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2日目:堰き止められた絶頂

 調教用の椅子に手足を括り付けられるのは、これで三度目だった。ザラキアにとって丁度いい高さまで持ち上げられ、キリキリと軋む足置き台の上で強制的に足を開かされ、人に見せてはいけない、身体の奥まったところが全てザラキアの目の前に曝け出される。それは途方もなく屈辱的で恥ずかしい行為のはずなのに、与えられる強烈な快楽を知ってしまった穴の縁が、これから始まる行為を期待してヒクン、と甘く疼くのを止めることは出来なかった。  初めての時はS状結腸の奥深くまで入られ、二度目の調教では前立腺を弄られて絶頂に達することを覚えさせられた身体は、これから与えられるであろう快感を予測して、不安と、淡い期待とを覚えている。まさか自分が、尻の中をどうにかされて射精してしまういやらしい身体をしていたとは思いも拠らなかった。そればかりか、射精を伴わない延々と続く乾いた絶頂感というものが存在するということすら数日前まで知らなかったのに。  「おい、何だ?もう軽く勃ててんじゃねえか。お前。主人様(マスター)に見られるのがそんなに嬉しいか。」  「ッ、や──そんなこと…っ…。」     ザラキアの手が、想像だけで既に淡く芯を持ち始めたシンジの牡の器官に触れてくる。ザラキアによって気付かされた自分自身のはしたなさに、くらりと目眩がした。耳まで真っ赤に染め上げるシンジに構うことなく、ザラキアは軽く口笛を吹き鳴らしながら、そんなシンジの男のモノの根元に、手早く何かの器具を取り付けてしまう。  「──な…に…?」  「こりゃあ、射精管理用のリングだ。パンパンに勃起しても、勝手にはイケねぇぞ。今日は、奥のスポットまでみっちり仕込んでやるからな。さあ、まずは潤滑ローションの注入からだ。残さずに飲めよ。」  「…ひ、やぁ──、ン…っ…!」  恐る恐る下半身を見てみれば、少しだけ頭を持ち上げた牡と、その根元の柔らかな二つの膨らみを潜らせるように銀色の輪が()められていた。そして、透き通った液体が詰まった透明なガラスのシリンジの口が、まだ解されてもいない奥処の穴に押し付けられ、つぷりと強く押し付けられる。  ゆっくりとピストンが押し込まれ、体内に流れ込んでくるのは、人肌より少し温かな液体だった。シンジが不安を覚えるほど奥深くまで遡上してくるローションの量に息を詰め、ビクンと身体を竦ませる。だいぶ大量の液体を送り込んだシリンジを抜き取ると、ザラキアは、窄まりの上に指を押し当ててトントンと軽く叩く。  「よし、ここを締めて、まだ零すんじゃねぇぞ。いいか、ちょっとでも零したらお仕置きだ。」  「…は、はい──っ…。」  腹の中が、何か温かいものでドロリと満たされている。どうにも馴染まない圧迫感と違和感を抱えながら、眉を寄せ、歯を食い縛って、必死で括約筋をぎゅうっと締め込んだ。あまりにも大量に流し込まれたローションは、気を抜くと縁から溢れ出てしまいそうで、『お仕置き』という言葉を思い出しながら浅い息と共に下半身に意識を集中させる。  そんなシンジの悩ましげな表情を、ザラキアは満足そうに見下ろしていた。そして、右手に持った鞭のような、歪な形の長い棒のようなものをシンジの目の前に(かざ)して見せる。  直径二センチから三センチほどの球体が一列に連なり、四十センチほどの長さの棒になった物体、けばけばしいピンク色のそれは、いわゆる『アナルビーズ』と呼ばれる大人のおもちゃのようなものであるように思える。  その縦一列になった棒を折り曲げ、球体をブニブニとつまんで柔軟性を見せ付けた後、ザラキアはその切っ先の一番小さな球をひたりとシンジの狭窄した穴の上に宛がっていった。

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