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プロローグ

 (らい)はこの日が、最大の幸せな日だと確信していた。  生まれてこの方、生きづらさをずっと感じていた。  だがそれは彼にとって素敵な出会いがあって光が差して來は生きていこう、と闇の中から抜け出した。  カレンダーにも丸をつけ、この日をいかにどれだけ楽しみにしていたことか。  互いに来月だね、来週だね、明日だね。そんなことを言っていたのに。 「なのに……」  一緒にその日を待ち侘び、最大の幸せな日を迎えるはずの相手がベッドの上で横たわっているのだ。 「どうして」  と來が思ってもどうにもならなかった。

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