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53.もう知らん

   ソラの体をひっくり返し、白い両足を大きく広げて覆いかぶさる。 「んぅ……ッ!?」  そして驚くソラの唇を衝動的に奪い、プラドは欲望のまま強く腰を打ち付けた。 「……──ッッ!」  あまりにも強い衝撃に、ソラの息が詰まる。  しかし今さら止まれるはずもなく、プラドは激しい抽挿を繰り返した。 「ひぅっ!? う、あっ! んあぁっ!」 「くそ……っ、はっ、メルランダッ!」  何度も打ち付けられる熱杭に、ソラの瞳からまた涙が零れ落ちる。  あきらかにソラには過ぎた刺激だ。  それが分かっていながらも、もうプラドは動きを止めることができなかった。  激しく奥まで突かれ、揺さぶられ、ソラはもう声を抑える事すら考えられなくなったのだろう。  必死に堪えていた甘い鳴き声が、プラドの欲を満たしていく。 「んんっ!  は、はぁっ、ん、あ、あぁっ」  快楽で歪む表情に煽られ、プラドの動きはさらに激しさを増した。  完全に理性など手放してしまったプラドは、貪欲にソラを求める。  激しい動きにオールバックだった髪はとうに乱れ、目にかかる前髪を乱暴にかき上げて、己の手で乱れる恋人を目に焼き付けた。  美しくて、可愛くて、穢れを知らないどこまでも純粋な自分の恋人。  俺の体しか知らない、俺だけのソラ・メルランダ。 「好き……好きだ……メルランダ……ソラ、メルランダ……ッ」 「あ、う……、ぷら、ど……っ」  プラドは腰を打ち付けながら体を折り曲げ、熱をともす水色の瞳に自分を映して満足気に笑う。 「好きだ、ソラ──」 「──ッ!」 「……っ、くっ」  プラドの声に反応するように、ソラの中がきゅうっと締まる。  その不意打ちの締め付けに耐え切れず、プラドは欲望を解き放った。 「ふぁ……あ、ん、ん──」  中に熱を与えられたソラは、プラドの頭を抱え込みながらビクビクと震えた。  密着させていた腹にプラドも熱を感じ、ソラも果てたのだと知る。  耳元で色っぽい吐息を感じて、熱い体がゾクリと震えた。  達したばかりなのに興奮はおさまらず、プラドは苦笑いを浮かべてソラを抱きしめた。  少しだけ冷静になったつもりだが、欲を吐き出しても新たな欲がむくむくと湧き上がる。  まだ足りないと、タガの外れた本能が叫ぶ。 「ん……」 「大丈夫か?」 「……ん」  ソラはこくりと小さく首を動かした。  しかしまだ余韻に浸っているのか、焦点があっていない目でぼんやりとしている。  可愛い。可愛い。 「……ソラ」 「んっ! ぁ……っ」  繋がったままの体を起こし、足を投げだした姿勢の上にソラを乗せれば、自重でさらに深く繋がる。  震えるソラの体を再度抱きしめて、後頭部に手を添え優しく唇を重ねた。舌先で歯列をなぞり、ゆっくり舌を絡め取る。  次第に口づけを深くして、口内を貪るように舐めまわし、唾液を流し込むように何度も角度を変えてキスをした。 「んぅ……ぷはっ、んくっ」  ソラが苦しそうにすれば呼吸の隙を与えてやり、また柔らかな唇を貪る。  プラドはずっとこうしていたいと思いながらも、腰を揺らして軽く突き上げる。ソラからまた甘い声が上がった。 「んあっ……っ、また……?」 「嫌か……? 俺はまだ、もっとしたい……」  まだお前が欲しいのだと乞えば、ぼんやりした瞳のままソラもこくりと小さく首を縦に振る。  そしておずおずと両手を伸ばしてきて、プラドの首に抱きついてきた。 「私も……すき、だ……プラド……」  ふわりと見せた柔らかな微笑みは、秘事の最中だと言うのに、やっぱり何も知らない妖精のようで。 「……ッ! 好きだっ!」 「ひん……っ! やぁ、あっ!」  その美しい色気に誘われて、衝動に任せて突き上げた。  プラドはそのまま激しく抽挿を繰り返し、お互いの熱を分け合うような交わりに夢中になった。  ソラの中に何度も己の熱を残し、溢れ出てもさらに腰を打ち付け、ソラが絶頂から降りれなくなるまで何度も何度も。  ソラがいやいやと首を振っても止まってやれず、ソラが気を失うまで、欲望のままに求め続けた。  そして明け方「もう無理だと言ったら止めてほしい」と、初めてソラから叱られる経験をプラドはする事になる。 【おまけ】痴話喧嘩  朝日に包まれた部屋。  彼シャツ姿で自分に治癒魔術をかけ続けるソラと、ベッドに正座するプラド。 「プラド、今後はもう無理だと言ったら止めてほしい」 「……悪かったと思ってる」 「こちらを見て言ってくれ」 「今メルランダを見たらまたやりたくなる」 「じゃあ見ないでくれ」 「冷たい……」 「……ソラと呼んでくれたら許す」 「……っ! そ、ソラッ!」 「こっちは見ないでくれ」 「冷たい!」  おわり

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