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第7話

 槇原のベッドに後頭部を預けるのが、随分と久しぶりに思えた。  精悍な槇原の匂いがする。  優しい手つきで、槇原に愛撫され、七海は息が上がってくるのを感じていた。やはり、槇原が相手ならば怖くないし、槇原以外とは繋がりたくない。なおいえば、想いが通じ合った今は、繋がりたくてたまらない。槇原と一つになりたい。 「ん」  何度も何度も口づけをしている。深い深いキスだ。  槇原が自分を愛してくれているのが分かり、味以外も好きになってくれたのだと感じる度、七海は歓喜で泣きそうになる。  七海の胸の突起を唇と手で愛でてから、槇原は舌で七海の肌を腹部までなぞる。  その後ローションをつけた二本の指で、じっくりと七海の後孔を解した。  そうして挿いってきた槇原の陰茎に、七海は体蕩けてしまうような錯覚を味わう。繋がっている箇所の全てが熱くて、全身が熔けてしまいそうな心地だ。 「ああっ……ンん……」  ゆっくりと長い陰茎を進めた槇原は、根元まで入りきると、一度動きを止めた。  正常位で交わっている二人は、視線を合わせる。生理的な涙が浮かんでいる七海の瞳を見つめる槇原の瞳は、優しいのだけれど、どこか獰猛だ。こうして抽挿が始まった。 「あ、あ、あ」  動かれる度に、七海の口からは甘い嬌声が零れる。あんまりにも気持ちが良くて、七海は思わず槇原の首に腕を回す。七海の両脚を持ち上げて、より深くを槇原が突き上げる。ローションの立てる水音と、肌と肌がぶつかる音、二人の荒い呼吸が、室内に谺する。 「アっ、ぁあ! ああ!! ン――!」  そのまま一際強く突き上げられて、七海は射精した。そして肩で息をしながら、槇原を見る。清艶な七海の呼吸が落ち着いたのを見計らってから、槇原が再び動き始める。ギリギリまで引き抜いては、深々と貫き、次第に動きを速くしていく。そうされると、すぐにまた七海の陰茎が反応する。 「ん、ンぅ! あぁ……っ、あ、ア!!」 「出すぞ」 「う、うん……あ、ああ!」  奥深くを激しく突き上げられた時、再び七海は果てた。そして同時に、内部を槇原が放ったもので染め上げられる。この日はその後も、二人は何度も何度も交わっていた。  ――事後。  槇原に腕枕をされて寝そべりながら、七海は幸せな気分に浸っていた。  こんな形で片想いが終了するとは思っていなかったが、今、幸せでたまらない。 「七海」 「なに?」 「愛してる」  その言葉に、思わず照れてから、ぽつりと七海も言葉を返す。 「私だって、君を愛してるよ。それも……もうずっと前から」 「俺だって、お前を好きになったのは、かなり前だぞ?」 「全然知らなかったよ」 「俺もだ。俺達は、ずっと相思相愛だったってことか。嬉しいものだなぁ」 「そ、そうだね」  槇原は愛の言葉を隠さないから、最近では七海は照れっぱなしでもある。  このようにして、少し変化した二人の関係であるが、変わったのは愛情を確認し合った部分だけだというのに、双方共に、その恋という関係性の甘さに酔いしれてしまうようになった。もう、名目なんて、何処にも不要なのである。  ただお互いに、お互いがいてくれること、それだけが、全てとなった。  その後も槇原は、フォークを追いかけるフォークであり、七海はそんな槇原を支えるように応援しながら、研究を続ける。そこには、一つの愛の形があった。  ―― 了 ――

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