情けない、言葉にならない声で喘ぐことしかできないシンジの開いたまま固定された口元に、ザラキアの昂った牡の部分がひたりと宛がわれる。今までの人生の中で、完全に勃起した他人の性器を間近で見たことなどない。それでも、その大きさが『規格外』であることは確かに理解できたし、えらの張った先端も、血管を浮き上がらせている幹も、自分自身の持ち物とは全く比べ物にならない。それが今、シンジの、閉ざすことができない口の中にゆっくりと押し込まれようとしている。 　「ふぁ──ぁ、んッ──！」 　そんなものを挿れられたら、きっと喉が壊れてしまうに違いない。眉尻と、濡れた目元を下げて恐怖を露わにするシンジの顔の上を跨ぐようにして腰を落としながら、ザラキアがそっと、落ち着かせるように頭を撫でてくる。 　「こっちの口でしゃぶったことは？…ま、ねぇか。いきなり奥まで挿れたりはしねぇから、安心しろ。まずは、舌使いだ。鼻で息をしながら、裏側を先に向けてゆっくり舐め上げる…。やってみろ。」 　「う──、っ…く──ッ。」 　舌の上に乗せられる、ずっしりと重みのある、ドクドクと脈打つ熱いモノ。自分がされたこともなければ、したこともない行為だ。言われるままに鼻で息をすると、強烈な雄のフェロモンの匂いに頭がくらりとした。そんな匂いを纏っているのは、ザラキアが上級淫魔(インキュバス)であるからかもしれない。 　乳首と前立腺への刺激に焦れながら、そろそろと熱い幹に舌を這わせてみた。アイスキャンディーにそうするように、ぺろぺろと根元から先端まで舐め続けてみる。ザラキアの片手がシンジの黒髪を緩やかに握り締め、イイ部分に当たるように誘導してきた。 　「もう少し強く…舌の腹を使え、舌全体で包むように扱いて、時々、先っぽの穴の中に舌先を押し込んで中を舐めるように──。ホレ、自分が触られたら気持ちイイと思うところを集中的にやれよ。俺をイかせられなかったら、玩具も蟲もそのままだぞ。」 　「く──ふぅ…、ンッ…。」 　口の中のごく浅いところを犯すように、舌の上に重たく張り詰めた牡の部分をぬるぬると擦り付けられる。ぴちゃぴちゃと舌を動かし、言われるままに先端の鈴口の中に丸めた舌先を入れてちろちろと中を舐めた。そうしている間にも、母乳の出ない乳首からどうにかして乳を搾り取ろうとする二匹の軟体生物は、代わる代わる強弱をつけてコリコリに張り詰めた乳首に粘液質の柔突起を巻き付け、扱くように吸い付けてくるのだ。 　乳首への刺激だけで頭がぼうっとなるほど気持ちいいのに、両脚の奥に食い込んだ玩具までもが、感じる度に中に食い込んでスポットを真上から刺激してくる。快感を逃がそうと両脚を閉ざした瞬間、その玩具の凹凸が、ごりゅっ！とまともに膨れ上がった前立腺を押し潰してきて、目の前にパチパチと火花が散った。 　「う…ぐ──、くふ…ゥっ──！…んっ──！」 　「おっ、乳首とスポットで軽く中イキしたか？ソレは、感じれば感じるほど身体に食い込むからな。…さあ、だらしなくドライでイキ狂え。喉が緩めば、喉の奥でしゃぶれるようになる。」 　『ヤだッ──！…ち、乳首、強く吸われると──、奥が感じちゃう…！玩具、勝手に引き込んじゃって…抜けない──！…あぁ、また──イくっ…！』 　ザラキアの牡で塞がれた唇から、だらしない母音の喘ぎと共にとろとろと唾液が溢れ出す。そんなシンジの様子を見計らいながら、ザラキアはゆっくりと腰を進めてきた。喉の奥の深いところを先端でツン、とつつかれ、込み上げる息苦しさに思わず大きく顔を歪める。 　「ぐぅ──、ッ…、ン──ぐ…ぅッ！」 　「イキながら力抜け。喉の奥を使うのは、コツがいるんだ。舌を使わないで、喉を広げることに集中しろ。ほら、力入れんな…。」 　喉の奥を使われると、息苦しくて、窒息しそうで、突かれる度に戻しそうになる。下の口を使われるよりも余程辛い苦しさで、目許からぼろぼろと溢れる生理的な涙は止まるところを知らない。それでも、胸に吸い付いた二匹の蟲が、細かな触手を使ってちゅこちゅこと小さな乳首を扱き立ててくるたびに腰がジンと痺れ、弾みで、両脚の間に咥え込んだ玩具をぐっと締め込んでしまって、頭の中がまた白くなる。 　絶頂して力が抜けるタイミングを見計らって、太い牡の先端は少しずつシンジの喉の奥にずっぽりと埋まっていった。