…!」
真っ赤な顔で怒る太栄さん。それにほだされた俺はちょっとだけ早めに突いてみる。
「ほらっ、奥までっ、…突けて、ますでしょ……ッ?」
「あん!あぅ、…っ!たっ…、試すなやァ!」
突く度にうねる太栄さんの四肢があまりにも綺麗でうっとりと見惚れてしまう。
その間も俺の息子は太栄さんのそこに締め付けられ、今にも蕩けてしまいそうな熱さを感じている。
そこで俺は太栄さんから感じる俺自身はどうなのだろうか?と、ふいに疑問を感じ投げかけてみる事にした。
「ね?太栄さん。俺のはどんな感じですか?」
「佑哉の?」
太栄さんの息が荒い。
「うん、俺の」
ふいに問いかけられた太栄さんは震えながらも恥ずかしそうにおずおずと答えてくれた。
「んと……。俺ん中、入っとる。お前のめっちゃ──熱い…」
「熱い?」
「うん、あっつぃでぇ……」
恍惚とした表情で俺を見つめながらため息混じりに吐かれる台詞。
「お前は?」
「ん?」
「俺んナカ……どうなん?」
まさか太栄さんから聞かれるとは思わなくて、俺はちょっとびっくりした。
「太栄さんのナカ、ですか?」
聞いた本人もやっぱり恥ずかしかったのか顔をさらに真っ赤にして目線が泳いでいる。
「うん……」
俯き加減に上目遣い。今日の太栄さんは反則が多すぎる。
「太栄さんのナカ。すごく熱くて、すごく俺のを締め付けるんですよ。そしてすごく狭いですね」
「ふーん……」
答えがお気に召さなかったのか、そのまま黙ってしまった。
そして。
「俺んナカ。気持ちええのんか?」
またもや不意打ちの質問。今日の太栄さんはどうしたんだ?
「当たり前じゃないですか。俺意識持ってかれそうになるくらい気持ちイイですよ。すんごいうねるんですよ太栄さんのナカって」
「そこまで言わんでもええねんっ!でも、そか。気持ちええのんか。……そっか」
流石のツッコミも忘れずに、その後はぶつぶつとつぶやく太栄さん。なにかを一人で納得しているようだ。
「そか…。──よかったあぁ…っ」
(〜〜っ!!)
そのなんともいえないほっとしたような表情が、俺に突っ込まれて顔を真っ赤にさせて息を荒げて目を潤ませて汗ばんだ顔に重なって。
今の俺にはたまらなくて。
それと同時に。
(──どうして?)
と、当然の疑問が頭をよぎる。
太栄さんからのその表情とその言葉は、否が応にも俺にとって儚い期待を抱いてしまいそうになるから。
(俺の馬鹿、そんな訳ないだろ)
淡い幻想を打ち消すかのように太栄さんを突く。
突然の俺の行動に太栄さんの身体がしなる。
「んはあぁ…っ!!?」
そんな訳、ない。
「ふうぅ…っ!」
そんな筈は、……ない。
「あっ、ああんっ…」
太栄さんはただなんとなく聞いただけだ。
「あっ、アっ、あっ、や、もう、激し…っん」
深い意味なんて、ないんだ。
「ゆ、うやぁ…、もう、堪忍や…っ、俺、俺、…おれイッてまうぅぅッ!!」
深い意味なんて。
「やだやだ、や!…やイク、イッちゃ!…イッ…、っくうゥゥゥ〜〜……ッッ!!」
俺の目の前で太栄さんがビクンと大きくバウンドする。
太栄さん自身も大きく揺れながら盛大に射精をする。
達した時の太栄さんのナカは別の生物かと思うほど大きくうねり、俺はすべてを持っていかれそうになるのをなんとかこらえようと必死だ。
はあはあと肩で息を整えつつ艶っぽい眼差しで俺を見つめてくる。
俺はその視線を素直に見直すことが出来ず。
またもや打ち消すかのごとく太栄さんを何度も打ち付ける。
打ち付ける。
「んぁっ、ちょっ…や、まだぁっ、イッたばっか…やのにぃっ、そんっ、なにされたらぁっ、俺ぇ、どうかなってまうよぉぉっ!」
もしかしたら俺の頭は既にどうにかなってしまったんだろうか。
「ぁんっ、ああっ、ゆうや、ゆうやあァアんっ、おれ、おれぇっ…」
太栄さんが俺に懇願する。
「やっ…あんっ、ゆぅっ、ゃ…っ、ややぁ、そこ、ややあっ、擦らんといてえっ!…おれ、おかし…なるぅ…っ!んああんっ!んや、んやぁあぁ、気持ち、気持ちエエよォォ!!あああっ、また、またぁっ、イッて…イッちゃあぁ〜〜……ッッ!!」
綺麗にしなる太栄さんの身体。何度も射精しているせいか段々と吐き出される精液の量が減ってきているのが分かる。
「太栄さん…、感じる?俺のこと……感じる?」
俺は不安になって何度も聞く。
今目の前で叫びながら射精した太栄さんを見ているのに。
俺自身が太栄さんのナカのうねりを直に感じているのに。
太栄さんに演技が出来ないことを俺は知っているのに。
「ぅん…っ、感じるで…。佑哉、すっごぃ感じたで……」
その本心から出ているであろう一言に、その恍惚とした表情に、ホッとする。あまりにも安心したのか、俺はそのまま倒れるように太栄さんの上にもたれかかり、太栄さんの胸あたりに顔をうずめる。
「佑哉?」
太栄さんの体温をもっと感じたい。
「太栄さん……。俺……」
「なんや?佑哉。」
そんなに優しく問いかけないでください。
──勘違いしてしまうから……。
