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八重子教授の社窓から
■八重子教授の社窓から1回目〜これからのオメガバース世代の話をしよう〜
八重崎「八重子教授の社窓から1回目〜これからのオメガバース世代の話をしよう〜 はーじまーるーよー(棒)」
瀬能「あの、八重崎?なんでそんな某サンデル風なの?あとその白衣は?」
八重子「…プロフェッサー…八重子とお呼び…」
瀬能「あっ…、…はい…」
プロフェッサー八重子(以下プロ子)「ちなみに…瀬能って誰!?と思った読者様は…漫画『
狂気のBLにて』あたりを適当に参照…」
瀬能「プロフェッサー、メタな紹介までありがとうございます…」
★新BL類 の夜明け
瀬能「それで、オメガバース世代って何?」
プロ子「もうじき…アルファ世代の時代がやってくる…これ即ち…オメガバースの…夜明けぜよ…」
瀬能「アルファ世代?」
プロ子「年寄りの『最近の若いもんは』的な思想から生まれた、人類の世代ごとのカテゴライズ…。安易にXから始めてしまったせいで…数十年でZまできてしまった…から…次はギリシア文字のアルファから…になった…」
瀬能「へー、Z世代の次はアルファ世代なんだー…、いや八重…えっとプロフェッサー、ちょっと待って?それは単に世代の名称であって、」
プロ子「一億総アルファ社会……」
瀬能「総アルファ様の社会……(ゴクリ)」
プロ子「今日は…そんな世代が引き起こす様々な社会現象について、解説の瀬能さんと共に身近な人物を例に…お話ししていきたいと思います…」
瀬能「よ、よろしくお願いします…?」
◼️たった一人のオメガは極道の夢を見るか
プロ子「まずは、一億総アルファの中、突然変異で生まれたたった一人のオメガ…桜峰湊…」
瀬能「いきなり受難の予感…!」
プロ子「惚れたオンナもといオメガを守るため、任侠ガチ五郎はさらしを巻いてドスを片手に、押し寄せるアルファをちぎっては投げ、ちぎっては投げ…」
瀬能「…なんか…アプリゲームの広告でよく見る、ゾンビが押し寄せてくるやつ思い出した…」
プロ子「ゾンビ姦…」
瀬能「やめて!バッドエンド禁止!」
プロ子「でも…誘蛾灯のように男どもを惹き付けてピンチに陥るのは…オメガの特技であり最大の見せ場…」
瀬能「……言い方」
プロ子「ピンチに颯爽と登場することで…美味しいシーンも熟れたオメガも美味しくいただく…読者もそのご相伴にあずかれる…三方よし…」
瀬能「三方よしは何か違うような…。でも、その設定だと、湊さんは一人で外も歩けなくない?」
プロ子「…。オメガではない今も…男ブラックホールみたいなものだから…あまり変わらない気がする…」
瀬能「オメガでもないのにってところが美味しいよね!(湊さん大変だね…)」
プロ子「瀬能…本音と建前が…逆になってる…」
瀬能「はっ…!つい…」
★作者や読者のフラグが立つ可能性
プロ子「一つ…問題がある」
瀬能「一つだけではないような気もするけど、問題って?」
プロ子「つまるところのモブレ未遂が見せ場になることが多いオメガバースだけど…」
瀬能「だからもう少し、言い方…」
プロ子「一億総アルファ社会だと…必然的にモブもアルファになる…すなわち…モブもハイスペイケメン…」
瀬能「良質な攻様が多いのはいいことじゃない?」
プロ子「モブは汚い方が盛り上がるし…イケメン六人目くらいまでは…攻略対象になりうるという…神の作った法則がある…。読者のフラグが立つと…スピンオフが…」
瀬能「…運命のつがいは一人だから、それ以外の人はどれだけハイスペでもモブだよ!読者様には各ご家庭で妄想していただいて」
プロ子「つがいの運命を覆す…それも真実の愛…」
瀬能「原典の方は覆さなくてもいいでしょ!?」
プロ子「予定調和過ぎると…数字がとれないし…」
瀬能「別にいいんだよレビューに「ありきたり」「ご都合主義過ぎる」とか書かれても!俺はそういう百回読んだのが読みたいから!」
プロ子「飽くなき探究心こそが、今日の人類の繁栄を…」
瀬能「もう議論は出尽くしたようなので次の議題に移りましょう、プロフェッサー!」
◼️モブベータに生まれたはずが意地悪なハイスペアルファ様に溺愛されています
プロ子「お次は…一億総アルファの中のベータのお話…」
瀬能「これは逆ハー定番の『平凡なベータの俺が何故かハイスペアルファに溺愛されています』みたいなごくまっとうなBLじゃない?俺は、いいと思う…!」
プロ子「世界で唯一アルファではない生き物の万里は…恐らく…珍しいから…解剖される…。…北条遥樹あたりに…」
瀬能「ヒッ…!身近なところにとんだシリアルキラーが…!」
プロ子「そもそも、これではベータがベータの役割を果たしていない…でも鈴鹿万里がアルファは認められない…」
瀬能「べ、別によくない?平凡なアルファでも…」
プロ子「オメガバースである意味が…」
瀬能「そこは一億総アルファの時点で破綻してる気もするけど」
