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第1話 プロローグ 朝

「……ん………?」 微睡みの中で目が覚めた僕・宗像千尋の目に飛び込んできたのは、キス寸前の兄の顔であった。 「…わぁぁぁぁぁ!?」 「…ちぃ、おはよう。」 「雨城?何やってるんだよ?」 「何って?可愛いちぃにキスを……。」 「そんなものいらん!!」 もちろん、僕は兄・宗像雨城の股間を蹴り上げたのだった。 「…いてぇ……。…何するんだよ、ちぃ……。」 股間を押さえて悶絶する雨城は放っておいて、僕はベッドから出ると着替えを始めた。 「ちー、おっはー。何してるの、雨城は?」 「放っておけよ、和泉。」 「コラ、雨城!!『お兄さま』と呼びなさいよ。」 「…誰が……、お前なんか、お兄さまって呼ぶか。」 そう言う雨城の頬をつねりながら引っ張っているのは僕と雨城の兄・宗像和泉、見た目は超美人だが、実は男で普段、女装している。 「伊織兄さんが朝食を食べなさいって呼んでるよ。」 「えっ、マジ?伊織兄、朝食に遅れるとうるさいんだよなぁ。」 和泉兄に促されて、僕と雨城は急いで階段をバタバタ下りるとリビングの食卓のテーブルに向かうとその椅子に素早く座った。 「ちぃちゃん、おはよう。」 伊織兄がそう言うと素早くテキパキと朝食の用意をしてくれて僕はそれを食べ始めた。 「千尋、雨城、早く食べろよ。遅れるぞ。」 「あっ、天音兄、おはよう。」 僕の一番上の兄・宗像天音が部屋から出てきて食卓の椅子に座り、まずコーヒーを飲む。 もちろん、ブラックコーヒーをだ。 「ちーちゃん、おはよう。」 「流星兄さん、おはよう。」 僕の兄・宗像流星が現れた。 そして続いて僕の弟・宗像雪斗も姿を見せる。 「…ふぁぁぁ……。おはよう……。」 僕たち兄弟のこれが日常的な朝。 長男・宗像天音、29歳。 次男・宗像伊織、27歳。 三男・宗像和泉、25歳。 四男・宗像流星、18歳。 五男・宗像雨城、17歳。 七男で末っ子の宗像雪斗、15歳。 最後に僕、六男・宗像千尋、16歳。 これが宗像家の兄弟である。 一応、皆さんに紹介しておく。

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