「俺、俺あんたが好きなんです」
太栄さんの心臓の音。まるでゆりかごの中にいるような心地よさについ口が滑って告白してしまう。
「おう。俺も、お前のこと好っきゃで、佑哉」
俺を安心させるかのように太栄さんの両手が俺の背中にぎゅっとからみつく。
「俺。太栄さんを、愛してるんですよ?」
やっぱり誤解してるなと思った俺は訂正出来ないよう念を押す。
「うん、俺もお前のこと愛しとぉよ」
背中に優しくからみつく腕。そのまま両手が俺の頭に這い上がってきたと思ったら、いきなり髪の毛をぐしゃぐしゃとされて俺はビックリした。
「ちょっ、太栄さん、なにするんですかっ!」
「お前がアホなこと言うからじゃボケ」
「…っ!人の告白をアホとか何言っ……て、イテテっ」
半分キレかけた俺の顔は太栄さんの両手に挟まれて、強制的に太栄さんの顔へと向かされる。
「アホっちゅうたらアホじゃ。ええか。お前、何で俺が好きでもないやつに股広げなあかんねん。俺はそこまでお人よしな奴に見えんのかアホンダラ。俺は男やぞ。この行為の重大さくらい分かっとるっちゅうねん」
「太栄さん……」
太栄さんの顔は真剣だ。
「しょっぱな飛ばしすぎたのにはえらいビックリしたけどな。お前なぁ、俺が素直にヤられてただけやと思うなや。抵抗ならいつでも出来たっちゅうねんアホが。ほななんで抵抗しいひんかったか?お前が相手やからや。そんくらい分かれやクソが」
太栄さんはマシンガントークで己の感情をぶちまける。
そりゃそうだ。
太栄さんはそれなりに力のある大人の男性なのだ。いつでも抵抗は出来たはず。
そしてそれをしなかったのは。
「俺、だから……?」
「せや。佑哉やからなんもしいひん。言うたやろ、俺はお前が好っきゃねん」
「太栄さん……」
「好っきゃねんぞっ!…何遍も言わせんなや、恥ずいやろっ」
真剣な顔がどんどん火照ってゆく。そんな太栄さんが愛おしくて愛おしくて。たまらない。
愛おしくて。
愛おしくて。
「太栄さん……」
目の前にある愛おしい人の唇に己の唇を重ねる。
「佑哉……」
太栄さんもそれに気付いたのか、静かにゆっくりと目を閉じて俺が近づくのを待っている。
「んん…、っうぅ…んむぅ」
「んは、ぁ、んぅん…っ」
お互いに余裕がない。今だからこそお互いを感じ合いたい。
(太栄さん、太栄さん、太栄さん…っ)
糸が引くほどに長く長くキス。
名残惜しくも顔が離れ。
太栄さんはうっとりとした眼差しと蒸気した頬で俺を見つめてくる。
「はぁ、はぁ…、なあ、佑哉…。お願いがあんねんけど」
「…何ですか?」
目線が少し泳ぐ。そして恥ずかしいのか、よく見ると耳まで赤い。
「もっかい、…その……動いてくれへん?」
「え?俺は勿論いいですけど…。太栄さんは大丈夫なんですか?」
俺としては嬉しい限りなのだが、太栄さんは疲れないのかと逆に心配になる。本日俺が彼の家に来てから計五回もの射精。いくら健康な成年男子といえどもさすがに疲れがくるはずだ。明日は会社だという太栄さんの事を考えたら俺はあまり無理をさせたくはない。
「俺ら今好き同士やねんぞ。…その、なんだ。えーと…やなぁ。お互いの気持ちを知った今こそ素直に抱き合いたいねん……。耳とか関係なしにな」
「耳?」
と聞いてハッと思い出す。そういえばこうなるに至った原因の事をすっかりと忘れていた。再度気付き太栄さんに生えた猫耳部分を確認する。……のだが。
(あれ?ない?)
猫耳が生えていた辺りの場所にはもう既にそれらしき痕跡がなくなっていた。まさかと思い俺は急に起き上がって、尻尾の生えていたであろう部分を確認するために再度太栄さんの片脚を上げる。こうでもしないと今の体勢ではその部分がよく見えないのだ。
「ちょっ…あァんっ」
これもすっかり忘れてた。俺たちはまだ繋がっていたままだった。その状態でいきなり俺が動いたり体勢を変えようとしたりしたものだがら、直に振動が太栄さんに伝わりその感覚に耐えられないのか素直に喘ぐ。
「あっ、すいません。尻尾を確認しようと思って」
「んふ…ぅ」
太栄さんは怒るでもなく、感覚に酔いしれうっとりとしている。その表情を見て俺は内心ホッとすると、先程まで尻尾があったであろう場所に左手を這わせる。その感覚ですら今の太栄さんには快感に伝わる。
「…っ、は、ぁ…」
(やっぱり。尻尾もないな)
思ったとおり尻尾もなくなっていた。
「太栄さん、耳も尻尾もなくなってますよ」
「おぉ。そかぁ…」
ん?反応が薄いな?
「太栄さん?」
どうしたのだろうと問いかけてみる。太栄さんの顔は恍惚としていて、瞳を潤ませてこちらを見据える。
熱い吐息で囁くように。
「もうどうでもええやん……。なあ佑哉」
両手が俺に伸びてくる。まるでおねだりをする子供のように。
「なあ。……して?…もっと、しようやぁ?」
上目遣いでおねだりをする太栄さんは可愛すぎると思います。
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