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後編

「……っ」  二階堂が期待に息を詰めた。  割れ目を開くようにしたり引き締まった肉に指を食い込ませたりと、核心的なところには触れずに八田の好きなように双丘を弄んだ。 「ん、ぅ……」  焦れた二階堂の腰が自然と揺れる。  充分に布の上からの感触を堪能した八田は、下着の下側から手を侵入させた。 「ぁっ」 「……柔らかいな」  直接肌に触れながら蕾に触れた八田は、目を瞬かせる。  すでに入り口が濡れており、グチュリと親指がすぐに入っていきそうなほどに解されていた。  男の体は、自然とはこうならない。 「これは、自分で?」  胸を高鳴らせた八田は、そのまま親指を押し進めて反応を伺う。  二階堂は赤くなった顔をテーブルに伏せながら小さく呟いた。 「『準備』して……ぁあっ、待ってるって、言っただろ……?」  内壁に包まれた親指で弱い部分に触れれば、ビクッと腰が跳ねる。  それでも快感に耐えながら、健気に返答する姿はあまりにも扇情的で。  自分を思ってひとりで準備し、待っていた二階堂を想像すると堪らなくなった。  余裕があるように振る舞っていたが、やる気満々だったのは八田だけではなかったようだ。 「本当はすぐに抱いて欲しかったんだろ? 俺は玄関でスイッチ入ってたのに、なんで言ってくれなかったんだ」 「だって折角明日は休みだから朝までヤりたくて……っでも、玄関で一回ヤっちゃったらそのあとの飯や風呂の間、俺、待てな……んゃあ!」  理由があまりに欲に忠実で、意地らしく可愛らしい。  ご褒美とばかりに、快感を生む内部のしこりを擦り上げてやる。 「やぁっ……ぁう、んんっ……、そこばっかぁ!」  喘ぎ声を上げさせながらキツくなったズボンの前を開いて、八田はそそり勃つ己の昂りを取り出す。  チャックの音を耳に入れた二階堂が、待ち切れないと言うように下着の縁に手をかけた。  だが、その手は掴まれテーブルに縫い付けられる。 「なん、で? も、イれて、欲し……! 脱ぎたいぃっ」 「脱がさなくても、いけそうだ」  戸惑う声に意地悪く答えると、左足が通っている下着の穴を右側に引っ張る。  色づきヒクつく蕾が、姿を表した。  八田は自身の先端を入り口に擦りつける。  たったそれだけで、蕾は吸いつき誘ってくる。  二階堂の腰が、自分から招き入れようとしているみたいに揺れた。 「力を抜け、二階堂」 「んっ……ふ、ぁああっ」  いつもしている声掛けと共に、容赦なく深く中を割り開く。 「アっ……、ヤぁっ! いきなり、おくぅっ」 「……く、ぅ……! こんな奥まで、簡単に入るなんてっ……ひとりでどれだけ、してた?」 「……っ」  質問に答えず口を閉ざした二階堂の最奥に、先端を緩やかに押し付ける。  強い刺激だが、達することは出来ないギリギリのところで二階堂は悶えた。 「それ、だめぇっ……はん、そく……!」 「じゃあ、答えろよっ、俺が返ってくるまでここに何か挿れてたろ?」  熱い内壁に昂りを締め付けられ、八田は荒々しく息を吐いて二階堂を追い詰めていく。 「ほら、言わないとイけないぞ?」 「ひぁあ!」  エプロンの下に手を滑り込ませて、胸の突起に直接触れる。  ずっと布越しでしか刺激を与えられなかったそこは、それでも柔らかく膨れていた。  強めに捏ねてやると、まともに話せなくなった二階堂が観念して言葉を絞り出す。 「お、もちゃ……っ……!」 「前に使った?」  問いかけに、二階堂は必死な様子で何度も頷いた。  八田は以前自分が購入して二階堂を啼かせた「おもちゃ」を思い出す。  電動で動く、男の形を模したグロテスクなものだった。  なるほど、中を解すにはうってつけだ。 「八田ぁっ、も、は、やくぅ! ちゃんとこたえただろ……んゃあっ」 「そう、だな……!」 「あっ、あぁっ」  唇に弧を描かせ、八田は両手で腰を掴んで激しく何度も突き上げる。  その動きに合わせて二階堂のナカは喜んで蠢き、八田を高みへと押し上げていった。 「イく……! 八田、なかに、ほしぃっ」 「お前はほんとに……!」  テーブルに縋りながら懇願する二階堂に煽られ、八田は眉を寄せる。  そしてその勢いのまま、最奥を貫いた。 「ああぁあああっ!!」 「……ぅ、くっ」  二階堂は狭い下着の中で再び精を放つ。  それと共に内壁に強く締め付けられた八田は、欲望をナカに放った。  体を震わせる二階堂の腿に、下着が吸収しきれなかった白濁が伝う。  力が抜けてそのままへたり込みそうな二階堂を支え、椅子に座らせてやる。 「う……気持ち悪い……これ、やべ……」  下着はもう何の意味もないほどぐちゃぐちゃに濡れている。  二階堂はそれを脱ぎ、本来の裸エプロン姿になって濡れた下着を嫌そうに見つめる。 「いっぱい出たな」 「誰のせいだよ……って、今度はなんだ?」  だらんと体を椅子に預けている二階堂の手首を掴んだ八田。  首を傾げながらも好きにさせてしまった二階堂は、後悔することになる。   「やぁあっ! むり、やた、やたおねがっイきたいぃいっむりはやく……! ひぁあんっ」 「今日の飯は本当に美味いな」 「やたぁああっ」 「飯や風呂の間も、これなら待てるだろ?」 「そんなの、むりぃいいい!」    座ったまま椅子の背に手首をネクタイで拘束され、電動のおもちゃを後孔に入れられた八田が喘ぐ。  ぽろぽろと快楽の涙が頬を伝った。  二階堂は食事をしながら恋人の淫らな姿をそれはそれは楽し気に眺めていた。  その異様な光景の一部始終を、濡れたパンツが床から見上げているのだった。                  おしまい

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