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11.始まった実戦考査
実戦考査の三日目となった。つまり、ソラ達の考査の日だ。
「ではキミ達にはこの魔物を退治してもらう」
森の前で教師から紙を渡され、二人で覗き込んで確認する。
「魔術の実力だけでなくチームワークも考査対象だ。単独行動はせずに二人で協力し合うように」
今回の考査を担当するらしい教師の男は手元のメモを読み切ると、ポケットにしまって二人に向き合う。
「──説明はこんな感じだ。まぁお前ら二人なら手こずる事もないだろうし、さっさと終わらせてさっさと返って来いよ。監視がめんどくさいから」
「……」
「……」
教師らしからぬ言葉を平気で吐く男の名はルーズ。なんとこれで次期教頭と噂されているのだから、学園の未来が心配である。
最後に小さな水晶を渡された。この水晶を通して戦いを監視し、緊急時は魔力を流せばすぐに学園に戻れるようになっている。
そんなこんなで始まった実戦考査。二人で並んで森に入る。これから指定された魔物が居るであろう場所を推測し罠を張らなければならない。
今回二人に指定された魔物はゴーレムとギルマンだった。
どちらもかなり高レベルの魔物だが、二人にかかれば討伐は難しくないだろう。たがギルマンは水場の魔物になるので、そこだけが厄介だ。
「行こうか」
「……」
返事は無いが、プラドは無言でソラの隣に並んだ。
最近のプラドは目が合わないどころか顔すら合わない。近くには来るのだが、不自然にそらされているのだ。
以前のソラであれば『これほど嫌われたのか』と落ち込みそうなところだが、今のソラは違う。
プラドの態度が、魔術のせいである可能性が出てきたのだから。つまり、プラドにかかった魔術を解術すれば解決出来るかもしれない。
よそよそしい態度が、また前のように気さくに話しかけてもらえるようになるかもしれない。
いちいち突っかかってくるあれが気さくな態度かどうかはひとまず置いておいて、元のプラドに戻ってもらえるよう、ソラは今回全力を尽くすつもりだ。
なんせ今日は一日中プラドと共に過ごすのだから、こんなチャンスは中々無いだろう。
「頑張るか」
「……お前でもそんな事を言うんだな」
「ん?」
人知れず意気込んでいたソラの隣で、ボソリと呟くプラド。
聞き返そうと振り返れば、やっぱり顔をそらされた。
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