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『いじわる社長の愛玩バンビ』完結記念に書いた何か
「『いじわる社長の愛玩バンビ』完結おめでとう……ぱちぱち……」
八重崎の唐突で覇気のない拍手に、湊は首を傾げた。
「?完結?」
「久世昴と鈴鹿万里の結婚祝いを持ってきたから……今度店に来た時に渡しておいてほしい……」
段ボール箱を渡されて、ようやく先程のはあの二人を祝う言葉だったのだと理解する。
八重崎の言い回しはいつも不思議なのだ。
「わかりました。……大きいですね。何が入ってるんですか?」
「結婚祝いだから……もちろん夜の営みを豊かにするためのもの……」
「夜の営みを……寝具かな」
抱き合うのに布団がふかふかしているほうが気持ちがいいと思ったのだが、八重崎は何故かはっとした表情で湊を見た。
「湊にとっては……寝具がアダルトグッズ……。どんなふうに使うのか興味ある……」
「えっ、アダルトグッズ?」
「伝説の竿氏が某G社とコラボ開発した超人気商品詰め合わせ……男も女も無機物も全員揃ってヘヴン逝き……」
「竿氏?」
「AV男優のこと……」
「はあ……そんな言い方をするんですね」
無機物は……いったいどのようにヘヴンに達したと判断するのだろうか。
「湊も……使ってみたい……?」
「え?うーん……どんなものがあるんですか?」
「後ろはガチ五郎が譲らなさそうだから……亀頭責めとか……おすすめ……。あとは尿道とか……」
「そ、それは、一般的なプレイなんでしょうか…」
「人間にはそれぞれ個性があるんだから……プレイもいろいろ……道具もいろいろ……」
わかるようなわからないような。
「な、なるほど。あ……そういえば、鈴鹿はこの間『恋人がシャワーを浴びている間手持ち無沙汰でどうしていたらいいのか』って悩んでたので、そういうアドバイスとか、道具の使い方と合わせて八重崎さんがしてあげたらどうですか?」
「その話……もう少し詳しく聞きたい……。湊は何かアドバイスした……?」
「いえ、俺は全然参考になるようなことを言えなくて。竜次郎と検証しようとしたんですけど、そのシチュエーション自体がなかなか……」
「情緒の欠片もなさそうなガチ五郎に……そんな甘酸っぱさは……期待できないし、してない……。それよりその前後の話をもっと詳しく聞きたい……」
「前後と言っても……え~と……たしか鈴鹿は……」
こうして、二人のプライベートは無駄に『風の噂』として流出していくのであった。
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