★北条先生のイケない人体実験
プロ子「じゃあ…瀬能ならどう妄想する…?」
瀬能「そうだなー。考え出すと壮大なストーリーが生まれてしまいそうだからかいつまんではなすけど、自分が他のアルファと違って落ちこぼれなことに悩む万里。からかいながらも優しく受け止める久世さん。二人の心が近づいたとき「どうも万里君は我々と違うのでは?」と気づいた北条遥樹が急接近……!」
プロ子「鈴鹿万里…後ろ後ろ…」
瀬能「言葉巧みに誘拐されて人体実験されそうになってるところに久世さんが助けに来て、『お前がどんな性を持っていても関係ない…!俺の愛する人はお前だけだ、万里…!』二人も両想いになってめでたしめでたし…」
プロ子「オメガバースを…全否定する男…久世昴…」
瀬能「そこはBLの様式美だから……!」
★俺たちの脳には無限のパラレルワールドが広がっている
プロ子「全世界全宇宙のBLを極めた瀬能先生には…北条遥樹×鈴鹿万里も美味しくいただけるのでは…?」
瀬能「久世さんとの恋人フラグが立っていないこと前提で、『何故だ、君だけは解剖することができない…!(苦悩)』は美味しいかもね!(鼻息)」
プロ子「…北条遥樹…今までにどれほどの人間を解体してきたのか…恐ろしい…」
◼️成り上がりアルファの不器用な純愛
プロ子「今度は…二人ともアルファのカップルかもしれない…。一億総アルファの設定に準拠している…」
瀬能「ましろさんをオメガ設定にしないの?」
プロ子「ましろは…エロスが足りない…から…」
瀬能「そ、そうかな?綺麗な人だし…絵的には一番オメガのイメージにぴったりなのでは」
プロ子「満員電車に乗ったとき…集団痴漢に遭うのが湊なら…なぜか席を譲られるのがましろ…」
瀬能「申し訳ないけど両方目に浮かんでしまった…」
プロ子「そんなことでは…オメガはつとまらない…」
瀬能「ま、まあ、探せばそういう設定のオメガバースもあると思うけどね…」
★難攻不落の宮殿
プロ子「一億総アルファ社会になれば…アルファ同士にもカーストが生まれてくる…」
瀬能「つまり、血統のいいアルファと、平民的なアルファってこと?」
プロ子「身分差の恋もまた、オメガバースで好まれる要素…。舞台を現代日本にした場合…身分差を話のメインに据えるにはたくさんの設定が必要になる…。そこを簡単に解決してくれるのが…オメガバースという…便利設定…」
瀬能「身分差で引き裂かれる二人は…熱いね!」
プロ子「…月華『ましろが欲しければベルサイユにいらっしゃい!』…」
瀬能「引き裂くの神導さんなの!?」
プロ子「詰んだ…?」
瀬能「そのボスキャラはちょっと攻略法がわからない…」
プロ子「天王寺千駿は『俺よりも彼の方がましろを幸せにできる』とか言ってさっさと諦めそう…」
瀬能「バッドエンドでしょそれ!」
★人身売買されがちな受達
プロ子「本件について解説の瀬能先生はどうお考えですか…」
瀬能「そこは素直に、幼い頃仲良くなった二人だったが、血統の違いを理由に引き離されてしまう。実家で辛い人生を堪えるましろさんを、成り上がった天王寺さんが迎えにくるなんてのはどう?」
プロ子「闇オークションで売られそうになってるましろを札束持って助けに来そう…」
瀬能「そこまで過酷な人生にならなくてもいいよ!?」
プロ子「こういうことは…やりすぎなくらいがいい…」
瀬能「まあ、その展開も百回読んだ美味しいやつだけどさ」
プロ子「ましろだと…悲壮感が足りない気がする…けど…」
瀬能「そ、それくらいの方がいいよ!湊さんとかはかわいそうだよ!」
プロ子「……(まだ何も…言ってない…)」
■四百年後に完成を見るオメガバース
プロ子「これで…お分かりいただけただろうか…」
瀬能「うん。……………何を?」
プロ子「これからくる一億総アルファ世代の時代に備えて、様々なシミュレーションをしておくことが大事だということが…」
瀬能「そ、ソウデスネー…?」
プロ子「オメガバースフリークにとって…一億総オメガ時代がくるのは、仮に一世代を二十年としたら、アルファベット順で四百年は先のこと…。それまでは…知恵と工夫と妄想で乗りきるしかない…」
瀬能「うんまあ、アルファ世代はあくまで世代の名称で、別にこの世代がみんなアルファってわけじゃないんだけどね…今更だけど…」
プロ子「ちなみに…2010年以降に生まれた人が…概ねアルファ世代とされているので…我が子にアルファ様的な兆候が見えるという視聴者様は…ご覧の番号までご連絡をお願いします…見に行きます…」
瀬能「プロフェッサー、テレビじゃないですから」
プロ子「当番組では…今後もこのような時事問題について…専門家をお呼びして討論をしていきます…。取り上げて欲しいテーマがあれば…ご覧の番号まで…ご連絡をお願いします…」
瀬能「……。(時事問題、含まれてたかなあ…)」
おしまい
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