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第54話

「優人さーんはやく!!」 準備を終え玄関で名前を呼び急がせる その呼び掛けに「時間まだ余裕あるから大丈夫!ちょっと待って。」そう言いながらも急いでやって来てくれる 今日はあおいさんと朝陽の家へ2人の赤ちゃんを見に行く日だった 月に数回開催される朝陽から料理を教えて貰う日 いつもの様に2人で楽しく作っていれば朝陽が慌ててキッチンから出ていった 心配しながら待っていれば「ごめんね。」と謝りながら戻ってきたその顔色は悪くて、、、 「大丈夫?」と尋ねれば「実はさ、、、」そう言いながらお腹に手を当て嬉しそうに妊娠した事を教えてくれた 突然の報告に驚きで声が出なかったけど、朝陽の幸せそうな顔に俺も嬉しくて 「おめでとう!!」そう言いながら朝陽の事を抱きしめた それからはつわりで会えず電話やメッセージでのやり取りのみになってしまったけれど、いつも産まれてくるのを楽しみに話す声は嬉しそうで つわりも落ち着き数ヶ月ぶりに会った時 大きくなったお腹を撫でながら愛おしそうに話しかける朝陽の姿はとても綺麗で、、、そして同時に羨ましくも思った それからすぐだった あおいさんから [ 産まれた!] の言葉と共に赤ちゃんと一緒に写った写真が送られてきたのは 初めのうちは大変だろうと、少し遅れること本日、お祝いの品と一緒に3人の家を訪れた 赤ちゃんが眠っていたら...そう考えて優人さんがあおいさんへ着いた事を知らせるメッセージを送る するとすぐに扉が開きあおいさんが顔を出した その顔には少しだけ疲れが出ていて目元には隈が出来ていた だけど俺たちの顔を見れば「いらっしゃい、よく来たな。」そう言いながら笑顔を見せてくれた 「久しぶりだな。どうだ?寝れてるか?」 「久しぶりだな~、まぁ正直寝れてはいない」 「まぁだろうな、、顔みて察した」 「夜泣きが凄くてな、、、交代で見てるけどなかなか手強い、、、」 「今は?寝てるの?」 「どっちだと思う?」 そう言いながらリビングの扉を開いたあおいさん するとぐったりした様子でソファに座りながら顔だけをこちらに向けた朝陽と目が合った その瞬間「あぁぁぁなつ!!!」そう言いながら朝陽は俺に抱きついてきた 突然の事に驚けば「あぁ落ち着く....しばらくこのままでいさせて....」なんて呟く声が聞こえた その疲れた様子にそっと背中に手を回しよしよしとすれば「なつぅぅぅ」と声を上げる その声に反応したのか赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた 「あぁぁ起きた、、、朝陽お前が大きい声でなつの名前呼んだりするから」 「だってもう無理だった、、、俺しばらくなつから離れない、、、俺の癒し」 「それはなつが苦しいだろ、やめておけ」 「やだぁぁ、なつ大丈夫だよね?」 そう言いながらうるうるとした目で俺を見上げる朝陽に「お疲れだね、俺なんかで癒されるのなら好きなだけどうぞ。」と言えば「なつがいい!ありがとう大好き!!」とさらにギュッと抱きしめてくる その姿にあおいさんは呆れながら泣いている赤ちゃんを抱き上げ近付けば 「すっごい泣いてるけど、、娘のあかりだよ。よろしくね」 俺と優人さんに顔を見せながら紹介してくれた 抱きついている朝陽を少し横にズラせば「あぁ...なつ」なんて言うけど無視してその泣き顔を覗き込めば「かわいい」と声が漏れる するとさっきまで俺の名前を呼んでいた朝陽が「でしょ!」と言えば、あかりちゃんの頬をつつきながら「あかり~パパとママのお友達だよ~」と話しかける その声に反応したのか泣き声がやみ涙目でこちらを見た 「あかりちゃん、パパとママのお友達のなつだよ」 そう言ってそっと小さな手に触れればギュッと握って笑ってくれた その可愛さに「はわぁぁ」なんて言葉にならない声を出せばすぐ横から「俺はゆうとだよ~よろしくねあかりちゃん」と挨拶をする優人さん だけどその声にビクッと体を動かせば、口をへの字にして泣き始めてしまった 「あぁ優人さんが泣かせたー」そう言いながら顔を向ければ慌てたように「えぇ俺?俺か、、、ごめんあかりちゃん」と言いながら泣きそうな顔をする 優人さんのそんな姿にあおいさんも朝陽も悪ノリしだして「うちの可愛い娘泣かさないでくださーい」「ゆうとさいてー」なんて言い出して そんな姿にクスクスと笑っていればあかりちゃんが俺の事を見ているのに気付きそっと近付いて手を差し出せば、先程と同じように俺の指をギュッと握った その姿を見たあおいさんが「だっこしてみる?」と言いながらソファに俺を座らせてあかりちゃんを腕にそっと乗せ抱き方を教えてくれる 落とさないよう緊張しながらもあかりちゃんに笑顔を向ければ、ニコニコ笑いながら「あぁう~」とこれまた可愛らしい声で一生懸命お話してくれるから俺もそれに応える あかりちゃんとしばらくそのやり取りを繰り返していれば視線を感じ顔を上げる すると、3人が黙ってこちらを見ながらコーヒーをすすっていた 「なっ!なに、、みて、、、」 「いやぁ、これが尊いってやつか....と思って」 「うちのあかりとなつほんと可愛い」 「おい朝陽。なつは俺のだぞ。」 「はぁ?知らないね。なつとは毎月濃い時間を過ごしてたんだ、俺のだと言っても過言では無い!!」 「そんなわけないだろ!なつは俺のだ!!」 「ちょっと!2人ともやめてよ、、、恥ずかしい」 「「かわいい~」」 ダメだこの2人、、、そう思っていればあおいさんが立ち上がりこちらにやってきて「あの2人はほっといて3人で遊ぼっか」と言いながらおもちゃを手に取り隣に腰を下ろした すると「あっ!」「おいずるいぞ!!」」と言いながら後を追ってきた2人に思わず呆れ笑いが出たのだった

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